本記事では、的中率を50%達成を実現するための具体的方法について解説していきます。本書を書いた理由は、すべての人が弓道場を使える権利を手に入れて、自由に弓を引くためです。
的中率50%超えるのは、そこまで難しくない。
こう思ってさぁ読んでみましょう。最初の工夫の仕方は「少し強い弓を引くこと」です。
13キロ以上の弓を引けるようにしよう
最初に的中率を上げるために最低13キロの弓を最低引けるようにしてください。男子は13−15キロ、女子は最低13キロです。
理由は、弓が軽すぎると、矢勢いが弱すぎるからです。
矢勢がないということは、下に落ちやすく、届かないということです。それだけではなく、矢勢がないということは、左右に飛んだ際も抵抗を受けやすいことがわかります。
さらに、昭和中期に発行された弓道の資料では、弱すぎる弓では的自体に届かないことを示唆した文章があります。それが、今の立つ位置から的までの距離が28メートルになった理由を指したものです。
現在の資料で、的までの距離を28メートルにとった理由は、平均弓力から算出したと記述がありました(参考文献:蓑田速夫「日本の弓」より)。男女の平均弓力を決めて、かかった弓力から矢にかかる空気抵抗を調べてみると、28メートル先に到達するころには75センチ矢が落ちて、結果的に的の中心に中ると計算がありました。これが、的が28メートルに離した理由です。
このときの資料に記された「平均弓力」は具体的な数値がわかりません。しかし、昭和中期に出された別の弓道書籍には、すでに平均弓力は13−15キロになっています。つまり、28メートル先の的に的中させるために適した弓力は最低でも13-15キロは引ける必要があります。
さらに、弓が軽いと、空気抵抗を受けやすくなります。キロ数が増えて、矢に伝える力が強くなるほど、下に下がりにくく真っすぐ飛びやすいです。
弓が軽い場合、少し狙い目を上げれば、山なりに飛んで、的に中るかもしれません。しかし、どの程度上げれば良いかの加減を見つけるのが難しいです。さらに、狙い目を上げても、矢が飛ばない。掛口のかかる位置が変わって、スムーズに離せないなどの問題か起こります。
まず女性は13キロ、男性は15キロを目指して弓を引いてください。これが引けるようになれば、的中率は伸ばせます。
ただ、中には器用に中てている人もいました。高校時代に、11キロの葵で的中率半分以上の女性もいました。しかし、そのような方は分母に対して少数です。やはり、常に的中している女性は13キロ程度の弓をしっかり引いていました。
とは言っても、女性で13キロの弓を引くのはそこまで難しくないと思ってください。苦しい筋トレなどは不要で、少しずつ上げていけば問題ありません。筋トレではなく、具体的に強い弓を引く方法をお伝えします。
1、ランニングをして足腰を鍛える
2、少し強い弓で素引きをする
この2つを行えば問題ありません。足腰を強化し、引き方を変えてください。そうすれば、確実に少し強い弓を引けます。
的中率を上げる足腰の鍛え方
的に確実に的中するためには、少し強い弓を引く必要があります。そのためには、引いている最中にできるだけ姿勢を安定させる必要があります。
特に、お尻を締める筋肉を強化してください。お尻を締めると、骨盤が立ち、背骨が伸びます。その結果、引いている最中に姿勢がぶれにくく、弓を大きく引けます。
もし、引いている最中に骨盤がぶれたとします。すると、左肩が上がりやすくなり、弓を大きく押し開けなくなります。お尻の筋肉を締める力が低下すると、弓を引いている最中に腰がぐらついてしまい、肩が安定しません。肩が上がってしまうと、腕を最大限に伸ばしきれなくなるために、弓を大きく押し開けなくなります。したがって少し重い弓を用います。
強い弓をしっかり引くには
自分にとって強い弓を引く際は「左肩をしっかり下げる」ことを意識してください。
少し強い弓を使うと、特に左肩が上がりやすいです。大三で左腕が突っ張ってしまい、次の引き分けで左腕で押し切れずに左肩が上がってしまいます。このような事態を避けるため、大三の取り方と押し方を変えるように意識しましょう。
まず、弓構え打ち起こしに入る際に、左腕の力みを取ります。手の内で弓を握りすぎないでください。「3指をそろえる」「天文筋を合わせる」このような教えにこだわりすぎると握りすぎる手の内が癖づいてしまい、弓を押せなくなります。素引きをするときは、一度この意識を止めてください。
次に、左肩を下げたまま打ち起こしを行います。この構えを維持して大三を取ります。少し弓が重い場合、大三を広めに取るようにしてください。大三では、弓力は最大限にかかっていないため、その間に左手を弓に入れて強く押せる形を作ります。
最後に引き分けです。引き分けでは、左肩を下げて上がらないように意識してください。少々左肩が上がってしまうのはしょうがありませんが、左肩をなるべく下げるよう意識し続けてください。
なお、左肩がどうしても下がらない場合、少し後ろに引いてしまっても構いません。実際に弓道教本の図も左肩を少し後ろに引いた図にしています(紛らわしく、プロットは直線になっていますが)。このように、左肩を後ろに引いて下げれば、引き分けで左肩が上がる心配を減らせます。
以上のことを意識して、弓をひたすら素引きし続けてください。そして、走り込んで、下半身の筋肉を強化しましょう。