的中率を向上させたいと思う理由は人それぞれあると思います。
審査に受かるために的中が必要
大会でいい成績を出すためには的中が必要
自分に自身を持つためにある程度中ってほしい
このように、話される方がいます。このような考えで稽古を進める場合、「根拠のあるデータ」に基づいて練習をしてください。
少し面倒くさいかもしれませんが、資料を調べて行うといいことづくめです。その理由について解説します。
無駄な練習をする必要がなくなる
再現性が上がる
他の人にも的確にアドバイスできる。
一つずつ解説をします。
■無駄な練習をする必要がなくなる
まず、資料を調べて練習をしていくと、余計なことをする必要がなくなります。
例えば、弓道の熟練者や、トップアーチェラーの筋肉の働き、狙いのつけ方を調べたことはありますか?そのように調べると、適切に弓を引くために行うべき目標や目的が明確になります。このような情報を調べない限りは、使う筋肉や取り組む方向性が定まりません。
そのため、資料に基づいて適切な引き方を決めてみましょう。
■的中率が伸びる確認が高まる
次に、無駄な練習や思考を省いて練習をすると、的中率か伸びる確率が上がります。再現性高く弓を引けます。
例えば、熟練者が楽に弓を引けている理由が「肩甲骨周りの筋肉を使えている」ことがわかったとします。すると、うまくいかなかったりわからない問題に直面したときの解決のキッカケになります。
稽古していて的に中らなかったり、射癖に問題があったときに、「肩甲骨が使えていないから」と原因を考えたとします。すると、部分的に悪い部分を直そうと頑張るより、根拠のある考えから直せるのでより改善できる確率られるようになります。
■再現性が高い
さらに、資料に基づいて弓の引き方を勉強すると、再現性高く改善できます。
歴史のある資料や実験で調べられたデータの場合、第三者が行っても同じ結果になる可能性が高いです。つまり、あなたの射の問題を解決されれば、他の方にもその情報を教えれば、問題げ解決されます。
そうすると、複数人でレベルを上げられます。あなたが万が一悪い部分が生じて実力が落ちたとしてと、他の方が助けてくれて問題解決できます。つまり、継続して実力を維持、向上できます。
再現性の高い考え方で弓を引けば、あなたの実力は確実に伸びます。そのためには、資料を調べて勉強するようにしてください。確実に、的中率5割を目指すためには、やみくもではなく、勉強しながら練習することが大切です。
このように、資料を調べて弓を引くように私が勧めている理由は、今日の弓道家はすでに調べられた研究や資料があるにも関わらず、それを調べないで自分の感覚でお話するからです。
ここでやみくもに練習したり、根拠のない教えにとらわれないようにしてください。高段者の発言だけで、何も考えずに練習を続けると、努力が実らず苦労する危険があります。
■的中率が上がる情報に根拠があるか?
例えば、とある協会、講習会であった質問で、「的中率を上げるにはどうしたら良いか」という質問があります。そうすると次のような返答が返ってきます。
■押手が決まれば中る
■3重十文字が決まればスムーズに中る
■的をしっかり見て胴造りをきちんとすれば、よく中る
これらは実際に寄せられた質問の回答です。確かにわかります。では、これらの情報に根拠のあるデータはあるのでしょうか?そのほとんどの内容が発言された方の主観であり、根拠がありません。
そのように回答された方は確かにそう考えて中ったのかもしれません。しかし、そのように根拠もなく、ただ主観で話されても受け手には何も意味はなさず、むしろその知識が邪魔をして返って体を最大限に使えず的中が下がる危険もあります。
例えば、先程のお話で押手を決める、三重十文字の話を受け止めて、姿勢だけ整えても的中につながらない危険があります。
なぜなら、平均体格骨格で弓を引いて的に中ることを調べた資料があるからです。この資料には、弓力も考慮して、的の距離も計算されていると記されています。
このような資料があるならば、的に中るために必要なのが、平均体格の方が惹かれている弓力をまず普通に引けるようにすることが目標になります。つまり、正解は3重十文字を整えることではなく、平均弓力が楽に押せるくらいに、引き分けを徹底することです。
加えて3重十文字ができているから的に中ることはありません。姿勢を整えて引くためには今お持ちの弓より−3キロ弓力を減らせば、どのような方も姿勢を整えて引けるからです。今日の弓道の大会、審査を見ると姿勢はキレイでも一本も中らない人は多数います。
そのため、3重十文字は、的中率向上につなげるのは難しいと判断できます。
その他に、「的はしっかり見ないといけない」と言う情報があったとします。しかし、有名大学で弓道の熟練者の狙い目に関する調査が行われており、その結果では、一点を集中して見るより周辺的に見た方が持続的に狙いを見るのに優れているという結果が出ています。
的中率が高い人は、確かに的をじっと見るとよく中るのかもしれません。しかし、そのような客観的に調べられていない情報は第三者は使えず、むしろそのとおりにしたがったら狙う力が弱る可能性もあります。
そのように、実際に調べた事実に基づいて考えなければ、無駄な努力をするはめになります。もしかしたら、そのことだけ考えて姿勢を正して稽古し続けても、的に中らず、集中して的を見る力も低下させてしまっているかもしれません。
しかし、先程お話したように、的を届かせるためには平均弓力は必要で、その基準で今日の距離は決まっている。経験者は実験的に的を見るときは周辺を見ると言った結果があった場合、根拠がありますので取り組む価値が出てきます。また、的中率が伸びる根拠もわかるし、練習する目的も明確になります。
青山学院大学の駅伝を3連覇に導いた原先生は、「生徒自身に考えて練習メニューを組み立てさせる」ように生徒に指導をします。そのようにすることで、生徒に考える力が養われるからです。自分で考えて動ける人は弓道以外に社会に出てから非常に強いです。そのように、的中率を上げること自体を目標にするのではなく、それを通じて考える力を養うことにも意識を置けば、さらにあなたの弓道の活動が有意義になるでしょう。
もし、このようなことを考えずに、先生にそう言われたから、的中率が高い人が言ってたからその内容をやろうとすると、的中率は上がらないでしょう。その人の言っている内容が根拠に基づいて調べられたものでなければなおさら的中率が上がらない危険があります。
そのため、まずは勉強して稽古をしてみましょう。一度上に従っておけば良いと言う発想や考えずを捨てて、本に基づいて稽古して見るようにしてください。
本書に書いた的中率を伸ばす方法は全て資料や文献に基づいたものです。そのため、実際の文献に基づいて、確実に実力を伸ばせるように稽古してみてください。
残念ながら、今日の高段者、指導者は弓を教える前にそのような知識を調べていません。
に基づいて行いましょう。