的中率50%を超えるための具体的な練習法:引き分けを大きくする

的中率を上げたいと思った場合は、日々の引き分けを意識して変えるようにしましょう。次は、的中率を向上させるための、引き分けの練習法について解説していきます。

シンプルに結論を言うと「大きく引くこと」です。弓を大きく押し開くように意識して、稽古してください。以下に理由を解説していきます。

腕の筋肉が縮むと、的にはずれるリスクが上がる

引き分けが小さくなると、肩の筋肉が縮むことにつながります。この肩の筋肉の凝りが、的にはずれるリスクを上げてしまうのです。

なぜなら、腕の力みと経験度と的中率には相関があるからです。

そのためには、弓道、アーチェリーともに初心者、経験者での弓の引き方に対して働く筋肉の違いについて解説していきます。

弓道では高段者、アーチェリーではトップアーチャーで引いたときの働く筋肉の違いを調査しました。そこで、初心者ほど上腕二頭筋を過剰に使い、経験者は上腕三頭筋を過剰に使っていたことがわかりました。

弓道

未経験者・大学生二段においては、弓の歪に相応した左右上腕屈筋の筋放電が認められた。高段者においては認められなかった。

(現代弓道講座五巻「弓道技術の筋電図学的分析」より)

アーチェリー

点数の高い熟練者になると、上腕三頭筋の活動がリリースまで持続的に確認された。

(女子アーチァーの弓射技術と習熟過程に関する研究 松下健二、 武山秀より)

弓道の場合、経験者であっても的中率が低い場合があります。しかし、トップアーチャーの場合、高い点数を出すためには正確性の高い運動を求められます。つまり、矢を正確に放つためには、腕の無駄な力みを取らないといけないことは間違いないようです。

ここで、多くの人は軽い弓を使用しようと考えるかもしれません。しかし、日本の弓道が28メートルに設置されている理由は、「平均体格と骨格の人が平均弓力を用いると、27センチ上に刺さる」という調査の元、作られています。弱すぎる弓に変えると、的へ届かないリスクが向上します。

そのため、平均弓力はきちんと保ちつつ、その弓で腕が過剰に力まない引き方を身に着ける必要があります。

大きい引き分けは腕の力みを軽減させる

そこで、引き分けを大きくさせる必要があります。

引き分けを小さくすると、余計に腕が力むのではと考える人もいるでしょう。しかし、会に入って腕が集中して力む理由は「肩の筋肉が縮んでいるから」です。

実際に、掌を上に向けて、両腕を左右の方向に伸ばしてください。そのあとに拳を立てにして、右手を引く構えを作ります。すると、腕が自然に伸ばされ、肩がすっきりした姿勢ができます。このように、腕が最大限に伸びている射型は肩の筋肉も左右に伸ばされていることで構築できます。

しかし、実際に弓を持つと、このよに腕のつけ根から左右に最大限に伸ばし切ることができません。大三の最中に、左右の手首をひねりすぎたり、左手を握ったりすると、腕の付け根の筋肉が無駄に緊張してしまいます。

そこで、発想を転換します。弓を最大限に押し開き、左右の拳を一番外側の位置にもっていけば、自然と肩が下がると考えてください。そのために、引き分けで腕を大きく開くように意識して行います。そうすると、弓を最大限に押し開きやすくなり、結果として、両拳を外側にもっていけます。そうして、肩が下がって腕を伸ばし切れます。

これを、大きく開くことを考えずに、引き分けを小さくしたとします。確かに、引き分けの最中は力みは少ないです。しかし、会に入ると、弓の反発力が腕に集中してしまい、肩の筋肉も縮んでしまいます。すると、腕に無駄な力みが出てしまって、うまく離せなくなります。

確かに、引き分けを大きくすると、その分弓の反発力が上がるため、力は必要です。しかし、これによって、右肘を右肩より後方に深く入れることができるため、右腕にかかる負担が分散され、肩や脇下といった部位でも弦の戻る力を受けられます。そうして、腕の負担が減ります。

先ほどお話ししたように、熟練者のように腕の負担を減らすためには、肩や脇下といった他の部位の筋肉でも弓の反発力を受けるようにしなければいけません。そのためには、できるだけ引き分けを大きくする必要があります。最初は、無駄な力みが出てしまったとしても、気にせずに行ってください。

やがて、大きく開くのが楽になって腕の力みが軽減されているでしょう。

右手と体が近くなるほど、右肘を動かしやすくなる

ここまで読んで大きく引く重要性を理解しても、それでも大きく引けないと悩む人はいるかもしれません。そこで、もう一つ引き分けを楽に大きく行う方法を教えます。「右拳と体が近くする」と弓が弾きやすくなります。

試しに次のことを行ってください。引き分けの形を構築して、右手と右肩の間隔を少し開けたときと間隔を詰めた時とで、右肘の動かしやすさを比べてください。おそらく、右手と右肩を近づけた方が、右肘を後方に引き付けるのがやりやすくなるはずです。

このように、右手と体を近づけると、右肘を動かしやすくなります。この原理を適応すると、弓を楽に引けます。具体的には「矢の線が目通りを過ぎたとき」にこの意識をもってください。

矢の線が目通りを過ぎるときに、右拳を肩に近づけるようにしてください。「こめかみに矢をつける」ようなイメージです。このようにすると、右肘を真横に動かしやすくなり、さらに横へと引くと、右手が容易に右肩の上部につきます。こうして、右拳をできるだけ外の位置に置くことができ、腕だけでなく、体全体で引いている感覚を得られ、腕の負担が減ります。

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