的中率5割を実現するための具体的な方法:矢数を徹底的にかける

今回も的中率を向上させるための練習法、コツ、考え方について解説していきます。

的中率を向上させるために、練習方法も意識して変えるようにしましょう。有名大学や強豪校が実践されている一つの練習方法について解説します。それは、シンプルに「大量に矢数をかける」ことです。

今回は、その理由について解説していきます。

矢数をかけた方が、的中率が向上する3つの理由

ここで矢数を多くかけると言っても、ただ漫然とかけるわけではありません。重要なのは、矢の長さ一杯引いた上で矢数をかけるべきです。そうすることで、離れの際に胴造りがぶれなくなってきます。

矢数をかけると胴造りが少なくなるのには二つ理由があります

大きい動きほど頭に記憶されやすい

この理由は、人は大きい動きほど、その動作自体を記憶しやすくなるからです。

人は頭で論理的に考えたり、体で動かしたりして物事を記憶します。このときに体を動かして覚えるときは、できるだけ大きく体を動かしたほうが、適切な動作を記憶し安くなります。できるだけ大きく動かすほど、全身の筋肉が効果的に使われるため、記憶に残りやすいです。

例えば、しっかり胴造りを構築し、大きく引いてはなったとします。何も意識しないときに比べて、大きく腕を離した方が「気持ちいい」感覚が得られます。そうして、何回もその動作を行おうとします。その結果、意識しなくても大きく弓を引いて離すことができます。

もし、矢数をかけなかった場合、このように気持ちよく離れた実感が少ないために、リラックスして弓を引いた感覚が記憶に残りずらいです。大きく弓を引き、離したときの感覚をつかめたら、できるだけその感覚を覚えるために、繰り返し動作を行った方が良いです。

自分の悪い原因を具体的に考えられる

やがて、大きく引いて離すことに慣れてきたら、別のことに気づけるようになります。例えば、何回も同じ意識で大きく引いていたら「前に飛ぶこと」が多いことに気づきます。すると、なぜ前に飛んでしまうのかを意識したり原因を考えたりできます。すると、前に飛んでいる原因は「左手が斜め後ろに向けていない」ことがわかります。

もしも、大離れを行って残身を取ったと仮定したなら、両腕が後方に伸びていくはずです。にも拘わらず、前に飛んでしまったのは、左腕が後方に伸びていないからです。解決策は、最終的に左腕が伸びるように、左肩や左足の使い方を変えることです。

もし、大量に矢数をかけていなければ、このような思考にはなりません。なぜなら、少ない矢数の中で前に飛んでいる場合、あなたの射型が悪いのではなく、「その時偶然前に飛んだから」とも考えられます。つまり、本質的にあなたの射型の悪い部分がわからないのです。しかし、たくさん矢数をかけて前に飛んでいるならば、具体的にあなたの悪い部分を特定して弓の引き方を改善できるのです。

例えば、竹弓を使用されている方の場合、弓を張ってから数十分の間は、あなたがどれだけ良い引き方をしていても、前に飛ばない可能性があります。なぜなら、竹弓は張って20~30分の間は成りが安定しないからです。時間がたってくると、同じ弓の引き方をしているのにも関わらず、矢が真っすぐに飛んでくるのを実感したり、またその反対もあったりします。

つまり、矢数が少なければ、矢が真っすぐに飛んでいなかったとしても、偶然なのか自分が悪いのかが判断できないです。しかし、矢数をかけると的が前に飛ばない理由を具体的に考えることができます。

効率よく筋肉を鍛えられる

いうまでもないですが、矢数をかけた方が、全身の筋肉を多く活用します。そのため背中、腕の裏側といった弓を引く動作に関係する筋肉を鍛えることができます。これらを矢数をかけながら強化していけば、弓をもっと引きやすくなり、かつ胴造りも崩れにくくなっていきます。

筋肉を強化するだけなら、筋トレでもよいように思うかもしれません。ただ、弓道で大切なのは、そのように筋肉を鍛え、キレイな姿勢を離すまで維持することです。したがって、筋肉を鍛えたら、その筋肉を実際の動作につなげるために、弓矢をもって引く動作をする必要があります。

自信がつく

的にあたらない人、自分の射型に自信をもてない人の原因は、練習のし方ではなく、そもそも練習量が圧倒的に足りていないことが挙げられます。

弓道に限らず、ほとんど全てのスポーツ、勉強の分野でうまくなるための考え方として「方法」ではなく「練習量」を挙げています。トライアスロン、英語でも同様ですが、あなたのスキルが伸びない原因が、練習方法以外に、練習で学んだ身体や頭の使い方を実践する機会が少ないからとい考えられます。

・練習が終わった後でも、だれにも負けないくらいに距離を積み重ねた (女子マラソン金メダリスト 高橋尚子)

・英語で話せない理由は、文法が難しいのではなく、その文法を使いこなせるだけの量に足りていないだけ (英語同時通訳者 株式会社Ales Noba 宮本太平)

このように、他の分野では、なるべく練習量を多くかけようと解説しています。弓道の例外ではありません。射でも同様に徹底的に矢数をかけて弓を引くようにしましょう。やがて、矢数を徹底的にかければ、自信がついてきます。

1日10本程度しか引かない人に比べて、30本40本も引いている人がいれば、その人の方が自信がつくのは容易に想像できます。「これだけ練習をした」という時間の使い方があなた自身をさらにポジティブな気持ちにさせます。

「矢数をかけると悪い射型が癖づく」という考え方は嘘である

弓道の世界では、「矢数をかけると悪い射型が癖づいて、それがとれなくなる」という教えがあります。このようなことは体の仕組み上、起こらないので無視してください。むしろ、その反対でたくさん矢数をかけるようになると、良い射型に修正しやすくなります。

そもそも最初は具体的にキレイな射型の状態を自分で感じることはできないはずです。自分ではしっかり引けているつもりが、写真を撮ってみてみると「肩が上がっていた」「手首が曲がっていた」ということに気づけます。そうして、原因がわかったら、それを改善方法を考えていきます。

ただ、大部分の人は悪い癖が出始めた瞬間に、ゴム弓に戻ったり、巻き藁に生き始めたり、射場に行くのを放棄しがちです。おそらく、そのような悪い射型で射をすると、指導者や高段者に指摘されるとわかっているからです。しかし、そのような思考は捨てて、うまくなるために積極的に的の前に立つようにしてください。

なぜなら、悪い射型を改善するためには、少々悪い癖が出ていたとしても練習を続け、やりながら解消していくのが普通だからです。練習量を減らして、良い射型に改善することはほとんどありません。

先ほどの例に挙げたマラソン金メダリストや同時通訳者に私は実際に会ったことがあります。そこで二人に共通しているのは、「たとえフォームや型が悪くても、ひとまずやることが大切」と解説します。英語であれば、まずは文法や冠詞を間違えて話すことが大切と解説されます。

この考えを弓道にも当てはめてみましょう。弓道の場合であれば、たとえ射型が悪い部分があってもただただ矢束をいっぱい取ることを意識し、その射で矢数を積み重ねていけばよいのです。すると、矢の長さいっぱい引くことに慣れて、肩をそろえるのも姿勢を正すのも容易にできます。

たくさん矢数をかけて引くことに慣れてきたら、肩や胸など違った部位を意識しながら弓を引けるようになります。そうすると、キレイな射型に修正できるようになります。

そうして自分自身で体の意識の仕方を変えることで、射型を修正できます。指導者の言われた通りに引き方を行っていけば、勝手に射型が引けることはまずないと思ってください。

ところが、「悪い射型になる可能性があるから矢数をかけるな」という指導ならどうでしょう。このように、自分自身で悪い部分も実感できず、その原因もわからず、直すための具体的な方法についてもわかりません。引いている最中に、指導者に腕や拳、肩をつかまれて、見た目「良い形」にその場で直されて、射型を正されます。

指導者はそのように行ってキレイな形に指導した気にはなるでしょう。しかし、そのようにされると、自分自身ではなく、指導者によって勝手に悪い部分をかき消されてしまうために、余計に自分自身の悪い部分を認知できなくなります。大切なのは、悪い部分を自分自身で気づいて実践することです。

そのような理由のため、これから的中率を伸ばしたいと思う方は、極力矢数をかけるように意識してください。そして、指導者に悪い部分を指摘されたとしても、気にせずに稽古し続けましょう。そうして、矢数をかけると、悪い部分を自分自身で把握できるようになり、直し方も考えられます。

どうしても矢数をかけられないときの対処法

ただ、このように矢数をかける重要性を理解していたとしても、場所によっては矢数をかけられない環境で引いている方も中にはいます。その場合の対処方法について解説します。

人が多くて射場に立つ時間が少ない場合

地方によっては、練習日に何十人も集まり、競技・審査の間合いで皆でそろえて稽古するために、一人当たりにかけられる射の時間が減ってしまう環境があります。一人だけならたくさん矢数をかけられるが、20人以上いて、5人同時に弓を引くために、弓を引く時間がないということです。

この対処法ですが、待っている時間は「巻き藁」を徹底的に行いましょう。射場では意識せずに矢の長さ一杯引くのに徹して、巻き藁では、射場以上に矢数をかけるように意識してください。すると、効果的に体を使い続けることができ、弓を引けます。

ただ、道場によっては次射場に立つために、後ろで待たないといけない場合があります。その場合、代理人を立てて場所を取ってもらうようにします。あるいは、待つ間に、素引きをすることと離れ動作を確認するように意識することが大切です。

道場には人が多くて、中には「待っているときはおとなしく待ちなさい」と言われる場合があるかもしれません。

その場合、「自分はうまくなるための練習を行っています。理解できない場合は巻き藁で練習させてください」と本人に理由を言うか、その団体の指導部か会長にご相談ください。本人がうまくなりたいと思っているのに、それを否定する理由や権限はありません。理由を伝えて、練習できるようにしましょう。

指導者・高段者が口うるさい場合

ただ、中には指導者が口うるさく「むやみに矢数をかけるな」と指導される場合もあります。自分で弓を引こうとすると、打ち起こしの際の両拳の高さから大三の形までキレイな形にそろえようと矯正してきます。

もし、伝えても問題ない場合、自分の意志をきちんと伝えてください。

「弓道の勉強で重要なことは、指導者に矯正されるのではなく、自分でその悪い部分に気づくことだと思います」

「そのように、形を矯正されるとその時はよくなるかもしれません。しかし、自分自身でその悪い部分が出ている原因を見つけないといけないし、その原因を解決する方法も考える必要があると思います」

「指導者に一から矯正されるのは勉強にならないと感じております。よろしければ、自分自身で行ってはいけませんか?」

このようなことを、自分で言うか、指導部か会長にご連絡するようにしましょう。それで聞き入れてくれれば、問題ありません。次からは自分で考えて矢数をかけるようにしてください。そうして、自分自身で悪い癖を改善できれば、的中率を向上させるキッカケになります。

ただ、弓道の世界はそのような柔軟な対応をしてくれず、どうしても「まずは形を直さないといけない」「指導者の言うことをまずは聞きましょう」と圧力をかけられる場合があります。シンプルに、このように言われた場合はさっさとその団体をやめてください。

そのような高段者・指導者は高い確率で「段を取らせる」ためにそのような指導をしている可能性が高いです。そのような射型が昇段審査では受けが良いこと、またそのような指導が一番自分が優位に指導しやすいこと、この二つの理由があるから、受け手から別の提案をされると聞き入れてくれないのです。

その場合、さっさとその団体をやめて別の環境に変えましょう。重要なことは「段を取る」ことではなく、「自分で考えて、問題を解決する力」を養うことであるはずです。そのような機会を与えずに、言われた内容だけしかやらせてくれない、さらに自分で考える機会を与えてくれない弓道団体にいても金と時間の無駄です。変な考え方に染められる前に辞めてください。

いくら「家から近い」「自由に道場を使える時間帯が長い」と言っても、そのような引き方しかさせてくれないなら、そこにいる価値はありません。最近では、そのような考えで弓道連盟から脱退して自分たちでチームを作って活動している事例も多くあります。ぜひ、体育館に行ってそのような団体を探して、最初は見学させてもらってください。そうすれば、あなたの考え方を受け入れてもらいやすくなるでしょう。

以上の内容で、矢数をかけることは大切であると解説しました。ただ、環境によっては矢数をかけられない場合もありますので、自分自身で工夫し、矢数をかけられる環境を選んでいってください。

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