的中率50%を超える具体的な方法:気持ちを落ち着ける術をたくさん持つ

この記事では、「できるだけ心を落ち着けて弓を引く方法」について解説していきます。

弓の引くための練習、姿勢の構築まで理解したら、弓を精一杯に引くことと別に気持ちを落ち着かせることも大切です。次に、その理由と具体的な方法について解説していきます。

心を落ち着けると、的に中る確率が向上する

的に中ると的中率が向上する理由は、「関節のブレ」が少なくなるからです。

弓道の世界では、的中は精神7分技3分という言葉があります。会に入って弓を押している最中に拳や肩が揺れると、弓もぶれます。特に弓の上部は長くできているため、揺れが大きく出てしまい、矢飛びの方向性を狂わせます。もし、弓を押している最中に不安や緊張感を持っていたら、より拳や肩がぶれてしまいます。

この内容の通り、離す前に気持ちが動揺していると、拳や肩のブレが起こって矢が正確に真っすぐにいかない場合もあります。特に、気持ちの面からくる関節のブレの方が制御しずらいです。

よく、関節のブレを抑えるために、「手の内で弓を握り締める」「肩を前に巻くように入れて固定させる」「軽い弓を用いる」などして稽古している人もいます。ただ、そのように行っても心が緊張していれば、関節にぶれが出ます。離れた瞬間に、矢飛びに微妙な狂いが出てしまい、的からはずれてしまいます。

正確に真っすぐに矢を飛ばすためには、どこか一部の関節を固めるという行為は一切抜かないといけません。それよりも、気持ちを極力落ち着かせるようにします。

細く長い呼吸を各動作で意識しよう

そこで、どのような方も積極的に取り入れられて、かつ効果が高いのが「呼吸」です。呼吸動作を行うと、落ち着いた動作で引き分け動作に入っていけます。

呼吸動作は、息を吐く際に、気持ちを落ち着かせる副交感神経が活性化します。吐く動作を意識することで、副交感神経が働き、血圧は下がって、気持ちが落ち着きます。反対に、吐く息が低下し、吸う意識の方が強すぎると、緊張感や不安感が大きくなります。

すでに、心理学の調査では、呼吸動作によってあらゆる気持ちの乱れを落ち着かせることができることがわかっています。例えば、時間が足りないと感じたとき、呼吸動作によって、「時間を遅く感じることができる」ということもわかっています。

そこで、今回は、どのような方も取り入れるべき3つの呼吸の仕方について解説していきます。

胴造りで腹圧を確認し、弓構えでいったん息を吐く

まず、胴造りでは呼吸動作を行ってください。首の後ろを伸ばし、両肩を下げて息を吐いてみましょう。肩と胸が下に落ちて、お腹周りに体重が乗るのが体感できるはずです。まず、胴造りで腹に体重を乗せて、気持ちを落ち着かせてください。

次に、弓構えの動作である取り懸け、手の内動作を完了させます。物見を入れて、弓を打ち上げる前に、一度息を吐いてください。ここで息を吐いて首の後ろを伸ばします。ここで、両腕に無駄な力みがないこと、首筋が伸びていること、足裏に体重が乗っていることなどを確認するようにしてください。

その後に打ち起こし動作に移ると、変な迷いなく楽に弓を上げられるのがわかります。さらに、体の力みを取って、脚に体重を乗せると、打ち起こししているときに拳や腕に力みがあるのも気づけるはずです。上半身をリラックスさせて、伸び伸びした気持ちを切らさずに弓を上げていきましょう。

引き分け、会では、「伸び伸び」引くのを意識する

引き分け、会においては、「伸び伸び引く」ことを意識してみてください。この理由は、引く形や軌道を意識しても、体が緊張してしまうからです。

例えば、引き分けで左右対称に引こうと思うと、腕や拳に意識が行きがちです。なぜなら、「左右対称に拳を動かそう」と思ってしまうからです。すると、引き分けの動作自体が小さくなってしまい、会に入ってから腕にかかる負担が大きくなります。

このように、弓を引いているときに一部分の関節に気持ちが行き過ぎると、別の関節のブレに気づきにくくなる場合があります。拳に意識を置いて弓を動かすと、肩関節に力が入っていたり、上がっていたりしても気づきにくいです。うまく引こう、形通りに引こうとすると、その形や動きを行うとしてしまい、体全体で弓を開けないという結果になりかねません。

他に、円を描くようにして引く、右肘を締めて引く、という教えがあります。円を描くように両肘を動かすと、肘は動くかもしれません。ただ、人によってはこのように引くと、最後の会で肩関節に弓の負担が集中し、上半身が詰まった感覚になるはずです。

そのため、弓を引くときは「円に」「左右対称」にとは思わず、「伸び伸び大きく開く」と思って引いてください。このように意識すると、腕や拳にとらわれず、体全体で弓を引いている感覚を得やすくなります。そして、この意識で引いてみると、4射引いて全て中らないにしても、1,2本なら入ります。

そのように意識して、弓を引いてみるよう試してみましょう。

心を落ち着かせるばかりに、弓を引くのやめてはいけない

ただ、心を落ち着かせる際に、気持ちを落ち着かせることに意識が行き過ぎて、引き分けが小さくならないようにしましょう。

引き分けで大きく引こうとすると、弓の反発力が体にかかって全身が緊張します。この緊張を「無駄な緊張」と思い込んでしまい、引き分け自体を小さくして、体にかかる負荷を減らそうとします。

この方法を使って、実際に的に当てている人がいます。そのような方を見ると、矢の本はぎのテープを唇付近につけて離します。これでも中る人は中にはいます、しかし全員が中る方法ではありません。安易に取り入れないようにしましょう。

それより、心を落ち着ける必要性を明確にしましょう。ここでは「矢の長さいっぱいに引いても過度に緊張した状態をなくすため」と考えるのがベターです。

弓構えの段階で腕、肩の無駄な力みを抜くために、呼吸をすれば、腕関節を大きく動かしやすくなるため、弓を大きく開けます。さらに、呼吸をして余計な不安を取り去れば、素直に弓を大きく開けるでしょう。自分自身の思う矢の長さいっぱいに引くことをより実現させるために呼吸を意識するのが合理的です。

すると、弓を大きく開いているが、そこまで気持ちが上ずらなくなります。この状態を「緊張なき充実」と説明している文献もあります。

弓を引くときは、「適度に緊張している」状態は理想と言えます。なぜなら、その緊張によって、弓を押し開こうという力につながるからです。ただ、だからと言って緊張しすぎると、弓は確かに引けますが、集中力が持続しないのです。弓を押し続ける状態を長く負担なく維持するために、緊張感ではなく、充実した感覚を持つことが大切になります。

したがって、弓を大きく引こうとすると体が緊張するからと言って、安易に引き分けを小さくしないようにしましょう。それより、息を吐くことで、より弓を大きく開けると考えてください。たとえ、矢束一杯に引いても、安心した気持ちを維持するために呼吸も取り入れるようにしてください。

息は吐きすぎたり、吸いすぎたりしないようにする

なお、呼吸は「長く細く」行うように意識しましょう。弓構えで息を吐くときは細く長くしてください。

短時間で息を深く吐いてしまうと、胸郭が動きすぎてしまい、腹部や胸の筋肉が動きすぎてしまいます。すると、息を吸ったときにお腹が引っ込んでしまったり、胸が張ったりしてしまいます。これによって、弓を押し開く姿勢が崩れてしまいます。

これで、弓を大きく押し開けなくなるのです。つまり、呼吸を意識しすぎても、最大限に弓を押し開けなくなります。

ここは意識して、長く細く吐いてみましょう。おそらく、呼吸に意識を置いて長く吐くと、落ち着いた気持ちになってくるはずです。ここで無駄な緊張をなくすと、引き分けで「過度な緊張状態」を減らせます。目いっぱい弓を引けなくならないようにするために、「呼吸」に集中しすぎないようにしましょう。

以上の内容をまとめると

・胴造り、弓構えで息を吐く

・引き分け、会は「伸び伸び引き続ける」と意識する

・心を落ち着けることを優先して、引き分けが小さくならないようにする

・呼吸は、細く長く行い、短時間で深く行わないようにする

ことを意識してみましょう。日々の稽古で、的中率を上げるきっかけになるはずです。

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