本日は、正しい手の内十文字の作り方について解説します。特に、弓道教室や弓道連盟のフォローアップを受けている初心者、また弓道歴1年目から3年目の方に向けて、ぜひ身につけていただきたい内容です。
まず、手の内十文字を作る際に、左手に力が入りすぎないことが重要です。解剖学的に正しい手の内の作り方を理解し、それを踏まえて、どのようにすれば指が自然に開き、適切な十文字が作れるのかを解説していきます。
一般的に弓道教室では、「三指(親指・人差し指・中指)を揃える」「天文筋に当てる」などの指導が行われています。また、縦横の十文字の考え方についても説明されることが多いですが、ここでは特に「手の内十文字の作り方」について詳しく解説していきます。
多くの弓道指導者が「三指を揃えて天文筋に当て、十文字を作る」と説明します。しかし、この指導方法には問題があります。特に弓構えの段階で三指を揃え、天文筋に弓を当てて十文字を作ることは、正しい形とは言えません。
実際に、浦上酒井先生の『弓道教本』第2巻では、「三指を揃える」「天文筋に当てる」「親指を一定の位置に当てる」といった説明がなされています。しかし、この教え方は直射の技術に基づくものであり、社内で用いる手の内の作り方とは異なります。弓構えの段階で三指を揃え、十文字を作ろうとすると、弓を回す際に手首や親指に負担がかかり、摩擦によって親指に豆ができやすくなったり、力のバランスを崩したりする原因となります。
弓道連盟の教本には、「射法八節の中で十文字を常にキープしなければならない」とは書かれていません。むしろ、古い弓道文献では、手の内は射法の最終段階で形成されるものであり、弓構えの時点で十文字を意識する必要はないとされています。
また、現代の弓道連盟では、比較的柔らかい弓が使用されているため、手の内を固めた状態でも問題が生じにくくなっています。しかし、昔の弓のように硬さのあるものを使用した場合、この方法では手首や指に過度な負担がかかり、適切に弓を引くことが難しくなります。
正しい手の内十文字を作るためには、以下のポイントが重要です。
- 親指は上向きにする 一般的な指導では親指を天文筋に押し当てるように言われますが、実際には小指と弓が十文字になるように意識するのが正しい形です。
- 胸を開く姿勢を作る 正しい手の内は、姿勢から始まります。胸を開いた状態で姿勢を整え、それに伴って自然に手の内が形成されることが理想です。
- 動きの順序を意識する まず姿勢を整え、次に動きを意識し、最後に手の内の形を作ることが重要です。多くの弓道指導では形から入ることが多いですが、実際には姿勢と動作の流れの中で手の内が決まります。
- 演奏(基本姿勢)を意識する 正しい演奏の取り方を習得することで、肩や腕に無駄な力を入れずに弓を引くことが可能になります。
現在の弓道連盟の指導では、合気道で使われる関節技のように、力を無理に入れる形になってしまっています。しかし、昔の弓道の指導を研究すると、自然な体の使い方に沿った手の内の作り方が伝えられています。
この理論を学び、正しい手の内十文字を身につけることで、無理な力を入れずに弓を引けるようになります。現代の弓道指導に疑問を持たれている方は、ぜひ一度この考え方を試してみてください。
最後に、当チャンネルでは毎月オンラインセミナーを開催していますので、興味のある方はぜひご参加ください。今後も弓道の価値観を広げるための情報を発信していきます。