弓道における正しい呼吸法を吐く息だけで見極める方法

弓道で呼吸の重要性が語られることは少ないですが、正しい呼吸法を身につけると

射型が安定し力みが減る

というメリットがあります

多くの人が呼吸について漠然とした解釈しか持っていませんが、どう息を吐いたら正解なのか?姿勢や動作が改善されるのかについて解説します。

まず、重要なのは

呼吸はコントロールできていることが大切

一般的には、

・動く時に息を吸う

・止まる時に息を吐く

と言われております。あるいは、

・うち起しで息を吸う

・引き分けから吐いていく

このように決められております。

このように、動作の要所要所で吸う吐くを決めておくメリットは、「覚えやすい」ことが挙げられます。

しかし、このように呼吸を決めても肝心の「弓を引いている最中に、体が自然に動き、脳・内臓・筋肉・呼吸に負担がないように動作を行う」という目的を達成できません。

この目的から考えると、呼吸をすう・吐くタイミングを決めてはいけません。決めるとそこで、集中力や流れが乱れてしまうからです。

実際に、呼吸動作は息を吸う時に、交感神経が活発に働き、そこで集中力や注意力が散漫になる体の仕組みがあります。だから、呼吸をすることを意識してはいけません。

できれば、全身の筋肉を伸ばして、脳が過剰に働きすぎないようにして、結果的に呼吸動作は行われるようにする必要があります。

そのために、呼吸動作のポイントをいくつか解説していきます。

 

呼吸のポイント:胸とお腹を動かさない

呼吸する時、胸やお腹が動かないようにしてください。

もし胸やお腹が動いてしまうと、体の中心が揺れ、上に伸びる力が失われ、射型が崩れてしまいます

正しい呼吸法は、最初に、お尻の筋肉を緩めて、お腹と胸の筋肉を左右に広げます。そうすると、頭頂部をしっかり上方に伸ばせるようになります。

これで呼吸をしてみてください。おそらく、吸う時に胸が膨らみずらくなり、吐く時に、お腹の筋肉が緩み、体重が落ちた感覚が減ると思います。

これが、呼吸の正しいあり方です。体を上に伸ばし、全身の筋肉を緩めておけば、勝手に息が入ってくるという感覚で呼吸をするのが大切です。

さらに、呼吸をコントロールする方法をお伝えします。

吐く時間を長くしよう

呼吸をコントロールするための簡単な練習を紹介します。

  1. 5秒で息を吸い、吐く時は10秒ゆっくり吐きましょう。
  2. それができたら、さらに5秒延ばしてみてください(15秒に伸ばす)。

この時に、胸やお腹が動かないよう意識してください。

ここでよく起こることが、

息を長く吐いている時にだんだん苦しくなって、吐く→吸うに切り替える時に大きくスゥぅって吸ってしまうことです。

もし息を長く吐くのが苦しくなり、急に息を吸ってしまう場合は、呼吸のバランスが崩れます。

つまり、それだけ呼吸を長く力を抜いて行ていないのがわかります。この

射型にも影響が出てしまいます。このように、吐く動きを長くするためには、

 

上に伸びて呼吸をしよう

胸とお腹の筋肉をしっかり開きます。そうすると、頭頂から体を上に伸ばせるようになると思います。

この姿勢、息を長く吐いてみてください。おそらく、吐く息を非常に細くして、長く続けることが可能になります。さらに、吐ききったあとに、吸う状態に切り替える時も乱れることなく呼吸動作ができると思います。

このように、息と吐く息のバランスが整うと、動作全体が滑らかになり、力みのない自然な動きが実現します。

これは、弓と禅の教え「停息なく」と言われています。

これは、どこまでも息を長く吸い、長く吐き、その流れを途切れさせないことを意味します。

呼吸が途切れずに続く状態は、弓道において非常に理想的な状態です。より呼吸を長くし、吐く息を長く意識することで、射型がより安定します。

ただ、これを行うのには、あなたのそもそもの姿勢が大切です。

例えば、ほとんどの人が呼吸を正しくコントロールできない理由として、皮膚の硬さ

あります。

皮膚が硬いと筋肉の動きが制限され、胸郭周りの筋肉が十分に伸びなくなり、結果的に呼吸の吸う長さ、吐く長さが制限されてしまうのです。

この問題は、筋肉を伸ばすだけでは解決はできません皮膚を柔らかくし、体全体の動きをスムーズにする必要があります

そのためには、最初の構え、姿勢を変える必要があります。

姿勢を整えることで、自然と呼吸も深く、長くなります。

まとめ

呼吸をコントロールするポイント

  1. 胸とお腹を動かさない呼吸を身につける
    → 上に伸びる力が強まり、射型が安定します。
  2. 息を長く吐く練習をする
    → 5秒吸って10秒、15秒吐く練習を行い、バランスを整えましょう。
  3. 皮膚を柔らかくし、姿勢を整える
    → 筋肉を伸ばすだけでなく、皮膚を柔らかくすることで呼吸の自由度が高まります。
  4. 弓と禅の「停息なく」を意識する
    → 呼吸が途切れず続くように意識すると、動作全体が滑らかになります。

呼吸は単なる酸素の供給手段ではなく、射型の基盤を作る重要な要素です。正しい呼吸法を身につけることで、弓道だけでなく、日常生活においても心身が整い、より安定した状態を保つことができるでしょう。

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