「両肩のズレ」「早気」に困っているなら、足踏みを見直そう

弓道を稽古していると、「引き分けのときに両肩がずれる」「早気になって困っている」などの問題に陥ります。年齢を重ねるとさらに、射癖は治りにくいですよね。

そこで、今回は、本質的に様々な射癖を改善する方法をお教えします。具体的には、

足踏みを広くする。

これを行うだけで結構射癖は改善されます。

なぜ、足踏みを広くすると、たぐり、両肩の上がり、早気は改善されるか?

足裏に体重をしっかり乗せて、骨盤を地面に対して垂直に立たせれば、上半身の力が抜けて、弓矢の操作がしやすくなるからです。

全てとは言いませんが、大部分の射癖は胸や肩といった「上半身に力みが出ている」ことから起こるからです。

真っ直ぐに背骨を伸ばして無駄な動作なく弓を引ければ、肩が上がったり手首が曲がったりしません。しかし、射癖にかかった人は弓矢の操作を手で行なってしまうため、手首や腕に無駄な動きが出てしまいます。

手っ取り早く射癖を直す方法が「足踏みを正すこと」。まず、足踏みの位置を正しましょう。

ただ、腰の位置を下げれば良い

具体的には、「広く踏んで、骨盤を起こす」これを行うだけで、あなたは射癖を改善することができます。

普段踏んでいる足踏みより、二足程度広く踏みます。このように広く踏むと、人によっては足踏みが前に倒れるかもしれません。そこで、両太腿の付け根を外側に動かすようにして骨盤を起こしてください。

こうすることで、腰の重心が下方向に下がります。そして、上半身の無駄な力みを取ることができます。

例えば、以下の射癖の原因を見てみると

手首のたぐり→手首を曲げて引いてしまう

左肩、右肩が上がってしまう→肩に力が入ってしまう

早気→胸や肩に力が入って弓を長い間押し開けない。

よく考えれば、これらは「上半身に力が入っていること」から起こっていると考えられませんか?では、上半身に力が入らないように姿勢を作ると、解決の糸口が見えます。

そこで、足踏みを広くふむことが有効となります。

手首のたぐりを足踏みを改善できる理由

なぜ、手首がタグってしまうかというと「手先で弓を引いているから」ですよね。でも、手先で弓を引いてしまう理由は、そうしないと、弓を大きくひらけなくなっているからです。

ここで、足踏みを広めに踏んでください。おそらく、足踏みを狭く踏んだ時より引きやすくなるでしょう。腰の位置が下がると、上半身の姿勢が安定し、上半身の力みが抜けます。これによって腕を動かしやすくなります。

加えて、腕で弓を押し開く力以外に、脚の踏ん張る力によって弓を押し開くことができます。これが、足踏みを広くすることで、弓を引きやすくなる理由です。

つまり、手先で引かなくても、弓を大きく開くことができるようになります。結果的に、手先の力が抜けて、弓を引けるようになります。

足踏みを広くすると、両肩は上がりにくくなる

次に、足踏みを広くすると、両肩関節は上がりにくくなります。腰の重心が下がるからです。

腰の位置が高いと、両肩が動きやすくなります。これにより、大三や引き分けで両肩が動いてしまい、上に上がったり力んでしまいます。

しかし、足踏みを広くすると、上体が沈む力が強くなるため、両肩が上がりにくくなります。実際に試すとわかります。足幅が広いと腕をあげても両肩が上がりにくくなります。

そのため、両肩の上がりも改善できます。

早気特有の症状である「胸の力み」も足踏みを広くすることで改善

早気になる理由として、胸の筋肉が緊張することが挙げられます。ただ、これも足幅を広くすることで解消できます。

足踏みを広くふむと、上半身の力みが抜けて、結果的に胸の力みも取れます。これで左肩が詰まって、長い間押し切れない状態も改善できます。

早気の改善も、足踏みを広く踏むのは効果的です。

足踏みを広く踏む際の注意点

ただ、足踏みを広く踏んだ時に注意点が2点があります。

一つは母指球に体重を乗せないこと。母指球に乗ったら足踏みを広く踏んでも射癖は直りません。母指球に体重を乗せすぎると、背筋に力が入ってしまうからです。

背筋に力が入ると、胸の筋肉が縮む。胸部が張って前に出やすい。肩に力が入りやすい・・・・・と様々な力みに悩まされます。さらに、足踏みを広く踏むと、下半身の筋肉も力が入りやすいです。

つまり全身カチコチの姿勢になってしまいます。ですので、母指球に体重を乗せることだけはやめるようにしましょう。

もう一つは「角度」にも気をつけましょう。足踏みを広くした時、両足の角度が広すぎると、おそらく前に倒れやすいです。そのため、60度程度に開くように心がけましょう。

行儀が悪いと言われた場合の対処法

なお、弓道の世界では、「広い足踏み」を嫌う指導者もいます。なぜなら、

足踏みが狭いと袴が地面につきにくくなり、見栄えと行儀がよく見える(小笠原流の書物より)」

「練達者の場合、足幅は狭くなる」

このように、言われていることもあり、「足踏みが広い=行儀が悪い」と認識されています。なので、裾が地面につくぐらいに足踏みを広くしていると「広すぎ」と指摘されてしまいます。

この時の対処法は簡単、「がっつり広く足踏み」を踏むようにしましょう。理由は、広い足踏みに慣れて置くと、狭い足踏みでも問題なく引けるようになるからです。

広い足踏みの利点は太ももの内側にある内転筋が伸びることです。この筋肉が伸びると、腰の位置をより下げられ、姿勢が安定します。そして、この姿勢を一度作ってしまえば、足踏みを狭くしても問題なく引けます。

逆に足踏みを狭いままで稽古をしていると、広い足踏みができなくなります。足幅を広くすると、逆に体勢が保てなくなったり、脚に力が入ったりします。

そうすると、土台となる足踏みは不安定なままです。結果として、肩関節に負担がかかった弓の押し方や両肩のずれ、早気といった問題は解消できなくなります。

このような問題が起こる前に、広い足踏みに慣れるようにしてください。先に!両肩がブレてしまったり、早気になってしまった場合は、

足踏みを広くする

このように考えることで、弓を引けるようにしましょう。

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