弓道の世界で最も厄介な射癖として「早気」が挙げられます。

早気になると直すのが大変で、「最も最悪な病癖」とも表現している本もあります(「現代弓道講座7巻」より)。

早気を直そうとすると、的中率が下がったり、うまく引けなかったり・・・。大会や審査で結果を出しタイト思っている人にとっては、この状況はとてもつらいですよね。

「中っているからいいのでは?」「でもなんとなく早気を改善しないといけない」といろんなモヤモヤが積み重なり、稽古にも身が入りにくくなります。

実際に、私も高校時代、1年以上早気にかかりました。練習の時はしっかり持てても、本番の試合になったら早気になり、中らなかった経験が多々あります。自分でも「弓道に向いていないのか」と悩みました。

ただ、ここでお話ししたいのは、私の早気の苦労話ではありません。早気になる原因は明確であり、練習の仕方から考え方を変えれば、「1か月」で改善することが可能です。

 

早気は3つのカベをクリアすれば、改善可能である

これまで早気の方を30人以上改善してきた経験からお話すると、早気には三つの壁があります。これらを越えれば、早気を改善できます。

・胸の筋肉の力み

・眼球の筋肉の力み

・優先順位と目標の付け方

これら三つの問題はどのような方も超えられる壁であり誰でも実践可能です。

早気になったとき、あなたはどのような感情に包まれましたか?私は実際に早気にかかった経験者に、そのときの心境をお話してくれました。

・手首に力が入るのがどうしても気になった

・中っているのに罪悪感に包まれた

・周りの人に言われて、気分が落ち込んだ

とお話をいただきました。

この「手首に力が入る」「罪悪感を抱く」「気分が落ち込む」といった感情は「胸の筋肉が縮んだ」ときに発生しやすいです。胸部の筋肉が縮み、全身への酸素供給量が減って、脳へ送られる栄養素が低下すると、脳に焦りの感情が出ます。

こうして緊張感や不安感を生み出してしまうと、早く離したいと思ってしまうのです。この胸の力みを取り去ることで、あなたは会の最中に余裕の気持ちが生まれます。

この他に、胸部の筋肉の力みによって起こる「緊張感」の引き金として、「眼球の力み」があります。

弓を引いている最中に、「目の奥」が力むと緊張や不安が発生してしまうのです。

本記事では、焦りの感情を発生させる原因となっている「胸」と「目」について詳細を記していきます。そして、二つの部位の緊張を取り去るための「姿勢」「引き方」を身に着けてもらいます。

解剖学と大学の調査に基づいて、「早気経験者にだけ特別に持っている病」を特定し、それを取り除く方法について解説していきます。

ただ、この理論を学んだだけではまだ直りません。さらに深堀して、早気に一生ならないようにするために工夫をしていく必要があります。

やみくもに直そうとしたら、直せません

私の経験からお話すると、早気は「やみくも」に直そうとしても改善できません。

例えば、私は早気になったときに、以下のような取り組みを行いました。

・会に入ったら自分で「1、2、3……」と数えて5秒たったら離れる

・とにかく体の力を抜こうとする

・会に入ったら、有名人の歌を頭の中で流して、5秒立ったら離れる

・会に入ったら、右こぶしの近くに人に立ってもらい、5秒以上そこにいてもらう、5秒以内に離れたら近づいた人に当たる、それ以上たったらその人に離れてもらい、離れても被害が出ない

しかし、結果「会は長くならなかった」です。練習でうまくいっても実際の大会に入ると、早く離してしまいます。

これは、闇雲に直し方を知っていても意味がないことをさしています。いくら原因がわかっていたとしても、具体的にどうなればその問題が解決したことになるかわかりませんよね。

胸や眼の力みが早気の原因である。そりゃ確かにそうだがどうやってこの問題を解決すれば良いのだ?その具体的な方法は?そこで、「課題設定の仕方」が必要になります。

具体的な指標を明らかにし、稽古していくことで、方向性を定めて稽古できます。すると、早気の再発防止ができます。

ここまで実践できれば、「適切に練習を行えば、誰でも直せる」と言えます。

具体的に取り組んでください、迷うことは何一つありません

早気になってしまう原因と対策法は後で解説するとして、早気に関して何となく言われている教えがあります。

・直し方はわからないものと言われている

・直すのに長期間かかる

・直そうとすると的中率が下がる

このような教え、情報は全て無視してください。早気になるのには合理的な根拠があります。

早気経験者にしかない「特異的な感情や要素」を解剖学の視点から調べ上げることで、「行うべきこと」がわかります。では、その特異的な感情と言うと

早気経験者:「持とうとしても、的を見ると離してしまう」や「そこで離すと中りそうな気がする」など

これ、射の最中にこのように感じるのは普通おかしいと思いません。だって、私たちが弓を引いてて「ここで離せば当たる」とか瞬時にわかりますか?たとえそれがなんとなくの感情であったとしても。

これらの反応は、健常者にはなく、早気経験者にある何かしらの身体の欠陥を疑いたくなります。この感情は、「姿勢や骨格のズレ」「脳の仕組み」から考えていくと、改善の道がひらけます。

では、そのようについ離したくなってしまう「姿勢のずれ」「骨格の状態」とはどのような状態でしょう?次の記事「早気の原因は胸と眼からきている」から、原因を明確にしましょう。

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