1.踵荷重の姿勢に変えると圧倒的に弓を引きやすくなる

今よりも弓を引きやすくするためには、「踵」が大事。

「踵荷重」の姿勢とは、「足首に体重が乗った」姿勢ですね。

「足首の真下に踵」がありますので、その部位に体重を乗せる。

はい!これだけで、踵荷重の姿勢が完成します。

人の足関節は「脛の骨」「足首関節」「足指の関節」で構成されており、足首関節は脛の骨の重さがダイレクトに乗ります。

このため、足首関節に乗せるように意識すると、踵に体重が乗った間隔になります。

反対に、足指関節は脛の骨と直接つながっているわけではないので、直に重さがのりません。こちらに体重を乗せると、現代弓道でよく言われる「拇指球に体重を乗せる」教えになります。

これを無視して、踵に体重を乗せてください。多くのメリットがあります。

1.背筋が緩んで弓が引きやすくなる

踵荷重の姿勢により、頭部と胸郭が後ろに引きやすくなって、背筋が伸びて力みが取れます。

これによって、弓が引きやすくなります。

反対に拇指球荷重の姿勢をとってみてください。頭部と胸郭が前に出やすくなり、背筋が張った上体が力んだ姿勢になります。

 

2.呼吸がしやすい

背中の力みが取れることで、呼吸がしやすくなります。

みぞおち付近には「横隔膜」と呼ばれる膜があります。この部位が上下に動くことで呼吸動作が行われます。踵に体重を乗せて背筋が緩むと、横隔膜が上下に動きやすくなり、呼吸しやすくなります。

反対に、拇指球に体重を乗せると、背筋が張って呼吸しにくくなります。

3.打起こしがしやすい

踵荷重で背筋を緩めると、両腕を動かしやすくなるため、打起こしがしやすくなります。

4.体配動作がキレイになる

踵荷重にして、背筋が緩むと、前後左右に重心移動を行いやすくなります。よって、様々な体配動作が楽に行えるようになります。

執り弓の姿勢、跪座、様々な方向に体を向ける動作は踵に体重をかけることで、綺麗にできます。

つま先荷重の姿勢で起こる弊害

では、反対につま先重心にすると、脚の筋肉に3つの悪影響を与えます。

足のアーチ構造が崩れる

足指の骨には、筋肉が少ないため、負荷をかけ続ければ、アーチ構造が変形してしまう要因になります。

足は、踵、小指、親指の三点のアーチ構造を有しています。踵に体重を乗せている場合、踵から足にかけて生えているアーチ部に体重がかからないため、構造は壊れにくいです。

しかし、つま先付近に体重を乗せようとすると、足先までのアーチに負荷がかかります。

やがて、つぶれてしまい、土踏まずにある隙間がなくなります。これによって、様々な弊害が起こります。

姿勢が不安定になる

足のアーチ構造が壊れると、骨盤や背骨などの上半身の骨を安定的に支えられなくなります。なぜなら、足裏の接地面が小さくなってしまうからです。

試しに、簡単な実験をします。

踵、もしくはつま先付近に体重を乗せた姿勢で、誰かに肩を押し下げてもらってください。おそらく、踵付近に体重を乗せたほうが、押し下げられる力がかかっても、姿勢を保持できると思います。

つま先に体重を乗せると、肩がグラグラしたり、背骨が反ったりします。つまり、拇指球姿勢は踵荷重姿勢に比べて不安定と言えます。

この不安定になる要因は、足裏の三角形の関係で説明がつきます。

足裏は踵、親指、小指の3点が地面に接します。この3点を結んだ三角形の大きさで、脚、上半身を支える安定性が変わります。この三角形が大きいほど、脚と上半身を支えやすくなります。

踵に体重を乗せていると、この三角形が大きいため、姿勢が安定します。つま先荷重の場合、踵への荷重度が減って三角形の面積が小さくなるため、不安定になります。

 

注意:拇指球に体重を乗せ続けると、足の甲が広くなってそれで面積が広くなるのではと考える人もいるかもしれません。

しかし、そのような場合でも、踵への荷重度が減って「足裏全体」を使えているわけではないので、姿勢の安定性は低下します。

つまり、拇指球付近に体重を多めに乗せると、脚を支える土台が弱くなるのです。

脚、上半身の筋肉が無駄に力む

こうして、足のアーチが崩れてしまうことで、脚の筋肉が無駄に力んでしまいます。射に入る前に、脚がパンパンに張ってしまうのです。

足の甲のパーツは、「踵」「足の甲」「足先」の三部位に分けられます。

この中で、足の甲の部位は「中足骨」と呼ばれています。この中足骨、めっちゃ脚へとつながる筋肉があります。足首を伸ばしたり屈めたりする筋肉、外や内側へ曲げる筋肉など。

もし、つま先に荷重をかけたとすると、中足骨のアーチが下がります。

これにより、中足骨付近の筋肉が圧迫され、脛の内側とふくらはぎの筋肉が張リます。

これによって、脚の力みに連動して、背筋も力んでしまって、上半身全体が力みます。

ようは、全部が力むんです。拇指球荷重は、

実際、拇指球に体重乗せて手で背中を触ってみてください。背中がパンッパンに張ります。

弓道で綺麗な姿勢を作り、弓を引きやすくするためには、出来るだけ力が抜けた姿勢を構築する必要があります。

しかし、拇指球荷重にすると、猫背や反り腰になってしまい、リラックスした姿勢とはかけ離れてしまいます。

踵荷重に変えたことで、高齢で28kgを引く

弓道家は年齢を重ねると、弓を大きく引けなくなってしまいます。この理由は、年齢による筋力の低下と考えられてきました。

しかし、私の知り合いには、年を重ねるほどに強い弓を引けている人を数多くみてきています。

・28kgの弓をひき、25kgで40射以上する60歳後半の男性

・24kgの弓をひき、21kgで50射以上する60歳前半の女性

・25kgの弓で素引きをし、22kgで40射する60歳前半の男性

・15kg→22kgまで弓力が上がった60歳前半の男性

・15ー20kgまで弓力が上がった50歳の男性

・9kgから22kgまで弓力が上がった40歳の女性

この人たちには全員、「拇指球荷重から踵荷重に変えるよう」にアドバイスを変えました。そうして、どんどん弓を引けるようになりました。

今が一番弓も引けるし、射型も綺麗、体配も体力も上がってきている」と言います。

これを言うに、年齢を重ねて弓が引けなくなる理由は、「老化」ではなく、そもそもの姿勢の認識の誤りだったと考えられます。

母指球荷重の姿勢が正しい姿勢と教育されて、自ら足のアーチが崩していては、簡単に体力も弓引く技術も衰えてしまいます。

その体重をのせる場所を「踵」に変えるだけで、筋肉の使い方から上達度まで変わってしまうのです。

連盟の「拇指球重心」の指導はGHQに影響を受けている

なぜ、このように、拇指球重心で今日は弓を教わるようになったのか?

それは、「GHQ」によって、武道の教育指導が変わったからである可能性が高いです。

戦前の弓道は、「無駄な力みを加えないで動作をする」ことに価値を置いてきました。本来、武道は稽古によって「自然で落ち着いた状態」を身に着けるのが目的でした。

弓道の書籍には、禅の用語が複数紹介されていますが、禅も「座禅で体が緩んだ状態でひたすら座り続け、思考と心を整理する」ことが目的とされています。

そのために、自ら力を入れて稽古することは不自然で、踵に体重をかける姿勢の方が適切といえます。

剣道の構えも踵。柔道の投げ動作を行う時も踵。合気道も踵、宮本武蔵の五輪の書も「踵を踏む重要性」を説いています。

しかし、戦後、GHQによって武道の教育方針が変わりました。

柔らかく身体をつかって心を育む教育から、国が都合良く管理するための「鍛える教育」に変わってしまったのです

まず、「力を抜けた姿勢・動き」が合理的でないと判断されます。筋肉を縮ませないと、力が出ないからです。

「筋肉を縮めること」が精神を鍛えることに繋がると考えるようになり、立ち方も「気をつけの姿勢」が良いと言う価値観にすり替えられました。

そこで、拇指球荷重の姿勢の方が合理的であるかのような説明が戦後の文献で多くなってきます。

例えば、戦前に発行された弓道の書籍では、

背筋に力が入って、上半身が浮いてしまい、背面固着に陥って、永遠の伸びは手に入らない(心月射儀 武禅 昭和11年1月号より抜粋)

と記されています。しかし、戦後の文献になると

腰を前に突き出すことで、背筋に力が入り、縦線が効く(唐沢光太郎範士十段「弓道読本」より)」

と説明します。

つまり、背筋を張った状態を「力んでる」ではなく「効く」となんとなくポジティブな言葉に言い換えています。そのため、「背

筋に力を入れるのがいいこと」のように思いたくなります。

この影響をわかりやすく受けた影響が剣道です。

剣道は、相手の間合いに素早く入るために、踵荷重の姿勢を取るのを基本としていました。宮本武蔵、中山博道の逸話を聞くと、彼らは皆「拇指に体重を乗せてはいけない」と解きます。

しかし、戦後に入って、拇指球荷重の姿勢の方が有効と指導方針が変わります。

拇指球荷重の姿勢

「もし、相手の間合いに入る時、一度ふくらはぎに力を入れて、瞬発力によって相手の方向に体を進める必要がある。その時に、踵に乗せていると不合理であり、つま先に先に乗せておけば、早く瞬発力を引き出すことができる・

したがって、つま先荷重の姿勢にした方が良いという考えです。しかし、踵荷重の姿勢は現代のスポーツ化された剣道であっても十分に使える操法と考えられます。」

参考文献:「有信館剣道の歴史と文化」より

このように、戦前の剣道では踵荷重の姿勢が基本だったとわかります。しかし、戦後になると、踵荷重の姿勢ではふくらはぎの筋肉が縮まないため、瞬発力が発揮しにくくなるとネガティブな評価をしています。

この理屈の付け方が非常に不合理。実際に剣道の動作では、つま先に力をかけた方が入り始めが遅くなります。

剣道関係者から聞いても、踵荷重の姿勢の方が、「動き出し」がわかりにくくなる分、間合いに入りやすくなると話を聞きます。

筋肉の観点から「踵荷重の姿勢で入り始めは早くなる理由」を説明するのは困難です。しかし、拇指球荷重の姿勢にすると、「ふくらはぎに筋肉によって、瞬発力が上がる」と説明できます。

さらに、練習してふくらはぎの筋肉が強化されれば、より瞬発力が上がって相手の間合いに早く入れるとも言えます。

つまり、拇指球荷重の姿勢にしてしまった方が、いろいろと説明が楽です。だから、拇指球に体重をかけるのが正しいとなんとなく認識されてきました。

人間には、「間違った情報でも7回以上目にしたり耳にすると、正しいものと信じてしまう」心理的な作用があります。

踵荷重が正しいと思っていても、「背筋がしまって云々・・・・・」と言われ続けると、それでもいいかと思いたくなりますよね。

あるいは、「間違った内容でも、全員が行っているとその内容に従ってしまう」心理的な働きもあります。

自分だけ踵荷重の姿勢でも、みんなが拇指球荷重の姿勢で稽古していたら、それをしないといけない感覚になりますよね。

このような、人の心理をうまくついて、拇指球荷重の姿勢が正しいと言う認識がついてしまいました。

本来、武道において力が入りやすい姿勢は「不適切な姿勢」です。しかし、このような考え方は、戦後に入ってから教育されなくなりました。

やがて、教育で学ばないもの=必要ないものと判断して、誰も「力が抜けた自然な姿勢」の重要性を学ばなくなりました。

仏教が葬式仏教のイメージを植え付けられ、本当の教えが浸透されなかったように。

個人がどのように考えるのは勝手ですが、この内容が基礎、正しいと言い始めたのには多いに問題があると考えています。

昔の武道の考え方と反対の内容になってしまっているからです。

であれば、あなたが弓の引き方をより良くしたければ、

なんとなく正しいと思われてきた「拇指球荷重の姿勢」ではなく、足のアーチや体に無理のない「踵荷重の姿勢」を取り入れるのが合理的です。

筋肉を固めるのではなく、弓を押し開くために使ってください。そうしないとどんどん弓が引けなくなり、怪我をします。

踵荷重の姿勢を実践してみてください。

戦前の大部分の弓道家が踵の重要性を解いている」ことをこれから解説します。

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