4.距骨を使えば体配動作が全て行いやすくなる

弓道を上手くなりたいと思う人は、昔の先生が推奨する「踵荷重」の姿勢を作るのが大切です。実践することで背筋が緩んで弓を引きやすくなります。

加えて踵荷重にすると、体配動作も容易に行えます。「前に進む」「しゃがむ」「体を左右に向ける」といった動作が、全て「踵」を使えば、やりやすくなります。

その理由を解説します。

距骨を使えば、身体を前後左右に動かしやすくなる

踵には、距骨と呼ばれる膝下の骨と踵をつなぐ骨があります。この骨はベアリングの機能にも例えられ、「距骨の上で転がって体が前に動く」とも説明されます。

体を前に進める時、膝下の骨が距骨の上を転がるように動きます。これによって、身体の重心を前方に動かしやすくなります。これは簡単な実験でわかります。

つま先に体重を置き、つま先を蹴るようにして歩き動作を行なってください。歩くたびに脚に負担がかかって上体も大きく揺れます。

しかし、踵に体重を踏んで目線を下げるようにすると、スムーズに前に歩けます。かつ上体も揺れません。

なぜなら、踵に体重を乗せて、体を少し前に倒すと、距骨の上にある膝下の骨が前の方向に転がるように動くからです。これによって、体を前に動かしやすくなります。

それだけではありません。左右に体を回す、しゃがむといった動作も行なってみてください。

左右に体の向きを変える時も、踵に体重を乗せて行うと回りやすいです。しゃがむ時も、つま先に体重を乗せると、やりづらいですが、踵に体重を乗せると、腰しゃがみやすくなります。

では、距骨を使って実際の体配動作を行なってみましょう。歩く、後ろに下がる、しゃがむ動作がしやすく感じると思います。

つま先を浮かせると、すり足で歩きやすくなる

距骨を活用すれば、「すり足」もしやすくなります。

歩く手前で踵に体重を乗せて、つま先を浮かすようにしてください。すると、自然と体が前に進み、足裏全体にスムーズにのり、腰から動きやすくなります。

反対に、つま先に体重をかけて歩いてみてください。おそらく一歩めは勢いよく歩けますが、だんだんすり足で歩きずらくなります。

執り弓の姿勢は、少し目線を下げて行うため、少しだけ体を前傾させます。拇指球に体重を乗せたまま動くと、つま先から床に設地しやすくなり、つま先に体重がかかります。

すると、地面との摩擦力が大きくなるため、歩き動作にブレーキがかかります。「ズリッズリッ」って、足裏に摩擦がかかりすぎてしまいます。

すり足ではなくずり足です。

スムーズにすり足で歩きたいなら、踵を活用するようにしましょう。歩き方も整い、姿勢を崩さず動作ができます。

執り弓の姿勢も踵荷重で容易にできる

ちなみに、執り弓の姿勢も踵荷重で容易にできます。

よく、執り弓の姿勢で「両肘を張ろうとすると、肩が痛くなる」方がいると思います。これは、拇指球に体重を乗せるからです。

踵に体重を乗せると、胸が内側に入ります。。その状態で肘を張ると、肩の負担が少なくなります。

立ち上がり動作で踵を踏むと、腰が落ちにくくなる

跪座から立ち上がる動作の際に、腰が下がってしまう人は多いです。

とある近畿地方の講習会の情報によると、演武や見本を見せる時に、腰が下がりすぎて跪座から立ち上がれなかった高段者がいたと聞きます。

この問題も、踵を活用すれば解決できます。

立ち上がるときに、浮いている踵を踏むように意識し続けます。自分の体重をつま先ではなく、踵に乗せるようなイメージです。

すると、腰が下がらず立つことができます。

踵を踏み込むように意識すると、足に体重をかける点が体の重心より遠くなります。力が込めやすくなって、体が後ろに倒れません。

なぜ、立ち上がり動作の時に腰が落ちてしまうのか?それは立ち上がる時につま先に力を入れてしまうからです。

跪坐の姿勢から立ち上がるとき、右足のつま先に力を込めてしまうと、体重を乗せる点が身体の重心と非常に近くなってしまいます。

これで立ち上がろうとすると、体が後ろに倒れてしまって腰が下がります。

このように、踵に体重を乗せると、立ち上がり動作もしやすくなります。

緊張して体配が早くなっても落ち着きを取り戻す方法

体配動作の際に、緊張して早歩きになってしまう問題も、踵荷重の姿勢で解決できます。

軽く膝を曲げて、踵に体重を乗せるようにしてみてください。骨盤が垂直に正され、腹で呼吸しやすくなります。

深呼吸すると、緊張が取れて自然と動きがゆっくりになります。

人はゆっくり呼吸をしている最中、動作を速くするのが難しくなります。反対につま先に体重を乗せて呼吸をすると、胸で呼吸(胸式呼吸)がしやすくなり、体が緊張しやすくなります。

こうした「つい焦りがちな状態」も踵に体重を乗せて解消できます。

踵を踏むと、周りと動作を合わせやすくなる

最後に、踵に体重を乗せると、「周囲との動作」を合わせやすくなります。

全員が本座に立って座ろうとするとき、隣の人との座るタイミングがずれてしまうことがあります。この問題も、踵に体重を乗せると解消できます。

キーワードは「踵を踏むと、隣の動きが見えるようになる」です。

両隣の人と動作を合わせるときに、踵を踏んで顎を引くようにしてください。すると、視界が広がりませんか?おそらく、顔を動かさなくても、隣の人の動作が見えるようになり、合わせやすくなります。

踵を踏むことで、顎が引きやすくなって首の後ろの後頭下筋が緩みます。これにより、視界を広げたり狭めたりする際に働く「毛様体筋(もうようたいきん)」が緩みます。

毛様体筋は遠くを眺めるようにすると、緩みます。首の後ろを伸ばし、眼球をゆるめると、あたかも遠くの景色を眺めるような感覚が得られるのです。

これによって、横方向の視界も広がり、隣の人の動きやしぐさも目に入りやすくなります。

これによって、隣の人の動きもよくわかるようになります。

このように、踵荷重の姿勢に変えると

・歩く、左右に体の方向を変える、しゃがむ動作がしやすくなる

・すり足もしやすくなる

・両肘を張りやすくなって執り弓の姿勢が取りやすくなる

・立ち上がり動作もしやすくなる

・動作がゆっくりになる

・相手との動きが合わせやすくなる

となります。ぜひ、踵荷重の姿勢を意識して、体配動作を完璧に行えるようにしてください。

さぁ、ここまでの踵射法に対するメリットが理解できたら、それを「足踏ー弓構え」まで応用していきましょう!「踵射法、足踏みー弓構えまでの実践方法」にて、具体的ステップをご覧ください。

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