初心者の動きがぎこちなくなる本当の理由とは?

弓道を始めたばかりの方が最もよく感じる悩みのひとつに、「なぜか動きがぎこちない」「どうしても力が入ってしまう」というものがあります。礼をするときも、歩くときも、弓を構えるときも、どこか不自然で、先生からたびたび注意される…。

実はこれは、あなたのセンスや筋力の問題ではなく、ほとんどの場合姿勢のクセに原因があります。

全ての原因は反り腰

多くの初心者に共通して見られる姿勢のクセ、それが「反り腰」です。反り腰とは、腰が前に出て、背中が縮み、胸や首にも力が入りやすくなる状態を指します。反り腰の状態になると、体の各部位が連動して緊張し、本来の柔らかく自然な動きができなくなります。

たとえば、腕を伸ばそうとしても筋肉が縮んでしまい、思うように弓を引けなくなります。左手は落ちやすくなり、的中率は下がり、肘も張れず、射形全体が崩れてしまいます。これでは、動作のたびに先生から細かな指摘を受けるようになり、さらに自信を失ってしまうこともあるでしょう。


指導の型がぎこちなさをつくる

このような反り腰が身についてしまう背景には、教室や部活動などで教わる「作法」や「型」が大きく影響しています。

たとえば高校や大学の弓道部では、「胴造(どうづくり)」のテストで先輩に押されても動かないようにと指導されることがあります。そのときに、無意識に足を狭くして体を固め、反り腰になる姿勢を覚えてしまうのです。動かない=良い姿勢、と誤って認識してしまうのは、非常に残念なことです。

また、社会人向けの弓道教室でも、「腰から礼をする」「スースーと足をすりながら歩く」「執り弓の姿勢をこう取れ」など、形式を重視するあまり、自然な体の動きを無視した教えが当たり前のように行われています。これらもまた、反り腰を助長し、動作全体にぎこちなさを生み出す要因となっています。

「自分の動きが悪い」と感じて悩む方に、声を大にして伝えたいのは、あなたの体の使い方が間違っているのではなく、教わってきた型が“自然な動き”を妨げていただけだということです。


反り腰をやめる。それだけで変わる

では、どうすればよいのでしょうか。

答えは非常にシンプルです。体を横方向に伸ばすことです。
腰や胸、頭が前に出ると、体は自然と反り腰になります。そうではなく、背中の横幅を意識しながら、脇の下や肩甲骨の内側(菱形筋)を横に引き伸ばすイメージで姿勢を整えます。
この「横に伸びる」感覚がつかめると、肘は自然と張れ、胸や背中の余計な力が抜け、動作全体が軽やかになります。

歩くときも、足をスースー擦るようにせず、つま先を軽く浮かせることで、体の重心が前に行きすぎず、腰が前に出るクセを防げます。礼をするときは、腰から折るのではなく、脇の下や太ももの外側を意識して動かすと、自然な前傾が可能になります。


あなたの動きが変われば、弓道はもっと楽しくなる

一度身についてしまった反り腰のクセを直すには時間がかかるかもしれませんが、焦る必要はありません。弓道は「自然体」を重んじる武道です。誰かの形をまねるよりも、自分の体に合ったバランスを丁寧に作ることが何より大切です。

あなたの動きがぎこちなくなるのは、あなたのせいではありません。
本来あるべき姿勢を身につけることで、弓道はもっと楽しく、もっと気持ちのいいものになります。


※今後、図解や練習ステップ付きで「弓の持ち方」「執り弓の姿勢」「礼の基本」なども章立てにして加筆可能です。必要があればお申しつけください。

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