小笠原流「小腹」の教えから、心が落ち着く姿勢を理解する

小笠原流の射法書に「小腹」の教えがあります。これらは、肛門に注目し、安定した胴を身に着けるための考え方を説明したものです。

お腹は自分の心の状態を確認するために重要な部位です。しかし、実際に弓を引く動作に活かすためには、お腹の使い方には二通りあり、心が安定するお腹の使い方を理解する必要があります。

ここでは、胴づくりを整えるための「小腹」の教えと実際の稽古に活かすために筋肉に凝りのない胴の作り方を解説していきます。

「小腹」の教え

「小腹」の伝では、腹の前を強く張って全体をしっかり詰めよと教えています。お腹周りを張ることは、自分自身の心を落ち着けるために、必要な動作です。

人がわくわくしているときは、落ち着かない気持ちになっていて、気分が動揺していないときはお腹がどっしり据わっているといいます。「腸の事」の伝では、「腸不在の在所にあらざれば弓勢違う也」と説明されており、気分が落ち着いているときは、腸のあり方がしっかりしていると説明したものです。

「小腹」の教えを弓を引く動作に正確に活かすためには

人はおなか周りを二通りの方法で張ることができます。

一つは上体を前傾させておなかを圧迫させることです。これにより、おなかが見た目張ったように見えます。しかし、この姿勢を取ると弓を引くと上体が前後にぶれやすくなります。下腹部の筋肉が固くなってしまったため、それ以上支えるために力を出せなくなったためです。

もう一つの方法として「おなかをふくらます」ことです。これは、おなかを呼吸によってふくらませることで張ります。この張り方によって、心の安定した姿勢を作ることができます。
まず、上体の筋肉の力みを一切取ります。次に、両肩を落として、胸周りの緊張と解きます。これにより、上体の重みが腰周りに均一に体重が乗ります。

次に呼吸を行います。このときに息が吐きやすくなっていることを確認します。このとき、息を吐くときのお腹の使い方を注目します。吐くときのお腹を縮めるのではなく、お腹をふくらますようにしましょう。

すると、お腹周りの空間が広がります。これにより、腸の上にある横隔膜、食道といった内臓器官が下に下がります。(医学的には、お腹周りの陰圧が下がり、圧力が高い方から低い方に移る、この原理で横隔膜が下がると解釈する)つまり、お腹をふくらますように息を吐くと横隔膜が下がります。

これにより、お腹が呼吸により体重が乗る感じが体で体感できます。私の場合、中の内臓が下に下がって、腸周りに集まる感覚がでます。これにより、お腹据わった姿勢ができあがります。

前者のように、お腹を張った姿勢を取ると、下半身全体が緊張します。しかし、後者のように全身の緊張を解いて、内臓の位置を下方向に動かしてあげると、心が安定した胴が完成します。

小笠原流射法の説明に「お腹を張るように」胴造りを整えましょうと書かれています。しかし、実際にお腹を張って心を安定させるためには、お腹を圧迫させるように張るとうまくいきません。それよりも体の力みは取ってお腹をふくらますように呼吸をしましょう。横隔膜が下がって、心が安定した胴づくりが完成します。

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