3種類の立ち方から、適切な胴づくりを理解する

射を行う上で、どこにも凝りのない、どこにも力の抜けたところがなく、身心ともにゆったりとした姿勢を持つことは大切で、胴づくりはそういった形と心を身に着けるために行います。

しかし、凝りのない、力抜けのない、身心ともにゆったりとした立ち方をイメージするのは困難です。そうした場合、人間の立ち方を3種類に分け、分析をすることで、適正な胴づくりが理解やすくなります。この3種類の立ち方は弓道範士、高木範士による研究と見解によるものです。

ここでは、3種類の立ち方から、身心ともに凝りのない胴づくりを理解していきます。

3種類の立ち方「兵式姿勢」「安易姿勢」「正常姿勢」

ここで、3種類の立ち方を兵式姿勢、安易姿勢、正常姿勢と分けます。

兵式姿勢とは「気を付け」の姿勢で知られて居る直立不動の姿勢です。この姿勢は行射のような静かな落ち着いた円滑に要するものには、そこまで有害に働くわけではありません。初心者はこの姿勢から入っても問題ないと考えられます。

しかし、この姿勢の欠点は胸が張り出しすぎていることです。腰が後ろへ引かれすぎていること、全体が硬すぎることが挙げられます。

安易姿勢とは一般に「休め」の姿勢で知られている姿勢です。筋肉の緊張も適度で快適な感じの姿勢と言えます。

しかし、この姿勢は休憩をとるための姿勢であるので、行射で行うと上体の重心の線が下体の重心の線より後方に落ちるため、射を行うと、両手、両腕に頼った射になり、上体と下体が別ものになったちぐはぐな射になってしまいます。

正常姿勢とは頭部、上体、下体の各重心線が一直線に足関節に落ちる姿勢です。極めて不安定な姿勢です。しかし、この姿勢はほんの少し修正しますと、射を行うに最も合理的で理想的な射となります。

その修正は重心の位置を変えるのです。

すこし、全身の背面の筋肉がほんの少しだけ引っ張られるようにして全身を曲げずにそのまま前方にきわめて傾かせて重心線が両足の中央よりやや前方に落ちるようにすれば良いのです。こうえすれば、のちの引き分けに大きく体を割り込ませるために姿勢となりうるのです。

正常姿勢を身に着けるには、兵式姿勢から力の抜き方を理解する

最後に説明した正常姿勢で射を行うと上下、左右に押しあい、気持ちものびのびとした射が生まれます。

二番目に説明した安易姿勢で行うと上下左右とも伸びがなくなりがちで、特に上下の伸びが不足となりがちです。すらり、のびのびとした心もちが射の最中で生まれません。

最初の兵式姿勢は初心者のもので、稽古になれてくれば自然と安易姿勢につながっていくものと言えます。そして、最終的に正常姿勢のようにリラックスした姿勢を理解できます。

このように、初心で兵式姿勢から習うようにします。慣れてきて力の抜きどころがわかり、安易姿勢となって、最終的に射の実力が上がるにつれて、正常姿勢になっていきます。

胴づくりのとき、臍下丹田に力をこめるとか、下っ腹に力を込めるといいますが、これは努めて力を入れるのではなく、自然とどっしりそうなるように下腹部や下半身の力が抜けないように、無んだ力みをしないようにすることが大切です。

心身に凝りのない胴づくりのためには、「正常姿勢」を理解する必要があります。そのためには、まず兵式姿勢で射を行い、上半身の無駄な緊張の抜き方を理解していくことが大切です。

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