手の内において、角見や虎口に力を入れてはいけない理由

弓道で射を行うとき、力んだり緊張しないためには、心を落ち着かせることが大切です。心を正常に整えることで、筋肉に無駄な力みがなくなって、運動中に無駄な動作がなくなります。その結果として、弓を引く動作で最大限のパ力を発揮することができます。

そして、心の状態を整えるには、人の体にある神経とその働きを理解する必要があります。ここでは、平静な気持ちを持って射を行うために必要な神経とその働かせ方について解説していきます。

 副交感神経を理解する

人の体には自律神経と呼ばれる神経があります。これは、生体内の心臓や神経の働きをコントロールしている神経です。そして、自律神経には「交感神経」と「副交感神経」に分かれます。

交感神経は興奮時に活動し、副交感神経は安静時に働く神経です。これらの神経は相反して働き、自律神経によって調節されています。そして、落ち込んだり、怒ったりすると、交感神経と副交感神経の働きのバランスが崩れます。これによって、心の状態が不安的になります。

普段、私たちが生活しているときは交感神経が優位に働きやすいと言えます。例えば、仕事で忙しく、精神的に焦っている状態は交感神経が働きすぎています。スポーツの世界で、緊張したり動揺しているときは、交感神経によって気持ちが不安定になっています。

そのため、多くの人たちは副交感神経の働きを強めることを心がける必要があります。副交感神経を活動させると、焦っていた心を落ち着かせることができ、平静の状態を保つことができます。

副交感神経を活性化させる方法

副交感神経を高めるにはどのようなことを行なえば良いでしょうか?最も有名な方法は「深い呼吸」を行うことです。深い呼吸は腹に空気を取り込み、腹圧を高めます。これによって、全身に血流が高くなって、副交感神経の働きを高めます。

ただ、副交感神経を高める方法は他にあります。それは、自己指圧です。副交感神経は呼吸以外に、自分の体の一部を押して圧をかけることで、活動させることができます。

その中の一つに親指の根本があります。これは、弓道の世界では、「角見」と呼ばれており、矢を真っ直ぐ飛ばすために、必要な部位です。そこで、親指根本のふくらみをこするようにしましょう。これによって、心を落ち着かせることができます。

この部位を、誰かにマッサージしてもらうと非常に気持ちが良く、リラックスするのがわかります。これは、親指の根本が副交感神経とつながっているからです。親指は副交感神経とつながり、血液の成分と血行状態、脳の働きと関連しております。

そのほかに気持ちを落ち着かせる方法として、「虎口(ここう)」を刺激することが挙げられます。虎口とは、弓道の世界で人差し指と親指の間を表します。この部位をもんであげることで、緊張を緩和することができます。

その理由は、人差し指と親指の間を刺激して上げることで腸が働くからです。腸の運動が活発になり、全身の血流が良くなることで心が休まります。さらに、人差し指と親指の間を刺激してあげることで、肝臓の働きが活性化、便の改善といった効果も期待できます。

手の内の説明で「角見を効かせましょう」「人差し指と親指の間の皮を巻き込むように手の内を入れましょう」という説明があります。これらの説明を言葉通りにとらえると親指の付け根を弓に押し込んで固くしてしまう人がいます。あるいは、人差し指と親指の皮をよじって弓を握ろうとする人がいます。

これらの行為は離す直前に手先の微妙な狂いを招きます。そのため、矢を的にはずす可能性が高くなります。また、二つの部位を力ませたり、硬くすることは射における気持ちの不安感を誘発してしまい、余計な力みが入ってしまいます。そのため、この部位は故意に固くしたり力を入れたりしないようにしましょう。

射において、無駄な緊張や力みをなくするためには、副交感神経の働きを高めることが大切です。そのためには、親指の根本(角見)と人差し指と親指の間(虎口)に刺激を与えるようにしましょう。副交感神経が働き、心を正常な状態に整えることができます。そして、弓を握る動作では、決して2つの部位を自分から力を入れず、硬くしないように心がけます。

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