早気を直す具体的ステップ:胸の力みを解きほぐす7つ行動

さぁ、早気を直そう、胸の力みをときほぐせ!

この記事では、早気を改善するための具体的手法について解説していきます。

まず、前の記事で早気の原因は「胸、眼から来ている」と解説しました。

そのために、取るべき姿勢とそれを実践するために7つに項目に分けて解説していきます。しかし、実際に行うことは一つだけ「腰を立たせる」ことです。この内容を理解して、弓を引くと、どんどん弓を引けるようになって来ます。

腰が立つと、心も体も緩む

胸部の筋肉が張ってしまう理由は、前傾姿勢です。腰が反ると、胸部と眼の筋肉が連動して張ってしまいます。

そのため、解決方法はその逆を行えばよく、腰を前に突き出すのではなく、立たせるように姿勢を作ります

両手で腰骨を触るようにしてください。その腰骨を触った両手を半時計にすくいあげるように、骨盤を立てるようにしてください。これが腰が立った姿勢です。背中を触ると、背筋が緩んでいるのも確認できます。

もし、それでも背筋がゆるまない場合、足踏みの角度を通常より少しだけ広くしてください。すると、お尻の穴を閉めやすくなります。お尻の穴を締めると、骨盤が垂直に立ちやすくなって自然と目線も上がります。

これが、腰が立った姿勢です。この姿勢を毎回の射で維持できるようにしましょう。

具体的に背筋をゆるめる手順

では、この腰を緩める姿勢を維持するためには?以下の六つのことをしてください。

イ、踵付近に体重を乗せるように意識

ロ、膝関節をゆるめるようにする

ハ、両肩を下げて、肩の筋肉をゆるめる

ニ、余計な心配をなくす

ホ、弓構えで腕と指の力を抜くようにする

ヘ、眼は半眼にする

ト、弓構えをする際に、細く長く呼吸をする

このように、6つの部位「足裏」「膝」「肩」「脳」「腕」「眼」の筋肉をゆるめるようにします。そして、最後に呼吸動作を行って、呼吸ができるかを確かめてください。楽に深く息が吐けたなら、あなたの背筋は十分にゆるんでいます。

1拇指球に体重を乗せるのをやめる

胸筋をゆるめるために、まず「立つ時の重心の位置」に注目。「拇指球」ではなく、「中心(土踏まずもしくは、土踏まずのやや前)」に乗せるようにします。

つま先付近に体重を乗せるのをやめると、上半身が緩まるのがわかると思います。

このように、足裏への重心を拇指球に乗せるように指導されている由来は、「吉田能安」の書籍の教えからきているのではと推測しています。

足踏みでの体重の乗せ方は、「煎餅を踏む」ように立つ、先ず先に、つま先たちになって、かかとに煎餅があると仮定する、そして、かかとをおろしていき、煎餅を割る心持ちにし、足裏をつけていく (吉田能安「弓の道」より記載)

おそらく、この教えにある「つま先立ち」という一部の文章を切り取って解釈し、「立つときは拇指球に体重を乗せるように」という指導が伝わってきたと推測されます。

ただ、文章をよく読むと、後半に「かかとを踏むように」と書いてあります。つまり、吉田能安氏の文章の言いたいことは「前重心に立つ」のではなく「中心部」に立つように教えているのです。

大部分の人はつま先立ちの後にかかとを踏んだら、「前重心」に立てないはずです。「つま先立ちになってつま先に体重を乗せる」のではなく、最後にかかとに体重を踏んで「足裏全体」に体重を乗せるように解説したものです。

加えて、教本二巻の文章も借りて、立ち姿勢における適切な重心の位置についての記述を見ると、神永氏は「立つときの重心は中心、もしくは中心よりやや後ろ」と解説しております。

身体の重心は、左右のつま先とかかとをそれぞれ結んだ交差点に乗るくらいがよい~神永範士~

この交差点に実際においてみましょう。すると、重心の位置が「前」ではなく、「かなり後ろ」に感じるはずです。足踏みにおいて体重の乗せる点は、自ら前方に乗せるのではなく、少し後ろ気味」が適しているのです。

踵に体重を乗せたほうが弓が引きやすくなる

ただ、中には、「弓を引く上では、かかとに体重が乗っていると、体が後ろに倒れてしまう、それを防ぐために拇指球に体重を乗せる」とお話される人もいます。

実際、この文章と体の構造とを照らし合わせて読んでみてください。本当に踵に体重を乗せると体は後ろに倒れるでしょうか?そのようなことはなく、ほぼ全員は踵を踏むと、前に倒れやすくなります。

その場で立って、踵で踏むように両足のつま先を浮かすと、体全体は前に倒れるように動きます。引く最中に、拇指球に体重を乗せたくなければ、手前の段階で踵に体重を乗せて置いたほうが合理的です。

試しに、踵に体重を乗せてください。両腕で軽く円形を作って上方に上げてください。すると、大部分の人はスムーズに重心が前気味に移ります。つまり、体が後ろに倒れないようにするために、引くときに拇指球に体重をかけるためには、手前の段階で「踵」に体重を乗せておいたほうが良いのです。

逆に、つま先に体重をかけて、腕を上方に上げてください。ほぼ全員の人が身体が後ろ方向に倒れてしまうのがわかります。もし、つま先に体重をかけて身体を後ろに倒さないようにするためには、骨盤を前傾させて自ら上体を前に傾けた姿勢を作らないといけません。

弓道教本の胴造りには、「脊柱、項を真っすぐに伸ばし」と記されています。胴づくりの段階で背筋を伸ばすためには、拇指球に体重を乗せるのは不適切です。

自分から骨盤を前に傾けたり、背筋が張ると、腰部の背骨は引きあい、隙間が狭くなります。この行為は「脊柱(背骨)を伸ばす」ことになりえません。

そのため、拇指球に体重を乗せすぎるのはやめましょう。

2「ひかがみを伸ばす」意識をやめる

このように、踵に体重を載せると、膝関節が軽く曲がるのがわかります。次に、「ひかがみ(膝の裏)を伸ばす」ことをやめるようにしてください。

弓道の世界では、足踏みの指導で「ひかがみを伸ばしなさい」と解説されることがあります。しかし、本当に伸ばそうとすると、骨盤が前傾します。膝蓋骨がピンと伸ばすと、太ももの前側が張って骨盤も前に引っ張られます。

では、膝関節はどのようにして伸ばすのでしょうか?膝自体を伸ばすのではなく、お尻の筋肉を活用してください。

足先を外側に開くように意識し、太ももが外側に回旋させてください。自然と膝関節を伸びます。これは、太ももの外側にある膝関節を伸ばす「外則広筋(がいそくこうきん)」と呼ばれる筋肉が働き、膝関節が伸びるからです。

この筋肉は股関節の前側についていないため、力が入って骨盤の位置が前方にずれることはありません。したがって、張りすぎたとしても、上半身全体の姿勢には影響は受けません。

ひかがみを伸ばしたい場合、足先を開いて、踵をひらけば問題ありません。両足を外側に開くように意識し、さらにお尻を締めてください。その結果、変に背筋が張らずに、膝関節を伸ばせます。

さらに、ひかがみを伸ばすことを「膝の裏側をピンと張らせる」と解釈していない弓道家もいます。例えば、宇野要三郎範士著の書籍には、以下のように書いてあります。

脚の張り方は膝関節の司る役目であるから、両膝の関節が凹むくらいに裏側を張るのであります。~宇野要三郎範士著「基本体型」より~

この言葉にあるように、ひかがみを伸ばすとは、膝の裏側をピンと伸ばす指導は違う可能性があります。さらに、この文章を読み進めると

下駄をはくとき鼻緒付根に向かって足底をまとめるように、両脚を張り足底の安定を図るのであります。~宇野要三郎範士著「基本体型」より~

と記されています。もし、この動作を行おうとするならば、拇指球に体重を乗せてはいけません。拇指球重心になると、鼻緒付近(人差し指と親指)の指が動かせないからです。この文章にあるように、膝関節の裏側を故意に伸ばす必要はありません。自分にとって楽な状態にしておきましょう。

3両肩をしっかり落とす

2、膝関節を軽く曲げれば、自然と「両肩が下がる」と思います。このことを意識してください。

4余計な雑念をすべて振り払う

次に心構えの問題です。肩の力を抜いて、深呼吸をしたらこのように考えてください。

・的に中てようと思うな

・キレイに引こうと思うな

・射形を調えようと思うな

おそらく、膝関節を曲げ、両肩を下げると、次のように意識しやすくなるはずです。そして、「自分は会は持てる」と強く思ってください。

胴づくりでは、姿勢の安定させた後に、余計な考え事をしないように気持ちを整理します。ここで、人からどう思われているかという「心配事」、とにかく中てないといけないという「焦り」を持つと、不安や焦りが出てきます。

そうして、別の感情にとらわれてしまうと、本当に行わなければいけない「弓を一杯引く」意識が薄れてしまいます。「会をしっかり持つ」ことに注力をささげましょう。

「足裏、膝関節、肩をゆるめる」作業を行った後なら、よりその意識を持てるはずです。

5弓構えで腕と手の力をゆるめる

「足裏」「膝」「肩」まで緩めたら、「腕と手首」の力を抜いていきます。腕の筋肉をゆるめることで、肩甲骨周りの筋肉の可動域(動く幅)が大きくなります。理想となる、「矢束一杯に弓を引く」射を実現させやすくなります。

弓構えにおいては「肘から先」に力を入れないようにしましょう。そのためには、弓構えにおける「手首」と「指先」と「腕の角度」を定めて、最も筋肉に力みのない状態を構築します。

手首は下向きに向けない

次に、手首。弓と弦を抱えるとき、「右手首を下向きに曲げない」ようにしてください。

手首を下に曲げて取り懸けると、一見「手の力が抜けている」というイメージを持たれます。しかし、このように手首を曲げると、大三で弦によって右手親指に引かれたとき、「つい指先に力を入れてしまう」可能性が上がります。

人の手は、手首が真っすぐに伸びていると、指を動かす神経が真っすぐに伸びて、指を動かしやすくなります。手のひらの中心には、指先を動かすための正中神経が通っており、右手首が下に向けると、真っすぐに伸びなくなります。

したがって、指に力が入りやすくなります。次の引き分け動作が進むにつれて、力みは大きくなっていきます。

この場合、指先の力を抜くことではなく、「手首の向き」を意識しましょう。下に向けたら終わりです。少し起こすようにして手首を真っすぐに伸ばします。指先を動かしやすく、力みが少ない取り懸けを構築することが大切です。

指先に力を入れない

次に、取り懸けでは、指先に力を入れないようにしてください。取り懸ける際は指先ではなく、第二~第三関節に取り懸けるようにします。

指先は、手の関節で最も血流が滞りやすい関節です。指先の毛細血管は細く、力を入れると簡単に詰まってしまいます。血管が縮むと指先に圧迫感が発生します。

すると、手首、腕と連動して力が入ってしまい、矢の長さいっぱいに引きこめなくなります。そうして弓の反発力が胸部に集中し、早気になってしまうのです。

剣道や居合道では、刀を軽く持つように意識します。柔道で襟をつかむときでさえ、指先に力を入れぬようという教えがあります。弓道も同様に、指先に力を入れて動作する必要はなく、できるだけ軽く弓を握るようにしましょう。

腕にも余計な力みをかけない

手首の向きを整え、指先に力を抜いたら、腕の力みが自然ととれてきます。腕がリラックスした状態を最初から最後まで続けるようにしてください。

もう一度骨盤の状態を確認しましょう。やせ型や普通体型の方は、両こぶしを少しだけ近づけてみてください。腕の力みがすっと抜けるのがわかるでしょう。やせ型、普通体型の方は、両こぶしを近づけるようにすると、より腕の筋肉がリラックスします。

反対に、太り体型の場合、適切な構えが異なります。踵に体重を乗せ、その状態でほんの少し体を前に傾けてください。太り体型の場合、少しだけ体を前に傾けた方が、背筋を伸ばせて腕が楽に感じます。

もし、太り体型の方が骨盤を立てようとしたとします。おそらく、背筋が張ってきつく感じるでしょう。やせ型体型の人に無理して合わさず、自分にとって背中を楽に伸ばせる姿勢を構築してください。その結果、腕をリラックスさせられます。

6少しだけ眼を開いて「半眼」にする

ここまで、腰や腕の力みが取れてきたら、眼も緩めるようにします。弓構えで物見を入れたら、目を半分開ける(半眼)にしてください。大三、引き分けと移ってもこの状態を変えないようにします。

薄目にすると、肩から胸にかけての筋肉が緩まるのが体感できます。眼の奥の筋肉は、首の後ろの筋肉もつながりがあり、肩・胸といった首に関係する筋肉も連動しています。そのため、弓構えの段階で目を少し細く開けて、肩と胸を力ませないようにしてください

7最後に、一呼吸おいてみる

1~6の動作を行って、最後に呼吸を行ってください。深く長く息を吐くことができれば「胸がゆるみ、腰が立った姿勢」の完了となります。

最後に、もう一度、実践するべき内容を項目別にまとめておきます。

ゆるめるべき筋肉 行うこと
1 足底 足裏全体に体重が乗るようにする。できるだけ踵側を意識するようにする
2 膝の裏側 軽く伸ばすようにする
3 両肩 下げておく
4 頭部 的のこと、周りの評価を気にしないようにする
5 両腕 手首を下に向けないようにする。指先に力を入れないように

取り懸ける

6 半分開き、薄目気味にする
7 呼吸 深く長く吐けるようにする

 

以上の内容を意識して無駄な力みのない姿勢を構築し、毎回の射で心がけるようにしてください。少し重心の置く位置を変えるだけでも、早気が直ってしまう人もいます。姿勢一つ変えるだけで会が持てるようになるのを体感してみてください。

次に、押し引きの仕方です。せっかく胸がゆるんだ姿勢を構築したとしても、弓を押し開く動作を間違えると、再度力んでしまいます。次に、「弓を押し引きしやすくするための具体的な取り組み方」を解説していきます。

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