打ち起こしで「肩が上がる」「左右対称に両拳が上がらない」場合の対処方法

打ち起こしをあげる時

肩に力が入ってるよ

と指摘されることがあります。ガチガチに肩が固まって肩関節が上に釣り上がっていたらカッコ悪いですよね。そのため、

両肩を下げるように意識して

と指摘されます。しかし、ここで肩関節は上がることは別に悪いことではありません。むしろ、肩関節を下げようと考えると思わぬ失を犯す可能性があります。

今回は、打ち起こしで肩を下げることによって与える射への悪影響を解説します。

むしろ、打ち起こしで肩を下げると、余計に弓を引きにくくなる

まず、打起こしで肩関節は上がっても射には影響ありません。見た目がカッコ悪いと思いこむ人はいるとは思いますが、肩が上がることは問題ありません。

理由は打ち起こしで上がった肩は、引き分けで下がってくるからです。

一度、肩関節も上がるくらいに両腕をあげてみてください。次に、引き分け動作を徒手で行なってみてください。肩は下がりませんか?両肩関節が上がったとしても、引き分け

むしろ、上がった両肩関節は下げない方がいいです。なぜなら、上がった関節を下げてしまうと、腕を大きく動かせなくなるからです。

次のことを試してみてください。

両肩関節が上がるように打起こしを行なって、次に両肩を下げてみてください。その状態で引き分け動作をすると、腕を大きく動かしにくくなっているのがわかりますか?

実際に、肩を下げると、逆に引き分け動作がしにくくなります。

よくわからない場合は、「両肩が上がった状態」でそのまま引き分け動作を行なってください。両肩が上がるくらいに打起こしをし、肩が上がったまま引き分け動作を行います。すると、先ほどより両腕を大きく動かしやすいのがわかります。

なぜか、打ち起こしで肩を下げすぎると、肩甲骨が後ろに落ちて、肺を後ろから圧迫するからです。この圧迫により、鎖骨周りの関節、肩関節も固定され、動きにくくなります。

そうして、肩関節の自由な回転機能が失われてしまい、引き分けが小さくなり、右肘を収めにくくなります。結果的に手先で引くようになり、投げ入れ離れを起こします。

つまり、単純に打起こしで肩が上がっている=ダメという思考に陥ったらだめということです。気をつけてください。

そうじゃないと、両肩が下がって「力が抜けた」と思いきや、余計に引き分けが小さくなって、手先に負担がかかった引き方になってしまいますので。そのため、打起こしで肩が上がっている=よくないと思うのはやめましょう。

打起こしで両肩が上がらないようにする方法

でも、そうは言っても「打起こしで肩が上がってしまうのはちょっと・・・」と思う人はいるかもしれません。ただ、心配は無用でここからは肩が上がらないように打起こしをする方法を解説します。

弓構えの段階で肩を下げる意識を強める

打起こしで肩を下げると、次の引き分け動作に響きますが、弓構えで肩関節を下げることは問題ありません。弓構えで両肩を意識的に下げて、打起こししてください。

浮き上がりやすい肩関節が浮きあがりにくくなります。

弓構えで両肩を下げると脇の下にある「前鋸筋」が働きます。打起こしで肩が上がってしまう諸悪の根元は、肩にある「僧帽筋」という筋肉が縮むからです。出来るだけ、弓構えで僧帽筋の力みをとって置くと、両肩が浮き上がらずに弓をあげることができます

そこで、弓構えで肩を下げて前鋸筋を張りましょう。この前鋸筋は僧帽筋と拮抗関係という性質があります。これは、ある筋肉が縮むと、別の筋肉が緩むという性質であり、脇が縮むと、肩が緩みます。

この関係を活用すると、肩の余計な力みが無くなります。

左肩だけでもいいから下げる意識を強めてみる

このように行なっても、打起こしで両肩が上がってしまう場合、せめて「左肩だけは下げる」ように意識してください。

先ほど、打起こしで肩を下げるのはよくないと言いましたが、左肩だけ下げるのはまだ問題ありません。この理由を詳しく解説します。

先ほどお話した、打起こしで上がった肩を下げると、右腕が特に動かしにくくなります。しかし、左腕は常に弓を的方向に押し続けるため、少々動かしにくくなったとしても引きわけ動作に影響は少ないです。

加えて、左肩は打起こしで下げやすいはずです。矢をつがえる時、右手は左手より上につけるため、右手が左手より相対的に少し高くなります。

そのため、左肩だけでもいいので打起こしで下げる意識を持ちましょう。一方、右肩は少しだけ上がっていても問題はありません。そこで、右肩を下げてしまうと、右肘を後方に回す運動をしづらくなり、引き分け動作をしにくくなります。

左右対称に弓を挙げられない時の対処法

次に、打起こしをするときに、

「弓弝」の間に体を通るように

とご指摘される場合があると思います。これに着いての対策方法をお伝えします。

左右対称に弓を打起こしすると、弓は引きにくくなる

まず、事実からお話すると、「左右対称」に弓を打起こしする行為は昔の文献上誤りです。理由は、昔の弓道連盟の会長や範士は左右対称に弓を打起こししている人はほぼいないからです。これは実際に教本を見ればわかります。

左右対称に弓を打起こししている人は、松井範士と言われる方以外で、それ以外の方は左右対称にほとんどなっていません。あの弓道教本の図説の写真ですら、左右対称になっていません。

実際には、射に置いて打起こしを左右対称にあげると、大三動作も弓を引く動作もやりにくくなります。

何故なら、左右対称に打起こそうとすると左手首をどうしても内側に向けなければいけません。すると、次の大三 で左手首が外側に捻る動きが強くなりすぎます。すると、左拳に力が入ってしまうのです。

実際に、弓道連盟の発行した弓道誌でさえ、「左右対称に弓を構えることは手の内動作を入れずらい」とお話している先生もいるほどです。

もし、あなたが普通に弓を引いていて、「左拳が少しだけ的方向にむく」のではあれば、極めて自然な反応です。むしろ、弓を引きやすくする最適なポジションですので覚えておいてください。

「本当に左右対称に弓を打起こしすると、弓は引きにくくなる」このことを教本の写真を見ながら、理解するようにしましょう。

ただ、ここまでお話しても全国の弓道の高段者は

・そもそも弓道教本を読まない

・ただ、左右対称がなんとなく良いと思い込んで、そうじゃない人を「汚い」と判断する

・そのように説明しても、受け入れてくれない。頭が硬くて勉強不足だから。

という現状であるため、やっぱり左右対称に打起こししないと云々と言います。その時の対処方法をお伝えします。弓を握る時に、人差し指と親指の間の股(この部位を「虎口」と言います)と弓との感覚を大きめに開けて起きましょう。

そして、弓を打起こしするときは、両拳を「手鏡」のようにし、手のひらを自分の方に向けながら、打起こしをします。すると、両拳が左右対称に上がるはずです。そして、大三をとって見てください。

おそらく、弓と虎口の間を開ければ、問題なく大三動作に入れると思います。

確かに、両拳が左右対称に向けてしまうと大三が入れずらいですが、それは弓構えの段階で弓と二つの指の股に弓をしっかりつけた場合に限った話です。間を開けてしまえば問題ありません。

そうして、左右対称に弓を打起こしし、スムーズに大三を取りましょう。

もし、弓構えの時に虎口と弓の間が空いていることを指摘されたら?弓構えの時は弓と虎口の間をつけておいてください。そして、打起こしする手前で左手の力を一瞬抜いて、間を開けて打起こししてください。

そうすれば、見た目に支障なく、かつ弓と虎口との間を開けて、打起こしできます。

ここでも、左右対称に打起こしできていない→だからだめだという思考にならないでください。むしろ、左右非対称に打起こしするのは、合理的です。

人間の体は左右非対称であり、体の左側の方が右側より筋肉量は少なくできています。そのため、少しだけ左寄りに打起こしする方が引きやすく合理的です。にも関わらず、弓だけ体と左右対称にあっていれば正しい射、綺麗な射になっているという解釈は疑問です。

このような考え方は横において、引きやすく、体を最大限に活用して弓を引きましょう。ただ、どうしても打起こしで上がった肩を直したい、左右対称に揃えないといけないという必要性が出てきたら、弓の握り方を変えたり、弓構えの意識を変えるようにしてください。

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