早気になってしまったらまず持つべき3つの目標と練習法

早気になってしまったら、初めに胸と眼の筋肉を緩めるようにし、適切な姿勢と引き方を学んで再発防止につとめます。そこまで学んだら、具体的に課題を設定するようにしてください。

目で見て「この課題が達成されれば、早気は直る」という指標を設定することで、早気の再発を防止できますできます。やみくもに直そうをしても改善できません。そこで、早気を直すために設定すべき3つの課題を解説していきます。加えて、その三つの目標を改善する方法についても解説していきます。

早気になってしまったら手に入れたい三つのこと

早気を直すために、以下の三つの課題をクリアするようにしましょう

1.矢の本はぎが頬骨につくぐらいに引く
2.会の最中に、会話を呼吸を自然にできるようにする
3.+2~3kg強い弓を10~20射程度引けるようにする

 

1.矢束一杯とれるようにする

この課題は、胸の筋肉に負担がかかっていないか判断するためにあります。射の最中に胸の筋肉が力むと、矢の長さいっぱい引くのが難しくなります。胸部が前方に突出すると、弓を身体に近づけていくときに背中の筋肉が強く張りすぎてしまい、肩甲骨の可動域が低下するからです。その結果、右肘を後方に引きまわすことができなくなり、本はぎのテープが頬骨まで届かなくなります。

そこで、引いている最中の射型を見て、矢束一杯とれているかを確かめてください

2.会の最中に誰かと会話できるようにする

ただ、射の最中に1の課題をクリアしたとしても、胸の筋肉が完璧にほぐれているわけではありません。そこで、2番目の課題として、「会に入って誰かと会話すること」を試してください。

会に入ったら、誰かから「調子はどうですか?」「今大丈夫そう?」と話しかけてもらいます。それに対して、「まだまだ」や「いつもより持てる気がするぞ」とお話するようにしてください。

これによって、会の最中に気管支と胸部が圧迫されていないかを判断します。会の途中で胸部に力が入って気管支が圧迫されれば、余裕がないし声が出たとしてもうわずってしまいます。矢の長さいっぱい引き、普通に会話ができれば、胸の筋肉がほぐれている証拠です。

目標は、5秒間話かけられても声がうわずらないよう姿勢を作ってください。

中には、「そんな乱暴なことを弓を引いている最中にできない」とお話される方もいるかもしれません。その場合は、「腹式呼吸」を実践してください。

会に入ったら、呼吸して息が吐けて吸い込める量を確認します。胸部につかえた感覚がなければ、深く呼吸できます。対して、弓の引き方が悪くて胸部に力みがあれば、呼吸しずらくです。このように、呼吸で自分の胸部がゆるんでいるかを判断してください。

3少し強い弓を引く

1.2の課題をクリアしても、体力が足りないために、再度早気になる可能性があります。例えば、時間がたつと、体が疲れてきて、会が短くなるといった具合にです。この場合、稽古しなくなると再度早気になります。

少し強い弓を使うようにし、体力的に問題がないようにしましょう。

自分の持っている弓より2、3kg程度強い弓を用いて、ちゃんと引けるかを試します。だいたい、+2kgの弓で10射程度引けると、元の弓力に戻した場合、安定して会が保てる体力が身に付きます。自分の弓力より強い弓を引いて体力を上げることを意識してください。

筋肉は、「ストレッチのように伸ばしたり・ほぐしたりする」か「負荷をかける」かで緩みます。意外かもしれませんが、筋肉は負荷をかけると、筋肉への血流が改善されほぐれるのです。つまり、少し強い弓を使うと、弓を引く体力だけでなく、柔軟性も向上します。より胸部や背筋をゆるめるために、少し強い弓を用いるようにしてください。

中には、「強い弓を引いたら弓の引き方が変わり、癖がついて元に戻せなくなる」とお話する人がいます。1日の稽古で、10射程度少し強い弓を使って射型が変わることはほとんどありません。本当に射型が変わるくらいに、弓のkg数を増やす必要はありません。あくまで早気を直すために、少し強めにするようにしてください。

具体的な使い方は、少し強い弓と自分の弓を交代に併用で問題ありません。無理して「少し強い弓でも引こう」と思わなくて大丈夫です。気が引けるのであれば、「素引き」「巻き藁」を行うだけでも問題ありません。

道場の中で使われておらず、自分より強い弓があれば、それを借りて使ってみましょう。まずは、素引きからです。その強い弓でも楽に感じられるくらい素引きできれば、自前の弓で安定的に会が持てます。

少し強い弓が道場にない場合の代替案

少し強い弓の利点がわかったとしても、「自分の道場には、少し強い弓がない」と言う人もいます。その場合、自前の弓で弓力を上げる方法があります。

・会に入って、離しそうになるまで弓を引き続ける
・離しそうになったら弓を大三の位置に戻す
・大三の位置で少し休憩する
・もう一度引き分けを行う
・最低3回この動作を繰り返す

このように、弓を押し引きし続ける時間を伸ばして、弓を押す負荷を増やします。結果として、弓を引くための体力を養えます。自分の身体を追い込んで、早気にに打ち勝つ体力を養ってください。

1~3の課題を解決する方法

1~3の課題をクリアするための取組み方を解説していきます。

矢束一杯にとるために、「右手」と「打ち起こし」の意識を変えよう

まずは、「胸をゆるめる姿勢」と具体的な「弓の押し開き方」を学び、稽古するようにしてください。次に、打ち起こしをできるだけ高くして弓を引いてください。

胸をゆるめる姿勢を構築できたなら、打ち起こしを高く上げやすくなると思います。大三では、拳の位置は少し高めにしてください。そして、引いている最中は右手を強く意識して、できるだけ大きく引くようにしてください。

弓を引いているとき、右手は視界に入らないため、意識が薄れやすくなります。早気の人で矢束一杯とれないときは、右手の動きが小さい可能性があります。そのため、右手を大きく動かそうとしてください。

大きく右手を動かすためには、「自分から右肘を絶対に降ろさない」ように意識してください。右肘を自分から下げてしまうと、右手も下に落ちてしまい、矢束一杯とれません。とにかく右ひじを自分から下げない、ただ右手を横に押し続ける。この二つに徹してください。

そのように意識しても、矢束一杯にとれない人がいるかもしれません。その場合、一時的に持っている弓より軽い弓を併用して使うようにしてください。これにより、今までより楽に最大限に引けます。

ただ、これは矢束一杯引いた感覚を得るためを目的とした運動です。少し弱い弓で会を持てても、早気が改善されたと思わないでください。軽い弓で矢束一杯とったなら、再度自分の弓に戻して稽古するようにしましょう。

最終的には、自分の弓で矢の長さいっぱい引けるようにしましょう。

2、会での心の余裕は「友達」の応援によって生み出す

次に、会で普通に会話するための方法について解説します。そのために、「仲間」を用意します。

普段から仲良くしている友達を呼び、会に入ったら、友達に「応援」してもらってください。会に入ったら、

・がんばれー、まだまだ持てるぞー

・あと二秒で早気脱出だぞー

・いい感じいい感じー

など、「もう少し頑張ったら努力が報われるフレーズ」をできるだけ言ってもらうようにします。すると、早気の際に、心の余裕と安心感が生まれます。

例えば、「がんばれー、いけるぞー」と友達に言ってもらいます。その最中に、自分で「いけるいける、会が持てるぞ」と声を発した後、楽に息が吐けるかを意識してみてください。おそらく、友達に協力と応援を受けたほうが、呼吸が深くなって力みが抜けるはずです。

例えば、私の場合は、「いいよー、右ひじ入ってるよー(肩より後方に)、もっと引けるよー引ける引ける」と言い続けます。すると、目の前で応援されている射手はその場で2~3秒程度会が長くなります。応援されると人はさらに頑張ろうと脳が働くのです。この仕組みを利用して、会を長く持たせます。

人は応援のメッセージを受けると、努力するとき生み出される「アドレナリン」というホルモンが発生します。このホルモン出ると、困難に立ちむかう力が強くなります。

出産の際に、声掛けする助産師さんは、妊婦さんの子供が産まれる「応援」を続けます。このときに、ダメ出しをしてしまうと、筋肉が縮んで出産が進みずらくなります。「助産師は出産のときにダメ出しをしない」という言葉もあるくらい、大事なときに相手への悪い言葉は命とりになります。

筋肉は「耳」「目」といった器官の影響によっても緊張反応を起こします。暗く薄気味悪い環境にいると、不安になって筋肉はこわばるし、一緒にいて安心できる人が隣にいると、筋肉がゆるみます。

つまり、筋肉はあなたがいる環境にも影響されるのです。

特に早気が直らずどん底に陥っている場合は、自分で嫌な想像をしてしまい、筋肉をこわばらせている可能性があります。そこで、誰かの協力を得て耳からポジティブな情報が入れてもらいます。あなたの筋肉を物理的にこわばらせない環境を作って、会における「余裕」を作ります。

一人で稽古している場合は、「暗示」でも効果があります。会に入って「まだまだ引けるよー」と心の中で唱えることで、余裕が出てきます。一人でも随時ポジティブな気持ちを切らさないようにしてください。

3指圧すると筋肉は簡単にゆるむ

次に、稽古時や休憩時に、自分の身体を指圧するようにしてください。具体的には、頭・背中・腰回り・お尻…と指圧するようにしてください。

押し方は、それぞれの部位を「点で・ゆっくりと・徐々に」圧をかけていきます。頭皮をマッサージすると気持ち良いでしょう。背骨付近を自分の親指で指圧すると、「痛気持ちいい」刺激を得られます。そのように、自分で指圧し、筋肉をゆるめるようにしてください。

一人でセルフ指圧をある程度時間かけた後、弓構えに入って一呼吸入れてみてください。これによって、射に入る前に筋肉をほぐして稽古できます。

4強い弓は「力づく」ではなく「脱力」して引くようにする

最後に、少し強い弓を引くためのコツです。

強い弓を引くときは、「負荷が強くなる=より多くの筋肉が必要」と思いがちです。ここで発想を転換し、「できるだけ筋力を脱力させる」ことを意識してください。筋肉をゆるめるほど、弓が引けると意識して引いてみてください。

これを実証する簡単な実験を行います。まず、自分の弓より少し弓力が強い弓を用意してください。次に、その弓をできるだけ腕を脱力させて引くようにしてください。そのときのコツは「あえて形を崩して引くことです」

例えば、打起こしに入るとき、「45度あたりで止めて」「大三も左拳を水平に動かして」と形を決めて胴さするのを一度やめましょう。弓を上方に上げたらすぐに左拳を動かしてみてください。そして、打ち起こし、大三、引き分けと動きを止めずに左拳を動かしていくようにしてみてください。できるだけ無駄なことを考える余地がないように引きます。

すると、少し弓力が強くなっても楽に引けます。このように、身体の使い方や弓の押し方を変えるだけで、少し強い弓を引けるようになります。あくまで練習用として、「強い弓」を用いるため、形にこだわる必要はありません。それよりも、身体の筋肉を効果的に使うように意識してください。

そして、自前の弓に替えて稽古してみてください。いつも以上に楽に感じて引けるはずです。少し強い弓を2本程度引くだけで、会の最中の気持ちの余裕さが変わります。早気の課題解決のために、積極的に取り入れるようにしてください。

課題は、必ず達成するものを選ぶ

これまで説明したように、課題設定は「確実に達成できるもの」を選択しましょう。

よく、早気の人は、「5秒持つ」など数字で目標を決めてしまいます。その5秒を持つために行うべきことを明確にしなければ、5秒会を持てません。確実に早気を達成するためには、「具体的に何をしなければいけないか」と明確にしてください。

先ほどの課題設定で挙げた「本はぎのテープが頬骨につくぐらいにする」「会の最中に楽に呼吸できるようにする」「+2kg強い弓を用いる」は、どのような方も努力すれば達成できます。目で見てわかるし取り組みやすいです。加えて、どう行えばそれが達成できるかという「練習方法」まであります。この三つを行えば、結果的に、会も長くなりやすいです。

ここで、「とにかく5秒持つ」と考えて稽古してみてください。おそらく、どれだけ稽古しても5秒程度持てず、自分が嫌になるでしょう。そうではなくて、目に見えて「これをすれば早気が直る」という指標を設定してください。それによって、課題解決のためのモチベーションも上がり、取り組みやすくなります。

早気克服のために重要なのは、ゴールを決めることのではなく、そこに至るまでのプロセスを具体的にすることです。そのためには、強い弓を使ったり誰かに協力してもらったり最大限にツールを使うようにしてください。

具体的に課題設定しなければ、別の射癖にかかる危険がある

ただ、やみくもに稽古して早気が直る場合もあります。しかし、そのように早気を解決しても、本質的に早気が直ったとはいえないでしょう。

なぜなら、無計画で気合で早気を直そうとすると、無意識に身体を力ませる癖がつく可能性があるからです。

もし、やみくもに会を持たそうと意識したとします。すると、会で左手を必要以上に弓を握ったり、右腕をひねって弦を離すまいと力ませたりする可能性があります。このように無理して持たせようとすると、かえって射型が崩れてしまい、別の癖が出てしまう可能性があります。

例えば、早気を改善された人の中には、反対に「もたれ」になってしまう人もいます。これには、理由があります。

早気を改善しようとして、会で右手首をひねったとします。こうすると、かけ溝に弦がしっかり絡むために離しずらくなります。その結果、早気は改善されます。しかし、これは離しずらい射型を作っただけであり、力みなくしっかり引けた射型を身に着けたわけではありません。そのために、別の射癖にかかってしまうのです。

右手首をひねることで、大きく弓を引けなくなります。すると、弓が身体にかかる反発力が減るために、離すタイミングがわからなくなって離せなくなります。すると、「もたれ」になる可能性があります。あるいは、右手首をひねり、両肩の線がずれて「後ろ狙い」になる可能性もあります。

そうすると、早気が改善されても、他の問題が発生して弓が引けなくなる危険があります。できれば、「早気だけを直す」のではなく、「楽に大きく引けた射型」を身に着けるように意識してください。

そうすれば、早気を改善した後に、離れも鋭くなって的中率も上がります。早気を改善することで、あなたの弓道技術がさらに伸びるように稽古してください。

早気だけ直そうとやみくもにしても、根本的なあなたの「引き方」の問題は解消されません。そのために、目標は「具体的に」してください。数字だけを目標にしただけでは、早気が直ったとしても新たな問題が出てしまう可能性があります。

期限を1か月に設定し、成長曲線を予想する

課題設定ができたら、次に3つの課題を解決したときの成長曲線を予想してみましょう。

会を改善された経験者に取材すると、稽古していたあるときに「急に会が持てるようになった」と話されます。つまり、階段式に会の時間が長くなるわけではなく、徐々に長くなってある程度したら安定的に長く持てるようになるのです。

そのように、会は少しずつ長くなるのではなく、ある時急に持てるようになります。この瞬間は具体的に課題を設定に取り組むと、必ず起こるはずです。

はじめに「胸をゆるめる姿勢」「押し引きの仕方を変える」「目を薄めにして狙う」「少し強い弓を用いて稽古する」ことを意識しましょう。すると、早い段階で「2~3秒程度」持てるようになります。4つのことを行えば、「口割が付く前に離してしまう」という状態を回避できます。まずは、そこそこ持てるようにしてください。

次に、4つの事を意識して続けて稽古してみてください。おそらく、「2~3秒程度」は普通に持てますが、「4~5秒程度」持とうとすると余計な力みが出てくると思います。この段階は、まだ「成長の途中」であるので、安定して持つことはできません。おそらく大会や審査になると早気になってしまうでしょう。

しかし、そのような状況になっても気にしないでください。むしろ、「きちんと課題設定して稽古しているから、後で会は必ず長くなる」と思って稽古に取り組みましょう。

そして、なかなか時間が伸びないなか、2~3週間続きます。少し強い弓を用いたり、仲間に応援のメッセージをかけてもらったりしてください。そして、会の最中に深く呼吸できるか、声を出せるようになるか試してみてください。

すると、ある時にここで「急に楽に持てる」ようになります。5秒程度意識しなくても会が持てるようになり、その後何本引いても安定して持てるようになります。

ここまでくれば、どのような状況になっても早気になりません。早気を克服したといえるでしょう。

そのため、ここまでの流れを言うと

1週間:胸・目をゆるめて引いて、練習方法を変えれば、2~3秒程度会を持てる

2~3週間:2~3秒程度の会は持てるようにはなるが、それ以上はなかなか持たない

4週間目:ある時急に会が持てるようになる、5秒程度の会が自然と持てるようになります。

このように、成長過程を経て「自然に持てる会」を実現しましょう。やみくもに直そうと思うことなく、きちんと早気の課題を解決していけば、合理的に早気は改善できるのです。一つ一つやるべきことを行い、早気は確実に改善できるようになっているのです。

以上のように、早気には「課題設定」が必要です。3つやるべきことを設定し、やみくもに直さず、改善するようにしてください。これによって、早気の問題は解消されていきます。

その他、「キレイな射型」より「楽に大きく引ける射型」を身に着けよう

ここまで読まれた方は「具体的な課題を期間を加えて設定し、適切な引き方と姿勢を理解して実践すれば、早気は改善できる」と思えたでしょう。

では、最後に早気に限らず、全ての射の問題を改善するための考え方を解説していきます。「とにかく右ひじを後方に入れ続ける」ように意識してください。

会で矢束を最大限に引き込むと、後ろから見て右ひじは肩より後方に周り、右斜め後方に周りこむように動きます。しかし、弓の引き方が悪く、弓の反発力を適切に受けられなくなると、脇正面から見て右肘が下方に向くように収まってしまいます。この状態を改善すれば、ほとんど全ての射癖が直せます。

最も難しいのが、右肘を右肩より後方に動かすことです。自分で右肘を後方に入れられるようにすれば、大半の人は弓を自信をもって引けるようになります。段も大会も、称号者の資格も必要ありません。

昔の弓道の書籍を見ると、「大きく引く」ことの重要性はよく説かれています。

あなたの現在の状況が離れ鋭く、矢飛び良好で、何も不満がなければ、「射型」を重視すればいいかもしれません。しかし、射型どころか、すぐに離してしまう状況であれば、「キレイな射型」を作ることを捨てて「楽に大きく引ける射型」を意識してください。
たとえ両腕に力が入ってしまってもいいので、大きく引こうと、強く求めてください。それによって早気は改善されていきます。

歴史上、キレイな射型は矢の長さ一杯に引けてから考えることである

キレイな射型の優先事項は最初ではなく、後におくのが合理的であることも歴史上わかっています。

尾州竹林弓術書の「始終五法度」の文章より、良射の条件として「中り(あたり)」「矢早(やばや)」「通貫(つうかん)」「操矢(さしや)」「花形(はながた)」の5つを設定しました。その内容を具体的に記すと

中り‥‥‥‥目中てもの(現代の場合、的)に中てること

矢早‥‥‥‥スピードのある矢勢であること

通貫‥‥‥‥威力のあつ矢勢であること

操矢‥‥‥‥遠くに飛んでいること(三十三間堂の通し矢に相当する)

花形‥‥‥‥礼射、矢渡しをもって射型が整うこと

このように、分かれていました。5つの項目の内、4つは「矢の長さ引く」ことをしないと実現できないことです。加えて、この内容を講和した「本多利実氏」の「弓術口義録」は、「この5つの内容を理解し、実践しなければ、射の内容を理解するのは難し」とも解説されてします。

上記に記した「花形」は、普段は強い弓を引き、礼射の時は強さを落として射型を整えるようにも記されています。つまり、私たちは先に「射型」よりも、矢の長さいっぱい引くための「体力」を身に着けなければいけません。

そのため、目いっぱいに引いてください。がむしゃらに。大きく腕を動かし、体力がついてきたら、早気は改善されます。

開き直れば、早気は直る

最後に、私が体験談を解説して終わりにしたいと思います。開き直れば会は長くなります。

学生時代、私は大会になると会が持てない状態を悩んでいました。周りの友達にも、「練習では持ててるんだけどなぁ~」と同情を持たれました。その状況が続くうちに、練習で最大限自分が持てる会の長さを測ってみました。

その結果、20秒以上持てていることがわかりました。これだけ持てるのに大会で早気になっていました。自分自身「なぜ?どう考えてもおかしい」と思うようになりました。悔しさより、シンプルに会が持てていないことに達観的になりました。

そのような感情になってから、「こんなに持てているのだから、練習と同じように引けば、大会や審査でも持てるだろう」「しかし、なぜ大会や審査になると引けなくなるのだろう」と疑問に感じました。

いつの間にかそのようなことに悩んでいるのがばかばかしくなり、シンプルに「なぜ会場が変わっただけでこんなにも会が持てないのか?」「他の人は全然もってるのに、俺だけ一人だけ我慢できないことなんてなおかしい」と思うようになりました。

このときの感情をわかりやすく言うと「恋愛」です。好きな女性がいて、告白して振られたときは「振られてしまった、悲しい」「なんで俺と付き合ってくれなかったんだ、俺はやはりもてないのか」と悲しみでいっぱいいっぱいになります。しかし、他の女性と話たり、友達と話したりしているうちに、「なぜ、あんなに一人の女性に気をとられていたんだろう、世の中に女性はたくさんいるのに」と我に返った感じです。

そのときに、試合で早気になってしまった理由として「右腕裏側の張り」にあったと分析しました。練習では、「腕の裏側が張った」感覚があり、大会ではないことに気づきました。そこで出た結論は「次の大会の審査では、大きく割り込むように引き、腕の裏側を張ってみよう」と思いました。

私の通っていた高校の審査では、初段の合格条件が「会が最低5秒以上」でした。5秒持たないと中っても合格しないことが多かったです。そこで、審査で「会が何秒もって耐えられるかのゲーム」と解釈し、それ以外のことを気にせず審査に挑むことにしました。

審査の結果は不合格でした。しかし、驚くことに、大会や審査で2秒しか持たなかった会が10秒以上持ってしまったのです。引いている最中に「おぉ、会が持ててる持ててる」と心の中で思っていました。

頑張っているのに会が短い人は、「あと少し」で早気が克服できます。それは、「余計なことを考えすぎていた」結果です。一度開き直ってみてください。結果や射型がどうなったっていい、一度何もかも忘れて「一杯引くこと」に注力をささげてください。そうすれば、早気は克服できます。

早気は直す方法がわからないのではないのです。自分が余計なことに悩みすぎているのです。一度、深く悩まされた感情が吹き飛ばしてみてください。そうして、心配なく弓が引けるようになるでしょう。

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