初段:「射法八節」を順に列記し、「〇〇」を説明しなさい

参考資料

弓道教本104~

 

射法八節

足踏み、胴造り、弓構え、打ち起こし、引き分け、会、離れ、残心(身)

 

足踏み

「足踏み」は、弓を射る場合、その基礎となる足の踏み方である。射位(弓を射る位置)で脇正面に向かって立ち両足先を的の中心と一直線上に外八文字に開く。その角度は約六十度で、両足先の間隔はおよそ自己の矢束とする。足の開き方には、一足で行う場合と、二足で行う場合の二通りがある。

 

胴造り

胴造りは、上体を正しく両脚に安静に置く動作である。足踏みを基礎とし、両脚の上に上体を正しく乗せ、腰を据えて左右の肩を沈める。脊柱及び項を真っすぐに伸ばし、総体の重心を腰の中央において、心気を丹田におさめる動作である。弓の元弭は左膝頭に置き、股間に入れないようにする。右手は右腰の辺にとる。

縦は天地に伸び、横は左右に自由に働かせ、やわらかくかつ隙のない体構えを作り、気息をととのえるのが肝要である。胴造りには、反・屈・懸・退・中の五つの胴(五胴)があり、目的と場合によって使われる。

 

弓構え

「弓構え」はいよいよ射の活動に移る直前の準備動作である。足踏みと胴造りによる基礎体勢を保持しつつ、呼吸を整え、気力を充実して動作しなければならない。弓構えには斜面と正面の構えがあり、いずれも「取り懸け」「手の内」「物見」の三つの動作が含まれる。

取り懸けでは、弽の拇指を弦にかけ、三つ弽の場合は中指で、四つ弽では薬指で拇指で抑える。左手は、正しく弓の握り皮のところを握り、手の内を定める。

正面の構えの場合は正面で、斜面の構えの場合は、取り懸けた後に左斜めで手の内を整え弓を押し開き、そこで「弓構え」をする。

 

打ち起こし

打ち起こしは弓を引き分ける前に弓矢を持った左右の拳を上にあげる動作である。打ち起こしには、正面打ち起こしと斜面打ち起こしの二つの方法がある。正面の打ち起こしでは、弓構えの位置からそのまま静かに打ち起こし、斜面打ち起こしは、斜面の「弓構え」から左斜面に打ち起こす。

年齢や体格によって多少異なるが、打ち起こしの高さは約45度を基準とする。ゆったりのびのびとした気持ちで、気息を整え「胴造り」をくずれぬように、また拳に無用な力を入れないようにする。矢は常にほぼ水平に保ち、体と平行に、両肩は下に沈むように注意する。

 

引き分け

「引き分け」は、打ち起こした弓を左右均等に引き分ける動作である。引き分けは射の運行にあたって中心となり、次にくる会、離れに大きく影響する。

引き分けの方法には、「正面に打ち起こし、「大三」を考え途中とめずに引き分ける」「正面に打ち起こし、大三を取り引き分ける」「左斜面に打ち起こし、途中止めずにあるいは「三分の二」をとり引き分ける」の三つの様式がある。

いずれの場合でも、両拳は高低なくほぼ水平にする(矢先がわずかに低い程度は問題ない)。矢は体と平行に上がり、的に向かって水平に保ちつつ左右均等に引き分ける。大三では、右拳は額の約一拳ないしニ拳以内の位置に置く。左拳は的の中心に向かって推し進める。

引き分けでは、右手拳は右肩先まで矢束(自己の引く矢の長さ)一杯に引き、頬をつくように(頬付け)口のあたりで引き収める。弦は軽く胸部につけ(胸弦という)、縦横十文字の規矩を構成する。

引き分けの動作は、腰を中心とし、息合いと協応して、ゆったりと静かに、遅速なく、左右均等に引き分けて、胸の中筋から左右に開くように体を弓の中に割って入る気持ちが必要である。

 

「会」は形の上で「引分け」の完成された状態、射手の心理的には無限の引き分けである。「会」で、伸び合いと詰め合いが重要である。会に入ったとき、縦横十文字の規矩が構成されるには、その内容としては各所の詰め合い(縦線・横線)を総合して働かなければいけない。

縦線の構成は、三重十文字(両足底、腰、両肩が上方から見たときに正しく一枚に重なり、脊柱、項が上方に伸びる)を構築し、横線の構成は両肩を起点として両肘の働き、左右両腕の張り合い、両腕を貫通している中筋をもって左右均等に張り合うことが肝要である。
伸び合いはは矢を引き伸ばすのではなく、気の充実である。心を安定させて、気合の発動を促す。

 

離れ

「会」が完成されると離れが生じ、体の中筋から開くように伸長し、気合の発動とともに矢が離れていく状態をいう。

「会」と「離れ」は「会者定離」という仏教用語から転用されたといわれるように、会で力がまとまり、充実して、一本の矢に移され「離れ」を生ずるのである。したがって、「離れ」は、離すのではなく、離されるのではなく、自然の離れでなくてはならない。

 

残心(残身)

矢を離れた後の姿勢を言う。精神で言えば「残心」、形でいえば「残身」である。離れによって射は完成されるのではなく、残されたものがある。

残身は離れの結果の連続である。そのため、「離れ」の姿勢を崩さず、気合をこもったまま体は天地左右に伸張し、眼は矢所の着点に注いでいなければならない。また、射の総決算であるため、縦横十文字の規矩を堅持していなければならない。

残心の良し悪しによって射全体の判別ができるし、射手の品位格調も反映する。

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