大三が射に与える影響について
打ち起こしから、弓を引き分け動作は三つの様式があります。その中で、正面に打ち起こし、大三(押大目引三分一)をとる様式があります。
大三の構えでの注意点は両拳に高低なくほぼ水平にすること、矢は体と平行に運ぶこと、矢先が上がらないよう的に向かって水平を保ちことが挙げられます。
これらの注意点が守れていないと後の引き分けの動作で縦横十文字の規矩を守ることができなくなり、次に来る「離れ」「会」に大きく影響します。
左右均等に引き分けるためには、弦を通る道(弦道)は、額の約一拳ないし二拳以内のところに来て、左手拳は的の中心に向かって押し進め、右手拳は右肩先まで矢束一杯に引きます。そして、矢が頬をつくように、口のあたりで引きおさめ、弦は軽く胸部につくようになります。これを頬づけ胸弦といいます。
もし、両こぶしの高さが合っていないと、左右の均等に引き収めることができません。その結果、次の会、離れに影響が出
てしまいます。
具体的には左拳が上に上がっていて、大三で矢先が上がっている構えになっていると、引き分けで左腕が突っ張った状態になり、左側に力がかかりすぎるため、会において左肩が詰まった射形になる可能性があります。これにより、会において三十重文字の肩の線が崩れてしまい、離れで矢筋の方向に離れを出すことができなくなってしまいます。
あるいは右拳が下に下がりすぎて水平になっていない場合、大三での右拳と額との距離が近くなりすぎてしまいます。右拳は引き分けにおいて右肩先まで引きますが、右拳が額との距離が近すぎると、弦道が小さくなってしまい、矢束一杯に引けなくなってしまいます。
その結果、会において各関節を過不足なく活用できなくなってしまうため、十分な伸び合い、気力の充実である詰め合いが行われなくなってしまいます。これにより、胸の中筋から左右に分かれる離れが行えず、緩んだ離れになってしまいます。
このように、大三での構えでは両拳が水平であること、矢先が上がらず水平であること、矢は体と平行に運ぶことといった構えでの注意点があります。その構えに不正が出てしまうと縦横十文字の規矩が構成されなくなり、左右均等な引き分けが行えなくなります。その結果、会、離れに影響を与えます。