2種類の胴づくりの教え方の長所と短所を理解する

胴づくりの説明では「縦線」という言葉が使われることがあります。縦線とは、足裏、腰、両肩、背骨といって体の各部位で説明している文章があります。

しかし、その肝心の縦線の整え方や内容の詳しい説明は少ないです。中の内容を適切に理解しなければ、実際の稽古で逆に胴づくりを崩してしまう可能性があります。

本多流を学んだ射手戸倉章氏の胴づくりの説明には、縦線の作り方が二通り説明されています。胴づくりの教え方は大きく分けて二つあります。ここでは、2種類の縦線の作り方とその長所と短所を解説していきます。

2種類の縦線の作り方

第一の方法
全身をすっきり伸びあがって踵を十分に浮かせて両足の指だけで立ち(指先に力を入れてはいけない、指は縮まぬこと)、静かに踵を床面におろす。

 
第二の方法
両脚筋を充分に伸ばし、次いで頭上上が上がる気持ちになるように背筋を伸ばし、さらに腹式呼吸で少し吸気をし、その際腹部の感じを十分覚えておくようにします。このとき、両肩が背筋が伸びると同時に上がらないようにする。

第一の胴づくりの方法の長所と短所

第一の方法は正法流を学んだ吉田能安、唐沢よしあき範士の本にも記載されていた胴づくりの方法です。現代弓道でも足踏みの重心を乗せるときにこの方法で教えられています。

「背伸びして、つま先立ちして、そしてそうしたら、拇指球に体重が乗るでしょう、そしてその状態で踵を落としてごらん、そうしたら、拇指球に体重が乗ったままで立つことができます」
 
この胴づくりの方法はやり方が簡単で、どんな人でもできることです。弓道の初心者で胴づくりのやり方を全く知らない人に胴づくりを教えるとき、このやり方を先に教えると良いでしょう。初心者は弓を引くときに下半身の踏ん張る力が大切であることがわかりません。

そのため、このやり方をして、重心を前に置く習慣をつけるために、このやり方で胴づくりの縦線を作ることが良いでしょう。
 
しかし、この胴づくりには短所があります。それは指先に力がこもりやすいことです。

胴づくりの縦線の作り方には「指先に力を入れないようにする」と書かれています。しかし、実際につま先たちで指先に力を入れないようすることは困難です。なぜなら、つま先たちをすると足裏の単位面積当たりの圧力が大きくなってしまうからです。

指先に力を入れると、脚筋、背骨周りの筋肉の柔軟性が低下します。これは指先に力をこめて前屈を行えば、前屈しずらくなるので実践してみるとよくわかることです。

「指先に力を入れないように」というのは、自分で意識的に入れるなということかもしれません。しかし、爪先たちになった瞬間にまず指先に力が自分でいれなくても必要以上に圧力がかかります。そうすると、自分が何もやらなくても自然と「自分で力を入れに行っている」姿勢になります。

多くの人はこの自分で力を入れている姿勢が正しい姿勢と勘違いしてしまいます。そのため、つま先に少し力の入った姿勢で射を行うと思います。しかし、実際には、引き分けで上体の前部が緊張しやすくなり、離れがゆるんだり会が短くなる可能性があります。

重心が両足裏の中心よりやや前方にあることは良いのですが、そのかけ方が過度になってしまうと、足裏に隙間が生じたり、体の他の部位が余計に緊張してしまい、射に悪い影響になってしまいます。

 
第二の胴づくりの方法の長所と短所

第二の方法は梅路見鸞氏が実践している胴づくりです。これは当HPに書いてある「首を伸ばして、両肩を落とす」胴づくりと同じです。

この胴づくりを行うと、重心が自然と前方に落ち着き、膝裏も自然と伸び、何より足首、膝裏、おなかといった足以外の場所に無駄な緊張がこなくなります。

これにより、何本引いても疲れにくくなります。強い弓にも耐えられる体の使い方が実現しやすくなります。自然と的中率も高くなり、射癖にもつきにくくなります。

さらに、この胴づくりは上級者だからと言ってできないことはありません。むしろ、初心者でもできるし、初心者だからこそこの縦線の作り方を体で射を行うことをオススメします。

しかし、この胴づくりにも短所があります。それは実感できる人とできない人がはっきり分かれるからです。梅路先生の射の記事によると、この方法は理解できる人とそうでない人に分かれていると説明しています。

今の弓道の本や胴づくりの説明を見ても私のHPに載っているような「首を伸ばして両肩を落とす」というこの首に着目し、さらにこの首を伸ばす価値について実感し、さらにそれを説明している弓道家や先生もほとんどいません。

明治時代の時代の弓道の本を見ても、第一の胴づくりの説明を実践している先生がほとんどです。なので、有用性が伝わりにくく、定着しずらいです。

このように、胴づくりには2種類の教え方があります。実際の稽古に活かすためには自分の射の経験や実感覚えて、適切な胴づくりを理解する必要があります。

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