胴づくりで注意したい背筋の話

弓道教本一巻の文章では胴づくりを「脊柱、項を真っ直ぐに伸ばし」と説明されます。あなたは背中が「真っすぐ伸びている」ときの、筋肉の状態をご存じでしょうか?。

「伸ばし」という言葉は一見わかりやすい言葉のため、行射中に意識しやすいかもしれません。しかし、「伸びる」の言葉の意味を理解していないと、誤った胴づくりをしてしまう可能性があります。

その結果、打ち起こし以後、余計な力みや姿勢の崩れを伴います。ここでは、胴造りの「伸びる」という言葉の意味を解説していきます。

「伸びる」とは筋肉を固めることではない

多くの人は、胴造りのとき、「背中を真っ直ぐに伸ばさないといけない」と意識します。すると、背筋を意識し、腰をそらすようにして、姿勢を真っすぐ整えようとします。

この姿勢を取ると、見た目は背中が真っすぐになっています。しかし、体の筋肉の状態は「気をつけ」の姿勢の状態と同様にガチガチに固まってしまっています。そのため、「気をつけ」の姿勢を胴造りと思いこんでしまいがちです。

しかし、「気をつけ」の姿勢のとき、背中の筋肉を触るとはガチガチに固まっています。背中の筋肉が固まると、「脚」「肩」「腕」などの他の筋肉も固くなってしまいます。その結果、腕をスムーズに動かせなくなってしまい、力みの射をしてしまいます。

これを、「兵式姿勢」と言います。兵式姿勢とは、気をつけのように、見た目は姿勢が真っ直ぐになっていますが、力のはいった状態です。このような姿勢は初心者にかかりやすい姿勢であり、また適切な姿勢を取るためには、この過程を経験しないといけません。

あるいは、「腰を入れる」という言葉があります。この言葉を安易に理解して、腰だけを内側に動かしたとします。このように動かすと、背中だけでなく、首の後ろ側の筋肉まで固くなってしまいます。

このようにして、真っ直ぐに伸ばそうとしたり、腰を入れようとして、「腰」だけを動かそうとすると、胴づくりで余計な力みが出てしまいます。

それによって、引き分け、離れの動作に悪い影響が出てしまいます。

適切な姿勢を体全体から考察する

もしも、弓を引くうえでの適切な姿勢を身につけるには、背中の筋肉が上方向に伸ばすためには踵から頭までを見る必要があります。

具体的には、踵から頭までつりざおのように、ゆったり伸びているのが理想的です。つまり、下半身が地面と垂直であり、上半身がほんの少し前傾した姿勢です。

背伸びをすると、理想の筋肉の状態に近付けることができる

「伸びる」胴造りをしているときの背中の筋肉の状態は「背伸び」をすると体感できます。

一度、自分の限界まで手を上に上げ続けから、一気に脱力して降ろしてみましょう。すると、背中の緊張がほぐれます。背中の骨の一つ一つの間に隙間ができる感じがあるとなお良いです。

「背伸び」して、伸び続けると、上半身の体重が真下に足裏にピタッと来ます。すると、膝裏も伸び、自分がどこか脚に力を入れていないのに、下半身が自然と適度な緊張しているのがわかります。

このように、筋肉がリラックスして、かつ上に伸びている状態が「伸びる」です。この状態で弓を引くと、上半身の無駄な力みにくくなります。

胴づくりの説明文である「脊柱、項を上方に伸ばし続ける」の言葉にとらわれてしまうと、脊柱、項を真っすぐに揃えると解釈してしまいます。しかし、もし弓を負担なく正確に引きたいのであれば、中の筋肉の状態を確かめるようにしましょう。

もしも、腰を不用意に動かし、腰や首の筋肉に力が入っていると、引き分け中に余計な力みになる可能性があります。
そのため、胴造りでは「背中の筋肉がリラックスした状態」を理解し、実践していくことが大切です。

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