<質問> 女性の方
現在馬手離れに困っています。弓手から出れば的に入るので、様々な人から弓手から出せ、と言われますが、弓手から出す方法がわかりません。会まではあまり感覚として大きく変わっている気はしないのですが、弓手から出たり馬手から出たりします。
<回答>
男性の射法の説明を女性を実現させるのは難しい
・現在馬手離れに困っています。
今日、私も稽古しましたが、途中で馬手離れになっていました。
弓は難しい武道ですね笑。
馬手離れ、どのような意味合いでこの言葉を使っているか、離れで馬手がブレル動きは大きく三つに分かれます。
右こぶしが的方向に少し戻ってからこぶしを送るように離れる(おくりはなれ)
離れでの右こぶしのスピードがふにゃっと遅くなる(ゆるみはなれ)
離れでこぶしが上から下の方向に飛ぶ(すくい離れ)
おそらく、おくり離れですかね。その場合、右ひじの向きを直すことで、解決に向かいます。
・様々な人から弓手から出せ、と言われますが、弓手から出す方法がわかりません。
これは、ちなみに男性から言われた意見ですか?
もし男性から、言われた場合、押してを意識し、「力で押して弓手から出す意識」を
自ら作っている可能性があります。
後、男性の視点で話す射法の説明は女性には実現不可能なものは多いです。
弓手で押して離せと男に言われて
「あぁあぁなるほど、弓手を使えば離れがきれいに出るのね」
と理屈でしっかり落とし込める女性は少ないです。女性に言われているとしても、難しいと思います。
その場合、女性にはマネできないと思いますので、少し表現方法を変えてみましょう。
離れで二つのことを実行してみよう
離れで考えることは、二つあります。
一つはゆったりした気持ちで弓でうち起こすこと。もう一つは引き分けで大きく引くことです。
「大きく引こうと」肩肘張って意識するのではなく、「おおきーく、オオキーク」とゆったり
雄大なものをイメージする感じで、大きく開くイメージです。
この二つのイメージのしかたで弓の引き方は大きく変わります。後者の方が体がよく動くように
なって、弓を大きく引けるようになります。
大きく引くとは、目いっぱいです。思いっきり引くだけです。今自分のできる最大限の思いきりで
十分です。
そのときのコツは、取り懸けで指先近くで取り懸けないこと。なるべく深めに取り懸けること、うち起しはなるべく高くすることです。深めに取り懸けると、すごく大きく楽に引けますよ。指先で取り懸けると、引き分け入った瞬間に指先に荷重がかかって手首に力入ってもう弓は大きく開けません。
コップを持つとき、指先だけでつまんで持つのと根本近くを使って持つのでは、つかみやすさが違いますよね。それと同じです。
うち起しは高くすると、体が近くなります。体から近くなると、引き分けがすごくやりやすい。とくに、引き始めはすごく軽く感じます。
赤ちゃんなど小さな子供を抱くとき、食器を洗うとき、腕を伸ばした場合と体に少しでも近づけた場合と
どっちがやりやすいですか?弓を引くにおいて、体に近づけるのは有利に働きます。
あ、小さくうち起しして、体に近づけるのはだめですよ。弓はなるべく高く上げておいてください。弓高く上げると肘の位置も高くなりますよね。肘の位置が高いのと低いのでは、高い方が弓を大きく引けます。
低いとアーチェーリーみたいに真横に引っ張る感じになります。
弓を引きやすい取り懸け。弓と体と近くなる。この状態が整えば、あとは右ひじだけで引っ張らないようにしましょう。あるいは、弓手が馬手より先に落ちないようにしましょう。
左右対称に、大きく大きく弓を引きましょう。自分の中で「大きく大きくグゥゥーンと大きく」と思いながら、
のびのびと大きく引きましょう。うちお越しで、腕に力を入れない、こぶしに力をいれない、楽にして、
大きく引きましょう。力が抜けてると引き分けは大きくなります。
そして、離すときです。離すときは、引き分けでおおーきく引いてきて、口割に矢がついたら、左こぶしと右ひじがありますよね。この二つの部位をほんの少しでもいいので、1mmでも押す気持ちで真横に押し続けてください。真横に真横に押し続ける。。
すると、3~5秒たつと離したくなってきます。それに任せましょう。離すときは、左こぶしと右ひじで
真横に押し続け、離したくなったら、その二か所で開いてぱっと離します。
ここで、強調したいことが二つ、確認のために書きます。
うち起こしで上げる前、首の後ろを伸ばして肩を落としましょう。肩を落とすと胸周りが楽になることがわかりますここを楽にすると、人の気持ちって落ち着くようにできています。気持ちを落ち着かせて、ゆーったり大きくうち起します。
ここでゆったりさせれば、引き分けは大きく開きやすくなります。さぁ、引き分けも大きく、イメージを崩さず落ち着いて左こぶし、右ひじ(わかりにくければ最初右こぶしでももんだいありません。)の両手を持っておおーきく引きましょう。気持ち落ち着いて筋肉がゆるんでれば、大きく引けますよ。大きく引ければ、ゆるみ離れと送り離れの症状がかなり軽減されます。
さぁ会に入った、さらに左こぶしと右ひじを(わかんなければ右こぶし)の二か所をさらに1mmでもいいから押し続けましょう。そして、弓手で離すとか考えずに、馬手離れになってるとか気にせずにいいです。両手で押し続けて、ポンと離す。
大切なのはイメージです。会でじっとしているときに考える癖があったら、ゆったりうち起し、ゆったり大きく引き分け、会も押し続ける→ぽんと離れる。これでよいです。
どうしても弓手離れがわかりたい場合は参考程度にしましょう
全ての射法は男性が男性にわかるように書かれています。女性のように筋肉が発達していない人は、難しくてわけがわからない場合があります。
特にこの文章でいう「弓手で離せ」はよい例です。こうした射法の説明で、「弓手を使う」「両肩、両肘で離す」といった風にやたらと体の一部分を意識させた説明や文章が多いですよね。
後、高段者の先生になると肩甲骨という言葉も好きです。肩甲骨で寄せるように引きなさいとか。ただ、女性で肩甲骨を本当に使って引くのは至難の業です。また、弓手で離すということも難しいです。
弓は弦を離さないと矢が飛ばないのに、なぜ弓を持っている弓手で矢を放つことができるのでしょうかね。
もし、この感覚がわからない場合、「そういう世界もあるのだなと参考程度に聞きましょう。」
後、弓道ではイメージを大切にしてください。男性は特にイメージとかフワフワした要素を嫌いますが、のびのび引けているとか、大きく弓を開けているとか、そうした「実感」を大切にしてください。きっと上達が早くなると思いますよ。