的中率を劇的に上げる右肘の使い方|スペースを空けて引くと弓道が変わる

「大きく引いているはずなのに、なぜか的中が安定しない…」「肘で引けと言われるけど、その感覚がまったくわからない…」

こうした悩みを抱えている方は、実はとても多いのではないでしょうか。私が個人指導をしている中でも、この「肘の使い方」で苦戦している方がほとんどです。

実は、的中率が3割から6〜7割に上がった方、良い時は8〜9割を出すようになった方がいます。彼らに共通していたのは、ある一つのことを徹底的に意識したこと。それが今回お伝えする内容です。

結論:的中率は「スペースを空ける」ことで決まる

先に結論をお伝えします。★ 的中率を上げる最大のポイントは「右の拳と額の間」「額と肘の間」「肩と耳の間」のスペースを広く保つことです。

このスペースが広いまま大三から引分けに持ってくると、的中というのは驚くほど安定しやすくなります。逆に言えば、当たらない人の最大の特徴は、このスペースが狭いことなのです。

では、なぜスペースを空けることがそれほど重要なのか。解剖学と物理学の観点から詳しく解説していきましょう。

なぜ「右肘」で的中が決まるのか

基本的に、当たるかどうかは右肘で決まると考えていただいて大丈夫です。的中を安定して出している人は、例外なく右肘のことをよく考えています。押し手のことばかり考えている人で的中率が高い人は、実はほとんどいないのです。

なぜかというと、★ 当たりを出した時の良いイメージを作る一番簡単な方法が右肘の使い方だからです。

物理学的に考えてみましょう。弓を引く際、弦には張力が発生します。この張力を効率よく体で受け止めるためには、力のベクトルを肘を通じて肩甲骨、そして体幹へと伝える必要があります。スペースが狭いと、このベクトルの伝達が阻害され、腕の筋肉だけで弦を支えることになってしまうのです。

馬手先行でも当たらない本当の理由

私のYouTubeを見て「馬手先行だ」と理解して実践してくださる方がいます。しかし、本当に馬手先行でやると、右手首が曲がってしまったり、大きく開いている感はあるけれど離れがブレてダメになったりすることがあります。

矢の長さいっぱいに引いているのに当たらない。結果が出ない。「もうちょっと的中が出てほしいのに…」と思っている場合、それは以下のいずれかが間違えている可能性が高いです。

  • 弽(かけ)の使い方
  • 取り掛けの使い方
  • 弽の溝の使い方
  • 最初の取り掛けでの指の乗せ方

例えば、あなたの使っている弽の親指の斜めの溝が縦に向いているのか、斜めに向いているのか。四つ弽なのか、三つ弽なのか。これによって取り掛けの方法は全く異なります。

★ 四つ弽の場合は下から上に、下から支えるように持ってくるのが基本です。三つ弽の場合は、溝の向きによって上腕三頭筋のポジションを最初の取り掛けの時に変える必要があります。

肘で引くとは「スペースを空ける」こと

弓道でよく言われる「肘で開く」「肘で引く」という言葉。意味がわからないと感じたことはありませんか?

なぜわからなくなってしまうのか。答えは簡単です。★ スペースが空いていないからなのです。これだけなんです。

肘で開くトレーニング法をご紹介しましょう。まず、腕の筋肉を伸ばしていただいて、肩を下ろします。肘もできるだけ体から離してもらって、手も近くではなく広げてもらいます。ここから何かを引っ張る動作をしてみてください。

こうすると肘が使えるじゃないですか。★ 肘を使う=スペースを空けるということなのです。右腕のスペースを空けて開いていただくと、的中率を出すために必要な「肘で引く」「肘で開く」という感覚がよくわかるようになります。

肘を動かすのは「脇の下の筋肉」

ここが解剖学的に非常に重要なポイントです。肘を使いましょうと言ったら、肘の動かし方を覚えなければなりません。

実は、★ 肩甲骨が下がることで肘が動いてくれるのです。

肘を動かす時、腕の筋肉は実は全く動かしていません。動かしているのは脇の下の筋肉、具体的には広背筋や前鋸筋といった筋肉群です。この脇の下の筋肉を使うことによって肘が動いて、結果的に肘が開かれていきます。

こうすると、先ほど言った「拳と額の距離」「額と肘の距離」「肩と耳の距離」が全部結果的に広がるような馬手の形になります。これが「大の字になれば最強」という意味なのです。

スペースは「前」から「後ろ」に変わる

実際に弓道の弓や矢を持った状態になると、もう少し説明が必要です。真横にスーッと引いているような感じで、前にあったスペースが後ろに変わっていきます。これで綺麗な形になるということなんですね。

正面から観察すると、スペースが常に綺麗に保たれているのがわかります。肘と拳の間、額と拳の間、額と右肘の間、耳と右肘の間、耳と肩の間。このスペースの空いた「面」のようなものを考えてほしいのです。

この面が後ろに変わったままできて、最後に離す時も変わらずにそのまま伸びる。そうすると当たりが気持ちよく出るのです。

なぜスペースが閉じてしまうのか

では、なぜ多くの人のスペースが閉じてしまうのでしょうか。

★ 頭の中で意識してやろうとすると、肩と腕に力が入りすぎてしまうのです。

例えば、脇の下の筋肉を使って開きましょうという持っていき方を、右肘と右腕を使おうと思って行うと、ここが狭くなってしまいます。

肘の使い方を身につける前に、やらなければいけないことがたくさんあるのです。

  • 肩甲骨を下に下ろすこと
  • 目線を正しくすること(下を向いているとできなくなる)
  • 取り掛けの親指の向き、溝の向きを正しくすること
  • 拳の動かし方
  • 右肘の動かし方

重心を下ろすとは何か

肩甲骨を下ろすには、体重が下りている必要があります。しかし、この「重心を下ろす」というのが非常に難しいのです。

深呼吸をして、お腹の筋肉が緩んでストーンと落ちた感覚になる。これは重心を下ろすではありません。★ これは内臓下垂であり、重心を落とすこととは全く別物です。

私が言う「重心を下ろす」とは何かというと、★ 上下前後左右に素早く動けるような構えを作ることなのです。この構えを作ることが、結果的に重心を下ろすことに繋がります。

具体的な稽古法

ゴムチューブを使った練習法をご紹介します。

  1. ゴムチューブを持ち、間隔を空けた状態で構える
  2. 肩を下ろし、肘を体から離す
  3. スペースを意識しながらゆっくり引く
  4. 肘で開いている感覚を確認する

この練習を繰り返すことで、肘で開いている感覚が容易にできるようになります。スペースが空いているとフォームも綺麗になり、手首に力が入らないので楽になります。

尾州竹林の教えに通じる「能」の感覚

弦を持っていく時の持っていき方を変えると、各スペースが開くようになります。最終的には「山の頂上が出来上がるが如く」という尾州竹林の九十章に書かれている開き方になります。

弽道の「能」という感覚が得られるようになり、結果的に「弦絡み」という弦のかかり方ができるようになります。この「強く絡む」状態をもって「肘力」が発生し、綱を引っ張っているような感覚になる。綱を引っ張る感覚とは、体全体で引っ張る感覚です。

まさに体全体で弓を引っ張っているような感覚が得られた状態で、100回、200回、300回と稽古を重ねていく。そうすると、実力は確実に伸びていきます。

まとめ:スペースを空ければ弓道は変わる

今回お伝えした内容をまとめます。

  • 的中率を上げる鍵は「右肘の使い方」にある
  • 「肘で引く」とは「スペースを空ける」こと
  • 拳と額、額と肘、肩と耳の間のスペースを広く保つ
  • 肘を動かすのは腕の筋肉ではなく脇の下の筋肉
  • 重心を下ろすとは、素早く動ける構えを作ること

やることが多いと感じるかもしれません。確かに、根本から変えるというのは簡単ではありません。しかし、一つずつ確実に身につけていけば、あなたの弓道は必ず変わります。

大の字になれば、あなたは最強になれる。その感覚を、ぜひ体感してみてください。

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