この3つの指導法があなたをダメにする

今回は指導についてお話していきます。弓道の世界では、段は高いけど指導がずさんな方が多くいます。これは、弓道の世界において、高段(6段以上)を取得していることは「それだけ努力した」「試験通った」という証になるからです。

ただ、弓道の世界を含め、「指導する」となると、膨大な勉強量が必要になるのは間違いありません。例えば、指導経験をお持ちの方であればわかりますが、むやみに弓を引いている人の筋肉をさわったり、動かしたりすると、教わる側は満足に弓が引けなくなります。

さらに、弓を引いている最中に細かい指摘をしてしまうと、受講者の脳は混乱してしまい、弓が引けなくなるのです。脳このように、高段であり、知識をどれだけ持っていたとしても、治療に携わる「深い体の知識」や脳の仕組みを知らなければ、人に教えることもできません。

そして、教わる側も重要な意味を締めています。今後、さらに高段者が増加する傾向ですが、質の良い内容を教わる機会はそれに反比例して減っていきます。もしも、質の悪い指導者に辺り、体の合理にあわない指導を受けたら、それが「癖」となり、満足に弓を引けなくなります。

だからこそ、今回お話する「この指導をしたら、聞き流す3つの項」思考をもってください。

この指導を受けたら聞き流す2つの項

聞き流し、スルーすべき2つの指導は以下の内容です。

1, 一部分の筋肉に力を入れる指導
2, 打ち起こし~引き分けにおいて2つ以上別のことを注意する指導

指導者であれば、これらの指導をしなくなれば、生徒や受講者に喜ばれる指導者になります。逆に、生徒や教わる側はこれらの内容を知っておけば、指導者の言葉にとらわれることなく、自信をもって弓を引くことができます。

一部分の筋肉に力を入れる指導

この指導は、姿勢や弓の引き方において「○○に力を入れてください」と言う指導です。

例えば、
1下腹に力を入れてと言う
2膝の裏側の筋肉をピンと伸ばしてと言う
3会で「伸びろ伸びろ」という

これらの指導は状況によっては正解になります。例えば、2の膝の裏側の筋肉を伸ばす指導は弓道を稽古して3~半年程度は活用できる指導と古くの文献に記されています。

しかし、これらの指導は脳機能の観点から、致命的な欠陥をもっている為、教わる側は聞かないようにしてください。

脳には「同じ時間に二つ以上の物事を意識をできない」という原則があります。例えば、ご飯を食べているときに、誰かに話しかけられたりしたら、食べることと話を聞くことに対する集中力が散漫になります。

これは、脳はあらゆることを同時時間に集中できないからです。これを「単一性の意識」とここでは呼びます。単一性の意識があることを理解し、武道の世界では、脳のとらわれをうまくなくして、身体を自由に動かす体の使い方が存在します。

そこで、弓道を含めた、武道の世界では、「一部分の筋肉や部位に意識を集中させるのではなく、全身の筋肉に意識がいくよう」な状態に導いていくことが大切です。

特に、弓道の世界では、どこか力を自分から入れてしまうと、引き分け以降、弓の反発力が身体にかかるため、二重に筋肉に負担がかかります。すると、教本一巻にある「自然体」で引くや、肩関節を適切な位置に収める会の状態を構成できなくなります。

そのため、指導者に「○○に力を入れて」など、一部分の筋肉に力みを入れるような指導を受けた場合、話は聞いてスルーしなければいけません。

打ち起こしから引き分けで形を指摘する指導

次に、打ち起こし~引き分けで弓の引き方を注意したり、指摘することがあります。例えば、大三を取っている最中に、「手の内の形が崩れている」「肩が上がってきている」といった指導です。

この指導の仕方は、指導者と受講者が密な関係であり、かつその指導者が目指している弓の引き方と受講者の思いが一致していれば、問題ありません。なぜなら、理想の弓の引き方を実践しようとした場合、途中過程で何が起こっているのかは反省や改善するための重要な材料となるからです。

しかし、指導者とそこまで密な関係ではない、理想の引き方がわかっていない、指導者自身もわかっていない場合、この指導も聞き流すのが大切です。

その理由として、弓道において、もっとも無駄な考えを排除しなければいけない過程が「打ち起こし~引き分け」だからです。

これは、古くの文献を見ればわかります。

古くの書籍では、足踏みから弓構えを「過去身」打ち起こしから引き分けを「現在身」会から離れを「未来身」と名付けられています。そして、過去は「過ぎ去る」と書き未来は「未だ来ない」と記します。

イメージしやすいのが、会から離れにおいて、的中するかが決まりますが、本当に的中する確証はありません。弓道の世界において的中は「精神7分技3分」と言われるように、離れにおける感情の起伏が矢どころのぶれに大きく関わるのです。

この言葉からわかるように、過去や未来に対して嘆いたり、不安感をもっても仕方がなく、的中のためには、ふつうの状態を維持する必要があります。このような精神の揺れをできるだけなくすためには、現在身の過程で「今行うべき内容」を明確にし、実行しようと意識するのです。

このような大切な現在身において、指導者が「手の内が崩れている」や「肩が上がっている」といってしまうと、今行おうと思っていることに対する意識が散漫となります。

すると、次の未来に良い結果を残しにくくなります。さらに、今の大切な瞬間に満足に弓を引こうとせずに、別のことを考えてしまうと、「あのとき・・・をしなければ」と後悔を持ちます。

つまり、現在身で指摘を受ければ受けるほど、受講者は悲しい思いを抱きながら、稽古することになります。つまり、どのような指導も、指導者自身が受講者に対して、敬意を払い、責任を持って指導をしないといけません。

そうでなければ、「内容のない・指導者ばかりにつらい感情が残りやる気の下がる指導」となってしまいます。

気持ちを伝えるようにしましょう

このような指導は、受けたらできるだけ感情を出さずに、「はい」「わかりました」と短い返事で返すようにしましょう。

あまりに、「わかりました」「そうなんですね」と共感するようなあいずちをすると、指導者が勘違いしたり「この人にはある程度のことを伝えても大丈夫」と思われるからです。

すると、指導者は永遠に雑な教えを直さないまま、指導者も受講者の技術の質が下がっていきます。どうしても、無理な場合は、
社会人であれば、連盟の話のわかり、かつ影響力のある人に相談を受けるか学校であれば、先輩からそのような指導がないように相談する必要があります。

これが現実的に無理であれば、明らかに嫌われるくらいの態度をとってもかまいません。そのくらい、相手にわかるくらいに「あなたの言っている内容はわからない、質が下がるのであれば、私は結構です」くらいの態度をとらなければ、いつまでも調子に乗ります。

さらに言えば、そのくらいの気概と自信がなければ、どれだけたくさんの段や結果を残したとしても、それは偽りの結果でしかなく、自分の意志ではないと判断せざるをえません。

そのような、見方や評価の仕方、指導者の見方を変えて、自分自身にとって、為になる弓の引き方を勉強し、毎日稽古するようにしてください。

このように、弓道の世界では、身体の仕組みに合わず、理不尽な教えを多く受けます。受講者はこのような「理屈も実態のない教え」については毅然とした態度をとり、向き合うようにしてください。

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