弓、矢以外にも、弦に関しても素材から、役割、音まで知っておくと勉強になる内容があります。ここでは、射を行うときに役立つ弦の内容について紹介していきます。
・弦の材質
日本の弦は麻弦と合成弦の二つに分れます。麻を使って松ヤニで固めて作られるのが麻弦です。
麻弦の利点は竹弓を痛めないことです。引いている人の感覚になりますが、合成弦より離れのときの弓にかかる反動、弓にかかる何かしらの違和感が麻弦ではありません。
欠点としては化学繊維より強度が劣ります。化学繊維より弦切れが早いですが、もしも、麻弦が良いと思えば、
合成弦においては化学繊維ケプラー、あるいはテクミロン系の弦がよく使用されています。テクミロン系とは化学繊維の名称で、他にファーストフライトと呼ばれるポリエチレン繊維の弦も開発されています。
実験によると、テクミロン系、ケプラーストリング(アラミド繊維)、テトロンストリング(ポリエステルファイバー)の順に、矢の初速が大きいという結果が出ています。
・弦音はどんな音が適しているのか
弦音とは弓返りしたときの弦によって生じる音です。この弦音の高さや響きによって、弓と弦が離れたときの状態、現象が何が起こったのかを知ることができます。
これが、射手が?をへんなほうに力んでいたり、押手が力みすぎて、弓に変なテンションをかけていると、弦音が変わります。昔の弓術書を見ると、弦の音の重要性についてよく説明されています。
弓把を15センチに合わしたとき、この関板に少し空きができます。現代弓道の称号者の方の弓を見ると、この関板と弦の距離が近い人がほとんどです。
この関板と弦の間を狭くしている理由は「弦音が響くため」です。弦音とは弓返りしたときの弦の何かしら接触する音です。上関板と弦の間隔が近いと弓返りのとき弦が関板に接触して、音が「ビィィーーン」と響く音になります。私にはわかりませんが、どうやら一般人や見ている人にはこの弦音が響いた方が迫力があるそうです。
弓師さんの情報によると、この音を好んで弓を購入する人もたくさんいるらしく、弦音は高く、響くのが良いと言う風に解釈されています。
しかし、この接触には物理的に矢を飛ばすときに悪い影響がでてきます。弓返りしたとき、弦の復元する力によって矢を飛ばすのですが、復元している最中に弦が関板に当たると、この復元力が相殺されてしまいます。さらに弓を痛める一つの影響になります。
なので、この弦と関板に弓返りのときに当たらないように設計している弓もあります。そういった弓を引くと、弦音はビィィ^ンと伸びた音ではなく、低音でキレタ音になります。「ギャン」といった音になります。響かず、高温ではない音になります。
日置流ではこの弦音を「つやのある音」、本多先生はこの弦音で響いた音は決して陽な音ではないと弦音を説明しています。弦の音は陰の音で弓が返りポーンと的にあたった音は陽の音で心気が一転すると説明しています。
いわば高く響いている音は弦が関板にベシャンとたたきつけられている状態をさしています。弓を痛めたくない、弓の復元力を殺したくない場合はあまり関板にあたる弦音がならないように工夫することが必要です。