弓具店にいくと、グラス弓、竹弓といろんな素材の弓があり、長い間稽古をしている人、グラスの弓を使っていると、竹弓に対するあこがれが出て、竹弓を使いたいと思うようになってきます。
しかし、竹弓は使用していると裏反りが変わったり、形状が変わるために、手入れの面倒なために何か取扱いが難しそうなイメージがあります。
そこで、その竹弓でも形状が変化しにくい竹の素材の間にカーボンシートを入れた「カーボン竹弓」というのが売られています。
・カーボン竹弓の長所
カーボン竹弓は小山弓具店が最初に開発したものであり、弓道連盟の雑誌を見ると、カーボン竹弓の宣伝広告を見かけたりします。
長所として笄(こうがい)のリスクが減ることです。竹弓は製造過程で裏反りをたくさん持たせ、そこから弓を張りこんで徐々に形を作っていきます。
そのときの、裏反りがたくさんあるということはその分弓にかかる反発力の負荷は大きくなり、弓がその反発に耐えられなくなっていまうと弓が割れてしまう危険があります。これを笄(こうがい)と言います。
竹弓を初めて購入するときにまず心配になるのは竹弓だと壊れたとき、また新しいのを買わなければいけないという不安です。しかし、カーボン竹弓はこの笄のリスクがないためにそれを好んで購入する人もいるそうです。
・カーボン竹弓はいいところばかりではない
しかし、そうした竹弓の持っているリスクを軽減したカーボン竹弓としてもいいところばかりではありません。
カオボン竹弓の短所は裏反りが出ないことです。
裏反りが出ないことは形状が変わるために、多くの人は木の形状が変わる→狙いや弓の反動が変わる→的中率が変動する→悪いイメージという考えを持たれがちですが、これは違います。
裏反りがたくさんあるということは竹弓の最大の長所であり、私たちはこれをうまくつかいこなすことで、少ない力で矢を最大限勢いを出すこともできます。
裏反りが出ないということはグラス弓と同じで、たくさん引かないと矢の勢いが出ないということです。この少ない力で最大限の矢勢を引き出す竹弓にしかできない特徴をカーボンシートを入れることで全て殺してしまうのです。
さらに、入木による弓のねじれもあまり起きません。つまり、カーボン竹弓はグラス弓とほとんど性能が変わらないのです。
しかも、竹の素材でプレスで製造している所もあるため、実はカーボン竹弓でも破損するおそれがあります。そうなると、これは修理するのが無理と言われてしまうことがあります。そうすると、こうがいのリスクの全くないグラスの弓の方が安価だし、現実的に良いかもしれません。
さらに、カーボン竹弓は形状変化しにくいと説明している弓師さんもいますが、実際はカーボンシートが入っていても変わります。あくまで、普通の竹弓と比べて変化が小さいという意味であって竹の素材で変わりません。
私はカーボン竹弓を使用していた時期もあり、勉強していくうちにもっと形状の違う竹弓を今は引いています。見た目は竹弓なので竹弓を引ける憧れは満たせたのですが、中の能力を考慮し、竹弓を購入する必要もあるかもしれません。