五胴の詳しい解説

胴づくりでは「五胴」「五身」と言われ、胴づくりのいろいろな目的、用途がありました。近的に用いる胴づくり、それ以外の胴の具体的な目的について話していきます。

その五胴とは懸る胴(懸る身)、退胴(のきどう、退く身)、俯胴(ふしどう、伏す身)、反胴(そりどう、反る身)、直胴(すぐどう、直なる身)です。ここでは、五胴の内容についてさらに内容を深めて、正確な胴づくりの考え方を理解していきます。

 懸る胴、退く身
懸る胴は目的物の方へ上体が傾く胴であり、これは近い物を射るとき、穴の中にあるものを射るときの射形になります。

これは、直胴の上体で低い物を狙っても、これは狙いずらいです。直胴の状態でねらい目を下に下げると左右の釣り合いが取れないからです。この左右のつりあいをとって、近いもの、低いものを射るために、直胴の状態から腰から的方面に曲げます。これが懸る身になります。

退く身とは体を的と反対方向に起こす胴です。これは、高いものを射る時、遠い所のものを射るときに使用する胴です。この場合、少し足踏みを狭めに踏むと上半身の自由度が高くなり、退く身がしやすくなります。しかし、せっかく胴を折っても矢が的に届かない恐れがある場合はその点を注意して行う必要があります。

懸る胴、退く胴は足踏みの角度が狭すぎるとなりやすくなります。それは、足踏みの角度が狭すぎると下体の後ろ側と内側の筋肉が他の筋肉より強く緊張して、膝の所が後で内方向に引かれ、腰が後で引かれ易く、上下の伸びを失いやすくなります。前後に対する体の安定度は高まりますが、左右の安定度が低くなり、懸る身、退く身になりやすいです。

 伏す胴、反る胴
伏す胴とは体が前方に屈する胴を言います。この胴になると比較的矢が後ろ(左)に飛びます。体を屈ませると、体に弓のはまり方が深くなります。しかし、実際にはそこまで深いところまではめることができず、弓を身体総部に受けることができなくなってしまいます。

これが、押し手の効きが勝手に比して一層強くなり、これが矢が後ろに飛んでしまう理由になります。もしも、姿勢が反り身の人で押し手に力が入らない場合はこの方法で射を行うと良い方向に働きます。

反る胴とは俯す胴と正反対で体を後方に反らすことです。射を後方に反らせば、弓は十分に体にはまることなく、主として勝手が強く働き、したがって、放した矢は前方に出てしまいます。初心者が逃げるためにこの姿勢になって前に矢が飛んでしまうことがあります。熟年の人も知らぬ間に反り身になっていることもあります。

 直胴
直胴とは、文字通り四つの胴のように偏りなく、まっすぐな胴を言います。近的で射を行う場合はこの胴づくりを会得し、稽古することが大切です。この場合、片方の手に負荷が不均一にかかることはありません。さrない、下半身に無駄な緊張ななくなるため、弓を引いている間に姿勢が安定しています。

このように、五胴とそのときの筋肉の状態から、正確な胴のときの適切な筋肉の状態を理解することができます。

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