弓がみるみるうまくなる「守破離」の思考方法

本記事では、初心者が弓道を長続きさせるための秘訣や考え方について解説していきます。

キーワードは「守破離」です。この中の「守」という言葉に注目するようにしてください。

この言葉の意味は、先生の言われる型を最初に覚える段階のことです。しかし、ここで初心者がうまくなるために、この言葉をもう少し、うまくなるための思考に書き換えましょう。

それが、「うまい人の真似をする」「真似る人は自分で選ぶ」です。

稽古が続いてくると、指導者や経験者に悪い部分を指摘いただいたり、言われた内容ができなかったりします。あるいは的に当たらなかった場合にショックを受けたり自信を無くしたり色々あります。

そうした場合に、弓道の実力を伸ばす方法について解説していきます。

うまい人の動きを真似る

弓を引くときの綺麗な動きをとにかく真似る。これにつきます。

まず、初心者は自分の弓の引き方を綺麗にしようと考えないでください。自分にとってお気に入りの人の動きを真似てみて、弓を引いてみてください。

自分が気に入った人の「打起こしの上げ方」「大三での左拳の動かし方」「引き分けでの両手の動き」この辺りが真似するポイントです。そして、皆さまの動きを見ると、一人一人微妙に違うこともわかるでしょう。

このような動きを取り入れようとしてください。この考え方は、昔の武道の言葉でも「守破離(しゅはり」という言葉で説明しています。

守はまずは指導者や師匠となる人の動きを学んで基礎を作ること、次に破はその型を身につけたうえで自分の考えや発想を生み出すこと、離は師匠から離れて、自分の型や動きを身につけることです。

今回のうまい人の動きを真似るとは、「守」に該当します。一番てっとり早いのが、自分の動きをどうこうするのではなく、うまい人のやり方をその人そっくりになるまで真似し続けることです。

ただ、このように、ただ「守」だけではいけません。現実的にうまくなりたい人は、もう一つここで深く考えてみてください。その上で次の見出しを読んでみましょう。

高段者の動きの真似は必ずしも正解とはいえない

ただ、ここで注意点があります。真似する際は「自分が良い」と思った人の動きを真似ることです。

弓道の世界は、指導者は全員に高段者のような引き方を教えられます。そして、この人の動きが正しい動きと教えます。直接言わないまでもそれを匂わすようなニュアンスを使います。

こうすると、弓の引き方はうまくなりません。高い確率で、弓道を稽古するモチベーションが低下するのが目に見えています。

なぜか、その人が必ずしもその高段者を尊敬していないからです。その正しい動きの具体的な意味を理解していないからです。

もし、その人が高段者の動きをみて、具体的にどこがどう美しいか、合理的に正しいかを説明できるなら高段者をまねしてもいいでしょう。なぜなら、そこまで理解ができている時点で、その人は高段者の動きを取り入れられるからです。

しかし、初心者の場合、人から教えられた正しさではなく自分がシンプルに思った感情的な部分が大切です。その時に弓の引き方が面白い、楽しいと感じなければ、弓を引こうというやる気に繋がりません。

あなたが弓を引いていて、「あぁ、この人の引き方かっこいいな」と思う人がいます。そのような人をみて、動きを真似ます。そうすると高い確率でうまくなるでしょう。なぜなら、この場合、あなたがうまくなりたいと強く思える主体的な気持ちがあるからです。

しかし、そのような気持ちもなく、ただ高段者やうまいと言われる人の動きを真似してくださいと言われると、工事のライン作業のような「流れ作業」の感覚になります。

言われた内容をただやらされている感覚。この感覚で稽古すると、下手になります。

うまい人を真似をする時に大切なのは「思い入れがあるかどうか」です。この人の真似をしてみたいと思う動きあるかないかは上達する上で非常に大切です。

自分でいいなと思った動きを取り入れるようにしましょう

これは野球でも同様です。

松井秀喜は掛布雅之さんに憧れて、掛布さんのバッティングフォームを真似ました。そして、うまくなっていきました。イチロー選手は最初から振り子打法を編み出した訳ではなく、中日ドラゴンズの田尾安志さんの真似をしてうまくなりました。落合選手は同じチームの土井選手の右手首の使い方を真似したことで「神主打法」を編み出しました。

この三人に共通することは、まず自分自身で真似したいと思った人を選んだこと。

初めて習いごとをしたり、新しいことを行ったりする場合、いちいち形や理屈を教えるとかえってモチベーションを下げる要因になります。

それよりも、まず「うまい人の真似をする」「尊敬する選手のつもりになって真似る」といったことを続けてみます。

そして、この時、まねする人間は直感的に、自分で選ぶようにしてください。ここで、なんとなく言われた内容だけやるようではやる気は間違いなく下がります。これだけはやめてください。

自分でいろんな人の射型、右手の動かし方をみて、「この人の動かし方格好いい」とシンプルに思った人の引き方から姿勢まで「動き」をまねするようにしてください。

それは、小さい頃に、セータームーンに憧れたらそのセリフを真似るように

野球選手で憧れた選手の仕草やバッティングフォームを憧れるように

好きな人の動きや型であったら早く覚えられますよね。そうなんです。この「まね」をする思考が、早く弓道の基礎をつくってくレます。

弓道に置ける基礎は「大きく体を動かすこと」

ここで、弓道に置ける基礎について学んでみましょう。皆さま、基礎は大切、まずは基礎から学びましょうと言いますが、弓道に置ける基礎とは何か教えられますか?体配?礼儀作法?

では、こうした内容を続けていくと弓を引く動作はうまくなっていきますか?そうではありませんよね。ここでいう弓道の基礎とは、「最大限に体を使うこと」です。

弓道教本の一番最初の文章である「礼記射儀」の元となった人物「孔子」は、礼の心は仁と同じであり、それは忠恕(ちゅうじょ)を実行することで、養われると説いています。その忠恕は「言行一致」、つまり、ただ口で言うだけでなく体を動かし行動することで養われると説いています。

この孔子と同じく有名な思想家の「旬子」では、「師は弟子に最初に矢の長さいっぱい引くことを教える」と解説されています。

つまり、弓道に置ける基礎は、「型」でも「礼儀の動作」ではありません。具体的には、弓を引こうとする時に「できるだけ自分の両手を最大限に動かす」ことにつきます。

もし、あなたがうまい人の動きをまねし続けたとします。すると、「まね」をすることで、たくさん右手や左手を動かします。これが弓を引くための「基礎」を作ります。

しかし、言われた内容だけただやろうとしても、いきなり完璧な動きを身に着けるのは難しい、やっている内容が「何のためにやっているのか」がわからない。こういった問題が起こるため、理想の動きがなかなか手に入りません。

ただ完璧な動きを詰め込まれるだけの稽古は、続けて行くうちにモチベーションを低下させます。

そのため、あなたが弓道をうまくなりたければ、「うまい人をまねする」ようにしましょう。それを「自分が良い」と思った人をまねする。この二つを意識して、稽古するようにしましょう。

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