99%の高段者が教えない|弓道の姿勢づくりと道具との一体化の真実

「もっと当てたい」「射癖を直したい」「きれいな射形を身につけたい」——こうした悩みを抱えている方は非常に多いですよね。私のもとにも、こういった相談が日々寄せられます。

ここで多くの人は

・練習不足

・技術不足

このように考えます。

しかし、それは根本的な勘違いなんです。弓道というのは、

技術をたくさん持っているから上手くなるわけでもなければ、練習量を増やせば上手くなるというものでもありません。

99%の高段者の先生方が教えていない重大な要素があるんです。

結論から申し上げます。★ あなたの射が上達しない根本原因は

「姿勢」にあります。

この、弓道の本質に基づく、道具の使い方に基づく姿勢の作り方がわからないから、実力低下を招きます。

ぜ「当てたい」と思っても当たらないのか

多くの方が陥る勘違いは3つあります。「練習不足だから」「技術が足りないから」「形が崩れているから」——これらは全て表面的な理由に過ぎません。

★ 弓道の稽古とは、道具と人間の身体をつなげるです。的中というのは、その結果として道具と身体がつながっているかどうかの判断方法に過ぎません。ここの順序を間違えている方が非常に多いんですね。

皆さんは動作や技術を追求する一方で、弓という道具がどういう構造になっていて、なぜ右手が主として打起しを上げ、大三で押し手先行と言われているのか——こうした本質的な内容を学んでいないのではないでしょうか。

これらの内容は自分で右手を主としてあげるわけではありません。道具によって、そのような状態を作ってもらうのです。その状態にしてもらうための身体の使い方が右手が主、押し手先行という教えです。

しかし、ほとんどの人はこのように弓道を稽古できません。

すでに「足先を60度に揃える」「矢の長さ分の幅を取る」という間違った足踏みの世界観を教わってしまっているからです。

弓の構造が教えてくれる「自然な動き」

弓というのは、なぜ下が短くて上が長くなっているのかご存知でしょうか。★ この設計によって、弓は自然に打ち上がるようになっているんです。

まず弓には左側に重心があります。左側に重心があるということは、弓は回転しようとする性質を持っています。弦の動きを分析してみてください。弦は身体に近づくように動きます。

この身体に近づくという動きによって、左手の小指や親指に変化が起こります。弓というのは刀を持つのと同じで、最初は小指と薬指で締めて持つんですね。そうすると力が抜けたときに手首が自然と起きるんです。

手首が起きると何が起こるかというと、上が長いテコの原理によって親指がクッと上がり、その動きに連動して弓が自然に上に上がるように設計されているんです。回転+弦が近づく+手首が起きる——この3つの要素が揃うと、弓は腕の筋肉を使わずに、弓の圧力によって腕がついてくるような動きが実現できます。

★ しかし、この現象はあなたの姿勢が良くないと絶対に起きません。

肩甲骨と仙骨を下ろす——姿勢づくりの核心

では具体的にどのような姿勢を作ればいいのか。★ 人間は肩甲骨と仙骨を下ろすようにすることが重要です。これがまさに私がお話ししている胴造りの本質なんですね。

仙骨を下ろして肩甲骨を締める姿勢

仙骨を下ろして肩甲骨を下ろす。肩甲骨は斜めに、中心から下に下りるようにします。ここで注意してほしいのは、頭で弓道の形を作ろうとして、正射必中・正射主義になっている人は、これを自分で意識してやってしまうんです。

仙骨を下ろして肩甲骨を締める姿勢

★ 肩甲骨が下に下がる動きは、自分で意識してやるのではなく、デフォルトでそうなるように作るんです。この姿勢の使い方をまず覚えないといけません。仙腸関節が下に下りている状態を作り、肩甲骨が下に下がるという動きを覚えないと、弓道の実力が伸びることはありません。

なぜかというと、頭で意識すればするほど弓の自然な動きがなくなってしまい、あなたがいちいち頭を使っていろんなところに手を加えないときれいな射形にならない——そういう状態を自ら作り上げてしまうからなんです。

弓に体を任せれば射形は自然に作られる

腕の筋肉を使わず、弓の上部がテコの原理でクッと上がった瞬間に腕がスッと上がるような動き——これを身につけると何が起こるかというと、弓に身体を任せていれば弓によって射形が作られるようになるんです。

この動きを身につけることで、人間は道具と一体化する感覚を持って弓を引いていれば、射形が自然に出来上がっていきます。その結果、あなたには何の邪な気持ちも考える暇もなくなり、自動化されて弓が勝手に動いていくのを感じながら、いつの間にか離れの動作が完了しているという状態になるんです。

力を抜いた状態で弓の運動が自動化されていると、弦はクッと回転して矢は前に伸びるようになります。反対に、力が入っている状態でやると弦が前に行ってしまい、矢所が安定しません。

「真横に引く」は間違い——弓は円運動で動かす

多くの方が「真横に引く」という指導を受けていると思いますが、★ そもそも弓道の道具は真横に引っ張っていいように設計されていません。

試しに弓を真横に引っ張ってみてください。下が短くて上が長い弓を直線的に引くと、必ず左肩が上がってしまいます。なぜなら、弓はまっすぐ引くようなコンセプトで設計されていないからです。

だからこそ、打起しから大三にかけては円を描くように動かす必要があるんです。左の肩が上がらないように引くためには、弓を直線的に打起し・大三とやってはいけません。円を描くように動かしていかなければならないのです。

左腕が通る動きが円、右腕も通るように円——この2つの円が合わさることで、陰と陽が交わったような身体の状態が生まれます。右腕の回転と左腕の回転が相まって、それぞれ性質の違う回転が同時に合わさることで、人間の身体が自然な運動の中に身を任せ、道具と一体化される状態になる。これが本来の弓道の姿勢の作り方なんです。

 

足踏みを広くすれば肩甲骨は自然に下がる

肩甲骨と仙骨が自然に下がった状態を作り上げる、一番簡単で楽な方法があります。それは★ 足踏みを広くすることです。

足を広げれば広げることで仙腸関節が下がります。仙腸関節が下がったら肩甲骨も下がってくるんです。これは解剖学的に見ても、骨盤の位置が変化することで脊柱全体のアライメントが変わり、肩甲帯にも影響が及ぶという連動した動きなんですね。

昔の弓道の先生方の本にはこう書かれています。「下が長く上が短い状態で姿勢が支えられるとするならば、下が短くて上が長くなると不自然な引き方になってしまう」と。だからこの構えで引いていない限りは、あなたが自然に弓を引けることはないのです。

肩を下ろして肩甲骨を締める姿勢
肩を下ろして肩甲骨を締める姿勢

「準備完了状態」が無心を生む

肩甲骨が下がって仙骨がギュッと下がると、身体は準備完了状態になります。心理的に言語化すると、胸の筋肉が程よく開いて「よし、やってやるぞ」という気持ちになるわけです。

想像してみてください。100m走でスタートラインに立ち、クラウチングスタートの姿勢を取っているとき。「よーい」となった瞬間、あなたは何か考えていますか?胸の筋肉が程よくクッと開いて、肩甲骨が下がって仙腸関節が下りると、「さあやってやるぜ」という気持ちになるはずです。

肩甲骨を締めて準備完了の状態
肩甲骨を締めて準備完了の状態

★ この気持ちを道具で作るんです。肩関節を柔らかくしておいて、腕の関節も柔らかくしていくと、弓によって腕が程よく開かれ、肩甲骨が下に下がり、仙腸関節が下に下がるように、弓の設計通りに身体が動かされます。

道具によって人間が準備完了状態——無心の状態——で道具と一体化する。これが本当の稽古の仕方なんです。この稽古の仕方でやらないと、そもそも弓は楽に開けるようになっていないのです。

射癖は姿勢の問題——ブレは稽古で消える

このような稽古法を始めると、初期症状として取り打ちになったり、手首がたぐってしまったりすることがあります。しかし★ 重要なのは、この姿勢の作り方を知っているかどうかなんです。

多くの人は「姿勢」と言われると、足踏みをして胴造りをして姿勢がぶれないようにすることだと思っていますよね。違うんです。弓の圧力を取り込んで無心にさせるようにするのが姿勢の作り方——まさに弓を使った姿勢の作り方なんです。

そのためには肩関節を柔らかくしないといけません。股関節を柔らかくして体重を下に下りていかないといけません。肩が自由に動けるようにしておかないといけません。

肩が自由に動くということは、取り打ちになるかもしれないし、弓を引っ張っているときにどちらかがブレたりもします。でも、それでいいんです。そのブレは稽古を続けていくうちに、弓の調子とあなたの身体の調子がバシッと合ってきて、心が落ち着いてブレがなくなります。

★ そのようにしてブレがなくなるのが本当の弓道の稽古であって、先生にいちいち直されて意識してブレを消すことは稽古でも何でもないんです。

最初はブレがあっても構いません。それは稽古を重ねる中で、弓と身体の調子が合ってくれば自然と消えていきます。大切なのは、この本質を理解した上で稽古を続けることです。

江戸時代から伝わる弓道の叡智を、ぜひあなたの射に取り入れてみてください。道具が教えてくれる自然な動きを信じて稽古を重ねれば、必ず強い弓を楽に引けるようになりますよ。

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