理想の胴づくりを崩さないために意識すべき3つのこと

ここまで読んできたように、胴づくり動作においての目的は、上半身に無駄な力みをかけず、背中の筋肉を真っすぐに伸ばすことを目的とします。

 

そして、こうした状態を射で実現するためには、具体的に何を行えばよいでしょうか。実は、射の動作における「目線」「重心」など、細かいところに気を配らないと、胴づくりの理想の状態から崩れると解説しています。実際に稽古する際に、これらの内容に気を使って、動作をするようにしましょう。

 

胴づくりを崩さないために:目に意識がいかないようにする

胴づくりの過程では、弓の左元弭に左膝上部に載せます。そして、弓の上部、下部を見て、「弦調べ」を行います。その際に、無駄な動きをしないように動作を行います。

 

具体的には、「目線があちこちに行かない」「弦調べをするときに頭を上下させたりしない」などです。

 

弓道の動作をする前は、胴づくりをし、上半身の体重をきちんと下半身に乗っている状態を維持する必要があります。なぜなら、弓を上げているとき、弓を引いているときにこの姿勢が崩れて、引きにくくなってくるからです。そこで、ただ体重を乗せた姿勢を意識するだけでなく、精神的にも無駄な気持ちを考えず、弓を引くようにします。

 

余計なことを考えず、弓を引くことに集中できれば、実際の射の動作で無駄な胴体の崩れは少なくなります。しかし、射を行っている最中に、胴体への意識が途切れてしまうのは、「目」に意識が行き過ぎるからです。弦調べや的つけを行っているうちに、いつの間にか胴体が下半身に乗っている感覚が頭の中から消えてしまい、弓矢の操作に意識が行きがちになります。

 

すると、落ち着いた状態で弓を引くことができません。

 

できれば、上半身の体重がしっかり下半身に乗った状態を意識したいです。しかし、この体重が乗っている感覚を最初から忘れずに動作するようにしましょう。

 

このときのおすすめは、「祝部範士」の胴づくりでの目使いを参考にすることです。

 

 

胴づくりを崩さないために:腹圧をかける

次に、胴づくりにおいて、心や身を適切な状態にするために「腹圧」をかけるようにします。

 

ただ、腹圧をかけるといっても、お腹に力を入れるわけではありません。一度自分で呼吸をします。息を意識的に吐けば、自然と息が座れます。このときに、おなかまで息が入るかを確認してみましょう。

 

上半身の力みがとれ、きれいに姿勢が真っすぐになっていれば、呼吸したときに「おなか」に息が入ります。反対に、上半身が緊張してしまうと、呼吸が浅くなり、かつ息がおなかまで入りません。

 

上半身の力みがとれていなければ、みぞおち部にあり、呼吸動作に関わる横隔膜が上下動しずらくなります。したがって、呼吸が下腹まで入らず、体重が下半身の上にしっかり乗った姿勢にならなくなります。このことに気をつけて、胴づくりを実践するようにしましょう。
なお、教本を見ると、多くの範士が「呼吸と胴づくり」の関係性を解いています。射位に立って呼吸したときに、吸った息によって下腹部が膨らむかどうかを確認してください。

 

できるだけ深い呼吸を二、三回繰り返し行えば、力が自然と下腹に充実し、結果として下腹が堅くなる 〜千葉範士〜

 

この重要な点は気息が収まるところと力の中心点とがどこにあるかということであろうと思う。臍下丹田に気息を納めることと、もう一つは腰の中央に力の中心点を置くことである。 〜宇野範士〜

 

「胴づくり」の際、静かな呼吸のうちに、気息を臍下丹田に納めて重心の安定をはかり、〜宇野範士〜

 

精神的にも悠々たる不動の構えが必要で、気息を臍下丹田に納め〜松井範士〜

 

胴づくりを崩さないために:袴の腰板をしっかりつける

最後に、胴づくりを適切に崩さないようにするために「腰板」を背中につけるようにしましょう。

 

教本二巻には、「袴腰の準」という教えがあります。

 

袴腰の準というのは、胴づくりがしっかりできているかを袴の腰板で判別する教えです。胴がどこにも偏りがない状態では袴の腰板がしっかりと腰にピタッとくっつくようになります。

 

「胴づくり」は正しい足踏みの上に胴体を真っ直ぐに置くことで、この姿勢は射技の終わるまで(残心)保ち続けなければいけない。真っ直ぐといっても棒立ちに硬直するのではなく、射を行うに適当で胴が浮かない体構えをなすのである。その形は腹部をわずかに前方に屈し、腰を引いて袴の腰板(帯をする辺)がピッタリ腰につくようにする。〜浦上範士〜

 
上体はすっきり真っ直ぐに立つのであるが、和服の場合私は角帯を結び袴をつける週刊だから、腰板は帯の結び目の上辺に来るから、自然に後背にピッタリつくようになる〜神永範士〜

 

腰板はしっかり姿勢を作ったときにピタッとつくようになります。このように、自分の目で確認しなくても、腰と板の状態を確認すれば、自分が胴づくりができているかどうかがわかります。

 

弓道教本を観察すると、胴づくりができているかどうかを確認する一つの目安として自分の背中が袴の腰板についているかが挙げられます。

 

他に、腰に板がついていることによるメリットがあります。腰板が背中につくことで、より胴体や体幹部に意識が行きます。これも、射の最中に、体の腕や手先、目といった末端部に意識が行かないようになります。

 

武道全般では、帯をきちんとまいて、胴着を着ます。この理由は、帯を巻くことで動作中におなかに意識を向けやすくするからです。つい、動作をしている最中に、腕や手先に意識が行き、動作中の姿勢がぶれないようにするために、胴着をきちんと着る必要があります。

 

ただ、これは、姿勢をそらして腰板をつけるのではありません。あくまで、上半身の無用な力を抜いた状態で腰板につかなければいけません。しっかり腰板が腰につけば、胴づくりで上体がぶれにくくなり、射を行うに適切な中胴を保つことができます。

 

以上の内容を理解することで、適切な胴づくりを保ち、射を行うための目安として考えるようにしてください。

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