「背筋を伸ばそう」とすると、余計に姿勢が悪くなる!適切な姿勢の伸ばし方のポイント二つ

今回は、弓道において、胴造りを正確に整える方法について解説していきます。

弓道教本では、「足踏み、胴づくりがきちんと整わなければ、射は上達しない」と説明されている方がいます。そのためには、「背筋をまっすぐに伸ばすこと」が大切とわかります。

ただ、背筋を真っすぐに伸ばそうとしても、意外にもまっすぐした姿勢は作りにくいことがわかっています。それどころか、上半身の筋肉が硬くなってかえって姿勢が悪くなってしまうことがあるからです。

つまり、ただ姿勢を伸ばしただけでは、まっすぐのびた姿勢はできないとわかります。その詳細について解説していきます。

背中を伸ばそうとしても、実際には伸びない

背中だけ伸ばしてもほとんどの人は伸びない

「背中を伸ばそうとしても、実際に背中がのびないってどういうこと?」と思うかもしれません。実際はこの問題が起こります。「つま先に体重を乗せた状態で背中を伸ばす」「お尻に力を入れながら背中を伸ばす」こんな感じで体重の乗せ方や別の筋肉に力が入っているとかえって背中が伸びなくなります。

例えば、つま先に体重を乗せてください。次に、背中の筋肉を伸ばしてみましょう。おそらく、「背筋」がガチガチになってしまうと思います。なぜなら、つま先に体重を乗せると、骨盤が前に傾いてしまい、背中の筋肉が張ってしまうからです。

解剖学の話を少しします。人の骨盤は前に傾くと背中が、後ろに傾くとお腹の筋肉が張ります。もし、骨盤が前後に傾いた状態で背筋を伸ばそうとしても余計に背中の筋肉が張ってしますのがわかります。

次に、気をつけ」の姿勢のように、足を60度に開いて背中を真っすぐに伸ばしてみてください。この場合、骨盤が垂直に立ちますが、肩の筋肉が張ります。お尻の筋肉が硬くなると、肩周りの皮膚が下方に引っ張られてしまいます。すると、肩関節が上方にあげにくくなり、肩関節が硬くなります。

つまり、大三や引き分け動作をすると、肩関節が上がって胸部が圧迫されてしまい、背骨が上方に伸びなくなります。したがって、結果的に背中の筋肉が硬くなります。

ただ背中の筋肉を伸ばすだけでは、一部の筋肉に力がかかって姿勢が悪くなってしまうことがわかります。

理想の胴造りの状態を調べると「首の後ろと脊柱が伸びた姿勢」と言われています。この情報が頭に入ると、頭の中は「背中だけ伸ばせば良いんだ」と思いがちです。しかし、この言葉だけ真に受けて背筋だけを伸ばしても背中の筋肉が硬くなってしまいます。

重心の位置が間違えている場合、もしくはお尻の筋肉がカチカチに固まっている姿勢で背中を伸ばそうとします。そうすると、余計に背中の筋肉に力が入ってしまいます。良かれと思ったことを行おうとしたらかえって悪い結果になってしまうのです。

せっかく背筋を伸ばして「良い姿勢だと思い込んでいる」のに、弓の反発力がかかって余計に筋肉が圧迫され、肩関節が上がったり、背中が曲がったりしてしまいます。

体を緩めて、ようやく背中は伸び続ける

つまり、ただ伸ばすだけでなく、その状態を維持するためにもう一つ意識しないといけないことがあります。それが、上半身の筋肉を緩めること。弓の反発力が体にかかっても姿勢の状態や重心の位置がずれないようにバランスを取らないといけません。

ここで筋肉がかたまってしまっていると、バランスが崩れてしまいます。

人体の筋肉は、長くても30秒程度しか筋力として働きません。もし、骨盤が前後に傾いて、背筋が張った状態で弓を引くと、的を狙っているときには、背中の筋肉が緊張しすぎてしまい、背骨が曲がったり骨盤が傾いたりします。

ここで、上半身の筋肉が緩んでいると、たとえ反発力が体にかかっても関節を支えることができます。つまり、理想の胴造りと言われる「中胴」は、ただ背中の筋肉を伸ばすだけではなく、上半身の筋肉がリラックスしているのですね。

背中の筋肉が緩むと、骨盤が前に、腹の筋肉が緩むと後ろに倒れにくくなるからです。弓道の姿勢では、体が「反る・屈む・右傾する・左傾する」の4つの姿勢の崩れがあり、リラックスして姿勢が伸びていれば、これらの失をおさえられます。

胴づくりにおいて、力ませたくない筋肉

胴づくりにおいては、力ませたくない筋肉をまとめます。

・腹部の筋肉(腹横筋、腹直筋)
・背部の筋肉(脊柱起立筋、腰方形筋)
・身体の側面の筋肉(腹斜筋、前鋸筋)

参考:心月謝儀 梅路見鸞 胴づくりの項

一、脊柱の彎曲、腰部の場合は、股の付け根より膝の上部まで肉の弛みを覚ゆ。中部上部の場合は、胸腹の間委縮を覚え、腰部僅かに後退の気味を覚ゆ

二、下腹の硬直、心気の停滞、気力の集結を覚ゆ。ただし、下腹に必要以上に力を入れたる時、以上の失あり、下腹に力を入れてと云うは、幼稚なる修養にして、自然心気の結滞あり、自然の運行を妨ぐること甚だし。以下省略

三、左傾、右傾、左傾は右足、右傾は左足に浮き気味を覚ゆるとともに、傾ける方に必ず中心あるを覚ゆ。反身は言を俟たず、自ら胸部下腹部に気停ありて、前半身浮きて治らず。

この文章をざっくりまとめると「腹や背中の筋肉は力ませたくない」とがわかります。つまり、あなたは、姿勢を整える時に

1、「背中骨が曲がらないこと」

2、「下腹に力を入れないこと」

3、「体を左右に傾けない」

この三つも合わせて意識しないといけません。

1の内容は関節的骨盤が前に傾かないようにすると実践できます。2は骨盤が後ろに傾かないようにすると、3は両肩を下げて肩に力を入れないようにすると実践できます。

踵を踏むと、背中の湾曲が抑えられる

そこで、大切となるのが踵に体重を置くことです。踵に体重を置けば、背骨が曲がりにくくなり、かつ下腹の力みがほぐれます。

最初に、踵に体重を乗せてください。かかとに乗せたままたつと、顎や胸が後ろに引きやすくなり、背筋が伸ばしやすくなると思います。人の体はかかとに体重を載せると、頭と胸が後ろが引きやすくなります。この原理を用いると、背中が伸びて、胸や腹の力みが取れた姿勢を取りやすくなります。

つまり、背中とお腹の筋肉を緩めたい場合、「踵側」に体重を乗せた方が有利です。かつ背筋も伸びやすくなります。毎日の射で実践して見るようにしてください♪

反対に、つま先に体重を乗せると、頭部と胸部が前方に出やすくなります。つまり、背筋が伸びないのです。つま先に体重を乗せていると、上半身の力が張って背筋を伸ばせなくなるので、気をつけてくださいね。

道の実力を伸ばしたい方は、胴づくりにおける教本の文章の理解を深めるようにしましょう。その文章は「脊柱、項をまっすぐに伸ばす」という文章だけ読んでも足りないです。もう一つ、「上半身の筋肉を緩めること」という気持ちも持ってください。

さらに、教本の文章には「三重十文字」と呼ばれる体か前があります。「良射に必要不可欠な三重十文字でやるべきこと」から、三重十文字の内容も正確に理解しましょう。丹田、教本の胴づくりの説明、三重十文字まで理解できれば、実際の射において迷うことはありません。

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