大きな引き分けに繋げるための打起こしの仕方

今回は、打起しの動作でやることをまとめて行きます。

弓構え動作まで完了したら、打起しに入ります。本記事では、打起し動作を適切に行うためにやるべきことを紹介していきます。

打起しは準備が大事

打起しはただ弓をあげる動作に留まらず、チェックしなければいけないことが複数あります。適切な打起しには準備が大事。次のことを確認して弓をあげてください。

・足踏みの重心は一部に乗りすぎないように、均一に乗るようにしましょう

・上半身に無駄な力みがないようにしましょう

・両肩の線が的に対して平行に揃えて、三重十文字の構えが構築できているか確認しましょう

・左右の拳に余計な力みがないようにしましょう

・一度呼吸をして、楽に吐けるか確認しましょう

・顔を的方向に向けたとき、左右の肩と眼に力が入らないようにしましょう

これらは弓構え動作を確認したい内容です。今一度確認して打起しに移ってください。

この打起しは準備が大切という概念は打起しに「現在身」という言葉で説明されていることから来ています。

古くの弓道書籍を見ると、射法八節の動作は、「過去身」「現在身」「未来身」と名前をつけて、区別されています。足踏み~弓構えを「過去身」、打ち起こしから引き分けを「現在身」、会~残身を「未来身」と分類され、それぞれの動作が連動して、関係があると考えられています。

「現在身」では、足踏み、胴づくりによって、構築された姿勢をもって、腕が動き、弓が開き、筋肉の運動や活動が始まります。つまり、弓構えで構築された姿勢は、腕の上に上げる運動、弓を押し開く運動に関わる大切な要素です。もし、弓構えの時に上半身の力みや手首の曲がりなど細部に目を向けなかったら次の打ち起こしは失敗する可能性があります。

そして、打起しで変に肩が上がったり腕に力が入っていたら次の引き分け動作は綺麗に行えません。なので、準備はめっちゃ大事、姿勢は真っ直ぐ伸びているか、リラックスしているかなど、確かめるようにしましょう。

打起しでやること

きちんと準備が整ったら、次のように弓をあげていきましょう。

・両腕を囲った弓懐の状態をそのままにして弓を真上にあげる。

・肘の角度が最低45度になるまで上げる。

弓構えに置いて「両拳はリラックスしてる」「両肘は楽に軽く曲がっている」「両肩は下がっている」状態を構築したら、その状態を維持して弓を上に上げていきましょう。そして、最低腕の角度が45度を最低ラインにして、高く上げるようにしてください。

ここから理想の打起しを構築するためには色々気をつかわないといけません。その例を紹介していきます。

まず、両手首が内や下に曲がりすぎた場合、これはアウトです。この状態で高く上げると肩が上がるからです。次の引き分けで両肩の力みが強くなり、大きく引けなくなります。

次に、左手だけ高く上がりすぎた状態、これもアウトです。なぜなら、左手が高いということは、左腕が伸びきっているということ。弓構えの時にお話した、「脇下の筋肉」が最も張る腕の角度は伸びきった状態から約5度程度曲がった状態です。つまり、左手が高くなりすぎると脇下の筋肉や腕の付け根から弓を効果的に押していけません。

このような問題が色々あるため、できるだけリラックスしてのびのび打起しするようにしてください。

初心者に陥りやすい二つの打ち起こしの射癖と改善法

では、初心者に陥りやすい打起しの失敗を解説していきます。

・腕に力が入る

・肩関節が上がる

目線を越えると肩関節が上がってきてしまうんですよね。肩周りを見るとわかります。

この二つの問題を解決できれば、打ち起こしがしやすくなり、弓を楽に引けるようになります。

打ち起こしで腕に力が入った場合の対処法

打ち起こしで腕に力が入った場合の対処法を解説します。

手の内動作で弓を軽く握るように意識

弓を固く握りすぎてしまうと、腕に力が入ります。軽く握るようにしてください。この時は、「弓を引きやすくする手の内の裏技」を参考にすると良いと思います。

・人差し指と親指と弓とを離す

・天文筋から弓を離す

このあたりを行うと、弓を軽く握れます。実践するようにしてください。

肩が上がってしまう場合の対処法

次に、肩が上がってしまう場合は、

首を後ろに引く

肩が上がってしまう原因は、首から肩にかけて生えている僧帽筋という筋肉が縮むからです。頭が前に出て、首の後ろの筋肉が縮むか、胸が前に出て肩甲骨周りにある筋肉が張ると、僧帽筋が縮みます。この二つの問題を解消する方法が首の後ろを伸ばすことです。

なお、うまくあごが引けない、あごを引くと背中に力が入ってしまう場合は、「背中の伸ばし方」を間違えている可能性があります。その場合、「適切に背筋を伸ばすための二つの方法」を参考に伸ばすようにしてください。

あるいは、胴造りを行うもう一つの目的に「脇下の筋肉」があります。脇下の筋肉は僧帽筋と拮抗関係にあり、脇下が張ると、肩が上がらないこともわかっています。この原理を用いると打起しで肩が上がらなくなります。ぜひ参考にしてみてください。

胴造りを行うもう一つの重要性

注意:肩を無理やり下げようとすると余計に弓を引けなくなる

ただ、注意しなければいけないことがあります。打ち起こしのような腕が上方向にあがっている状態で無理やり肩を下げようとすると、腕と肩関節が強くはまりすぎてしまい、肩関節の柔軟な回転機能が低下してしまうことです。

ひどく肩があがっている場合、肩を下げさせるのは一つの方法かもしれません、しかし、少し肩が上がった程度でさらに下げさせようとすると、地球上の重力に加え、肩を下げる力が強くかかりすぎてしまいます。すると、肺が上部から腕関節の重みによって、圧迫されます。これによって、腕を動かす際に関係する筋肉や神経が圧迫され、肩関節が自由に動きにくくなってしまうのです。

実際に行うとわかりますが、肩を上げた状態から下げてみてください。すると、肩関節がガチりとはまった感覚があります。この状態のまま安定しているように思いますが、大三、引き分けに入ると、肩関節の緊張が大きくなります。特に胸周りの筋肉や肩甲骨の間の筋肉に張りを感じられると思います。

こういう場合があるので、指導者はむやみに肩が上がっているからといって、注意しすぎないようにしてください!打起しでの肩の上がりは、上がる原因をしっかり調べて、慣れてきたら下がってきます。それまでは肩が上がっても細かく指摘はせずに見守るようにしましょう。

以上の内容を理解することで、適切に弓を上方にあげることができます。準備を大切にし、肩と腕をリラックスさせてのびのび弓をあげていきましょう。

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