昔の弓は当て射が流行っていた。

昔と今の弓道本を読んでいると、射法の説明の仕方から違っています。中には昔の弓道の歴史の話を書いてあるものもあり、内容を見ると、弓に対する考え方も変わってきています。

現代の弓道教本に乗っている射の目標、考え方は「自然体」であることを目標にしています。

射の眼目は、自然の理を動作の上に表現することである。故に自然を無視して射は成り立たない。したがって体の構えも、動作も合理的な運びでなくてはならない。~弓道教本、射を行う態度59ページより~

昔は弓道ではなく、「弓術」と名付けられており、礼や作法よりも当てることを中心に弓を考えられてきました。射法八節でも、今と昔では教え方が違っていまう。

例えば、足踏みだと
現代の足踏みは足の開き、角度というのはだいたいこのくらいの広さ、角度が良いというのは決められています。(だいたい60度くらい)そして、その足踏みの状態から半歩右足を前に出したり、後ろに引いたりということはできませんでした。

しかし、これが昔の射法になると、その日の矢の飛ぶ方向によって足踏みを少し変えていたりしていたようです。矢が前に飛んだら、右足を少し前に踏んで、後ろに飛んだら、右足を後ろに踏んでねらい目を変えていたそうです。

現代は自然体の体構えを目指しているので、このように体が歪むようなことはしません。しかし、当時は体の歪みより的中の方が先行していたことがわかります。

その他、離れも今と昔では違っていました。
現代の離れは「大離れ」で離れることを強調しています。なので、左右対称に伸びることをし、離れたときにきれいな十文字になるように離れます。

しかし、昔的中重視だったころの弓はひきわけのときに妻手肩をすくめ(縮めて)、右上腕を堅めるので、伸びるのは弓手の押し伸ばししかありませんでした。

なので、昔は弓手を伸ばせ、押せ、押せっとこの押し伸ばしによって矢の線に張りを持たせ、同時に懸けをほどいて弦を抜ける離れを「軽い離れ」と言っていました。

これは当たりも強かったのですが、離れは今日言われている小離れよりなお小さく、弽の帽子が耳たぼに向けていたようです。これが残身になっていたようです。今だと親指は的と反対側に向いています。

昔の弓術と現代の弓道とは、目的が変わったように射形、射法も全然変わってきています。

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