「会で息が止まってしまう」「引分けで呼吸が苦しくなる」…こんな経験はありませんか?
実は、弓道を1年以上続けている方の7〜8割が
弓構えの時にある動作を行ってすでに射型を悪くする元を作っています。
これは7-8割くらいの人がこの身体の使い方をしています。無意識にしているのですが、それのせいで肩や腕の筋肉が力んでいます。
その身体使いを解剖学的な視点から詳しく解説していきます。
結論:物見動作があなたの気道を潰している
先に結論をお伝えします。
★ 顔向けです
顔向け動作ですでにあなたの肩や腕は詰まりかけています
なぜなら、物見動作で呼吸が詰まっている可能性が非常に高いのです。
ほとんどの人は弓構えの時に何も意識せず物見をしていると思います。
しかし、それでは問題で、顔向けよりも姿勢の観察が大切になります。
つまり、物見で首を的方向に向けた瞬間に気道が締め付けられていると、その後どれだけ正しい技術を身につけようとしても、根本的な問題が解決されないまま弓を引くことになります。
自分の気道が潰れているかチェックする方法
まず、自分が物見で気道を潰しているかどうかを確認してみましょう。
まじ、足踏みをして正面を向いた状態で、深呼吸をしてみてください。
「はぁー、はぁー」と楽に呼吸ができますよね。
次に、弓構えの形を取ります。弦を取り、弓を取り。この状態でも、まだ呼吸は楽にできるはずです。
では、そこから物見を入れて、首を的方向に向けてください。その状態で深呼吸をしてみてください。
★ ここで息がしづらい、吐く量が少なくなったら、あなたは物見で気道を潰しています。
この状態で弓を引くとどうなるか。弓の圧力がかかった瞬間、さらに呼吸は苦しくなります。
会で息が止まってしまう人、吐けなくなる人の多くは、この物見での気道の詰まりが原因なのです。
なぜ物見で気道が詰まるのか?解剖学的メカニズム
では、なぜ首を的方向に向けるだけで気道が詰まってしまうのでしょうか。
それは「肩で胸を開く」か「胸で胸を開く」かです。
肩で胸を開いている人は物見で呼吸は浅くなりません。胸で胸を開く人は浅くなります。
これには胸郭と頸椎の連動が関係しています。
多くの方は、物見を入れる際に「胸で胸を開く」という動作をしてしまっています。これは、胸の前面の筋肉(大胸筋や小胸筋)を使って胸を張り、その延長で首を回すという動きです。
この動作をすると、胸郭が前上方に持ち上がり、それに連動して顎が上がります。顎が上がると頸椎が過伸展し、喉の前面が伸びて気道が圧迫されるのです。
★ 胸で胸を開くと、逆に胸がきつくなり、気道が締め付けられます。
これは、胸を張ろうとする意識が強すぎることで起こります。「良い姿勢を取ろう」「堂々と構えよう」という意識が、かえって呼吸を妨げる原因になっているのです。
正しい方法:「肩で胸を開く」という感覚
では、どうすれば気道を確保したまま物見を入れられるのか。★ 答えは「肩で胸を開く」ことです。
「肩で胸を開く」とは、背中側の筋肉(広背筋や菱形筋)を使って肩を後ろに引き、その結果として胸の筋肉が開くという動きです。具体的には、肘を後ろに引くようにして脇の下の筋肉を緩め、胸郭にスペースを作ります。
この動作のポイントは、胸の筋肉は絶対に使わないということです。胸の筋肉を使って腕の位置を変えずに胸だけを動かすのが「胸で胸を開く」動き。一方、肘を後ろに引いて結果的に胸が開くのが「肩で胸を開く」動きです。
肩で胸を開く具体的な手順
- 弓構えの形を取り、まず全身の力を抜く
- 息をゆっくり吐きながら、脇の下の筋肉を緩める
- 肘を後ろに引くようにして、胸の筋肉が開く感覚を作る
- 胸郭にスペースができた状態を維持したまま物見を入れる
- この状態で深呼吸をして、楽に呼吸ができることを確認する
この状態で物見を入れると、先ほどよりも呼吸がしやすくなっているはずです。気道が確保されているため、会で息を止めても体に無理な力が入りません。
喋りながら弓を引く練習の効果
私は稽古の際、「喋りながら弓を引けるようになりなさい」とアドバイスすることがあります。
もちろん、道場で弓を引きながら喋ることは安全面から控えるべき場合もあります。しかし、巻藁練習や気心の知れた仲間との稽古では、喋りながら弓を引くことが非常に効果的なのです。
なぜなら、喋ることで喉や首周りの筋肉の力が抜けるからです。口を閉じて気道が狭くなった状態で弓を引くと、体に力が入り、そこから抜くことが困難になります。
★ 口を閉じること以上に大事なのは、気道が確保されていることです。
口を閉じて弓を引くことが有効になるのは、気道が完全に確保されて楽な状態にある場合に限ります。
禅の弓道では、息を吐き切って止まっている状態を数秒キープしてから離すという方法がありますが、これは息を止めることで体の中心に意識を向けるためです。手先や肩ではなく、体の中心への意識、伸び続けようという気持ちに集中するための方法なのです。
禅の呼吸。止めても大丈夫な状態にする
禅における弓道の考え方では、
呼吸を整えるのではありません。
姿勢を整えると自然と呼吸も整う
だから、最初に姿勢の状態を観察しないといけません。簡単に姿勢と呼吸を整っているか確かめる方法が息を止めることです。
胸の筋肉を広げ、足を広げて、息を吐いた状態で止めてみてください。この状態なら、何秒止めていても苦しくならないはずです。
しかし、物見を入れて気道が狭くなった状態で息を止めると、喉の筋肉や肩の筋肉に力が入り、体全体が緊張してしまいます。
この状態では、いくら「リラックスしろ」と言われても無理なのです。
★ 姿勢が整っているから呼吸も整う。この順番を間違えてはいけません。
気道を確保するための稽古法
日々の稽古で気道を確保する感覚を身につけるための練習方法をご紹介します。
1. 呼吸チェック練習
- 足踏み・胴造りの状態で深呼吸し、楽に呼吸できることを確認
- 弓構えの形を取り、同様に深呼吸
- 物見を入れて深呼吸し、呼吸のしやすさを比較
- 呼吸が苦しければ、肩で胸を開く意識を入れて再度チェック
2. 肘引き練習
- 弓を持たない状態で弓構えの形を取る
- 脇の下の筋肉を緩め、肘を後ろに引く感覚を繰り返す
- 胸の筋肉が開く感覚を体に覚えさせる
- この感覚を維持したまま物見を入れる練習を繰り返す
3. 喋りながら引く練習(巻藁・安全な環境で)
- 引分けから会まで、何か言葉を発しながら弓を引く
- 喋れなくなる箇所があれば、そこで気道が詰まっている
- 声が出続ける状態を維持できるよう、体の使い方を調整する
まとめ:気道の確保が全ての基礎
今回お伝えした内容をまとめます。
弓道において、7〜8割の方が物見動作で無意識に気道を潰してしまっています。これは「胸で胸を開く」という間違った動作が原因です。正しくは「肩で胸を開く」こと。肘を後ろに引き、脇の下の筋肉を緩めることで胸郭にスペースを作り、気道を確保した状態で物見を入れることが重要です。
★ 姿勢が整うから呼吸も整う。この順番を忘れないでください。
気道が確保されていれば、会で息を止めても体に無理な力は入りません。体の中心に意識を向け、伸び続ける感覚を維持したまま離れを迎えることができます。
今日から弓構えの際に、自分の呼吸をチェックしてみてください。物見を入れた状態で楽に深呼吸ができるか。できなければ、肩で胸を開く意識を取り入れてみてください。この小さな変化が、あなたの射を大きく変える第一歩になるはずです。






