離れから残身に至り、2,3秒静止します。この間に心が動揺してしまうと射で行っている最中に無駄な動きが出てしまいます。ここでは、残身で心がぶれないようにするために、さらに細かい体の部位の動きや整え方を解説していきます。
目の位置は会と、執り弓の姿勢のときとあまり変えないようにする
離れた後の残身の状態で、目がキョロキョロしてしまう人がいます。眼の位置がぶれてしまうと気持ちがぶれているように見えてしまいます。そのため、目線で残身のときの自分の心の状態を見る目線や動きを見ます。
なので、残身のときの目線は会、離れのときと変わりません。しっかりと的に集中している状態を保ちます。矢色や狙いを確認するために「矢」に目を注ぐのも一つの方法といえます。
残身のとき目づかいはそのままで、会、離れのときと変わらない。弓倒しは腕全体で静かに倒し、物見を返し、顎をまっすぐにしては目は3,4メートル位先に注ぐのである。~千葉範士~
離れた後、自分の状態を確認する
残身から弓倒しに入る間に少し間が空きます。ここで射を行っていたときの気持ちの高ぶりを抑えるイメージで、自分の体の状態、感じを自分で確認します。
これにより、自分の残身の形を確認することができます。拳が上下にぶれていないか、左右に振れすぎていないかといった不正を理解することができます。そうしたことで次の射に活かす気づきを得ることができます。
また、体の状態の確認をすることで自然と間ができます。「動作には間が大切である」と、弓道の基本動作の中の教えにありますが、ひとつひとつの動作を確実に行うことができ、心に落ち着き、まとまりが出てきます。その心の落ち着きが最後まで一貫して保たれているのかを残身のときに確認します。
形の上ばかりではなく、内面的な「残身」が大切である。形の上に心が残されていなければならない。
矢所を見定めるばかりではなく、残身の収まりを見極めることが必要で自分に立ち返って心で自分の体を調べるのである。~宇野範士~
2、3秒残身の間に平静の息合いで整える
離れた後に離れの余韻、心の状態を確認し、2、3秒保たれます。そして、そのあと、吐く息と同時弓倒しを行います。
残身という状態が射の動作に含まれていることを意味し、会や離れのときと同じく、残身にも緊張や調和を保った状態がなければいけません。したがって、息合いは会と離れの状態と変えずに、弓倒しで普通の呼吸に戻します。
残身から弓倒しをして初めて呼気が生じ、一矢を射終わったことになるので、このとき初めて呼吸運動は正常の状態に復するのである。~高木範士~
残身の形としては心気はなお緊張を保っていなければいけない。残身で最後の2秒までは気息を持続するが、それから息を抜き、普通の呼吸に戻り、弓倒しを行うのである。~浦上範士~
拳の位置だけではなく、目の位置、呼吸のしかた、意識の確認を行うことで、残身の形も心もキレイに整います。