早気の次に直すのが難しい、「後ろ狙い」の直し方

弓道の射癖で直しにくいと言われている3つの射癖が

緩み離れ、早気、後ろ狙いがあります。

緩み離れは、当サイトの記事でも「一番なってはいけない離れ」と解説しています。直しにくい上に、弓道の実力の低下が起こりやすい。次に、早気は体が無意識に矢を離してしまう精神的な問題があるから難しいです。

しかし、その早気の次に直しにくい射癖として「後ろ狙い」があります。この射癖は私もなったことがあり、直すのに非常に苦労しました。この射癖の具体的な直し方について解説していきます。

なぜ、後ろになってしまうのか

まず、弓道では綺麗な姿勢と維持して左右対称に弓を引くためには、

左右の拳を均等に動かして、引き分けていく

必要があります。しかし、後ろ狙いとは、左手の方が先に、右手より降りてしまって、矢先が後ろに向いたまま弓を引いてしまい、会でもその状態になってしまう射癖です。

ざっくり言うと、左肩がちょっと後ろに引けている状態の射です。

この射癖がついてしまうと、矢が真っ直ぐに飛ばない、左肩を痛める、左肩で押せないといった問題が起こります。それでいて、自分でこの癖になっているのがわかりにくいです。

そのため、直すのが非常に難しいです。

なぜ、この射癖にかかりやすいかを一つずつ解説します。大部分の人が大三で広くとって、上押しをかけようとするからです。

よく、弓道の指導では、大三で上押しをかけて、広くとるように教えられます。このこと自体は悪くないのですが、この言葉を真に受けると、左手を的の線上ではなく、後ろにつけてしまうがちです。

今から徒手で大三をとってください。普通に狭めに大三をとって、次に「広め」に大三をとります。すると、左腕を伸ばす時に、「斜め上方」ではなく、的方向に伸ばしたくなりませんか?

このように、大三をとる時に、左手を的にいきなり向けてしまうと、狙いが後ろになりやすいです。

なぜ、こうしてしまうか?こうした方が次の引き分け動作で手の内が崩れず楽だからです。大部分の人が、大三で手の内の形を崩さないように意識します。なぜなら、上押しの大三は左手に非常に負担がかかり、手の内の形が崩れやすいからです。

そこで、左手の形を崩さない方法として、左腕を「斜め」ではなく、的方向に伸ばして、矢先を後ろ方向に向けます。こうすると、上押しの左手であっても左手の負担が少ないです。加えて、上押しの広い大三を作りやすいです。

加えて、日本弓道連盟の射法はこの「少しだけ後ろ狙いになる」ような大三の取り方を推奨しています。このことも後ろ狙いが直らずに、弓を引けなくなってしまう理由にあります。

日本弓道連盟の射法図説を見ると、大三の図が「左肩が後ろに引けている」図になっています。これが、私が稽古会でよく言う連盟の矛盾点です。

連盟は三重十文字が大切と言っておきながら、自分の教本の図説は三重十文字になっていない。と

このように、左肩を少し後ろに引くと、確かに大三で上押しをかけて、左腕を伸ばした大三はとりやすいです。しかし、射法は、構えるところから、引くところまで全て連続して、繋がりがあるものと捉えなければいけません。

したがって、少しだけ左肩を後ろに引いて、後ろ狙いにした射型の場合、「大三」の形だけよくなって、次の引き分け動作で怪我したり、余計な力が入ってしまう可能性があります。

全ての人がこの原因で上押しにかかる訳ではありません。しかし、大部分の後ろ狙いになる人は、左腕を突っ張って上押しになってしまっています。

なので、この問題を解消するのが一番早いです。

左手は斜め上方に、手の内はいきなり決めず

この二つの問題を解消する方法について解説します。

・大三での左手の押し方→的方向に押すのではなく、左斜め上方に押すように意識してください

・手の内→大三で形をピタッと決めないようにしてください

この二つを意識することで、左手が後ろに動きすぎる問題は解消できます。

まず、左手の押しかたを変えましょう。左斜め上方に弓を押すように意識してください。大三をとる時に、的方向に左手を向けないでください。大三で人差し指と親指の間の股を的方向に向けないでください。ここ、いきなり向けたら後ろ狙いになります。

少しだけ、左手のうちを控え気味にするような意識です。次に、人差し指と親指の間を斜め上方に伸ばす意識です。

このようにすると、左手が的より後ろにいき、左肩が後ろに引けるのを防げます。

そして、手の内も大切です。大三に入る時に、手の内の形を決めようとしないでください。ここで決めてしまうと左腕に力が入ってしまい、弓を的よりも後ろに動かしたくなります。

まとめ

・後ろ狙いの原因は、上押しをかけることを意識して、左肩を後ろに引いてしまうのが原因

・左拳は的方向におすのではなく、斜め上方に押すことを意識しよう

・手の内は形を決めないようにする、特に中指と親指の間を開けるようにする

これらの内容を考慮して、後ろ狙いを改善するようにしましょう。

 

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