胴造:胴造りにおける「3つの部位」が動くと射型が崩れる理由

 

弓道において正しい射型を維持するためには、胴造りを意識することが不可欠です。しかし、多くの人が「どの部位を安定させるべきか」に気づかず、技術的な修正ばかりを試みています。今回は、胴造りにおいて「動かしてはいけない3つの部位」について解説します。

1. HowとWhatの問題

弓道の技術を考えるとき、多くの人は「Howの問題」と「Whatの問題」を混同しがちです。「Howの問題」は技術的な部分、つまり「どうやったら左手が良くなるのか」「どうやったら強く押せるのか」といった技術面の話です。しかし、弓道において本当に注目すべきなのは「Whatの問題」、つまり「何が正しい形なのか」を理解することです。

この考え方は、昭和11年の『武禅』という雑誌に掲載された梅地見鸞先生の文献にも記されており、弓道における本質的なポイントとして語られています。Howの問題は上半身や腕の動作に関わるものですが、Whatの問題は体幹や下半身の安定に関わるものであり、こちらに目を向けることが正しい射型を作る上で不可欠です。

2. 正しい射型を作るために動かしてはいけない3つの部位

正しい射型を維持するためには、次の3つの部位が動かないことが重要です。

この3つの部位が安定することで、弓道の射型が整い、的中率が向上します。

3. 頭が動いてはいけない理由

頭が動いてしまうと、重心が上下にブレてしまい、安定した射型を維持することが難しくなります。歩行時に頭がバウンドするような動きをしていると、射の際にも重心が安定せず、正しいフォームを作ることができません。

例えば、胸の筋肉を開き、背筋を整えた状態で歩くと、重心が安定し、ふらつくことなくスムーズに動けます。しかし、姿勢が崩れ、頭の位置がバウンドしてしまうと、歩行時に重心が上がり、弓を引く際にも不安定になってしまいます。

また、重心が上がった状態で足踏みをすると、ふくらはぎの筋肉に過度な負担がかかり、姿勢を維持するのが難しくなります。このため、頭の位置を安定させることが重要なのです。

4. 肩が動いてはいけない理由

肩が動いてしまうと、上半身のバランスが崩れ、引き分け時に無駄な力みが生じます。特に、片方の肩が下がり、もう片方が上がるというクセがある場合、射型が不安定になりやすくなります。

この肩の動きは、胸の筋肉の左右のバランスの崩れが原因です。例えば、肝臓が右側にあるため、自然と右肩が下がり、左肩が上がる傾向があります。この状態で弓を引くと、さらに左肩が上がりやすくなり、射型が崩れてしまいます。

弓道では、右肩と左肩の高さを均等に保ち、体幹を安定させることが重要です。肩が動かないようにすることで、射型が安定し、的中率も向上します。

5. 腕が動いてはいけない理由

歩行時に腕が過剰に動くと、上半身のバランスが乱れ、射型が崩れやすくなります。特に、肩が前方に出てしまうと、腕が大きく振れてしまい、安定した射ができません。

腕が動いてしまう主な原因は、胸の開きが不足していることです。胸が閉じた状態では肩が前に出てしまい、腕が過剰に動くことで射型が崩れます。

また、腕が動くことで無駄な力みが生じ、弓を引く際に不必要な力が入ってしまいます。このため、腕の力を抜き、自然な位置で安定させることが大切です。

6. 正しい射型を作るためには

ここまでの内容をまとめると、正しい射型を作るためには、次のポイントを意識することが重要です。

  • 頭を動かさない → 重心を安定させる
  • 肩を動かさない → 胸を開いてバランスを取る
  • 腕を動かさない → 力みをなくし、自然な形を維持する

これらのポイントを意識することで、弓道の射型が安定し、より高い的中率を得ることができます。

まとめ

弓道において正しい射型を作るためには、How(技術面)の問題ではなく、What(根本的な体の使い方)の視点を持つことが重要です。そして、「頭・肩・腕」が動かないことが、安定した射型を維持するための鍵となります。

日々の練習において、これら3つの部位を安定させることを意識しながら取り組んでみてください。そうすることで、より理想的な射型を身につけることができるでしょう。

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