正しい弓道教本:引分教本二巻

では、教本二巻の引き分けの解説に入ります。

今回も同様に、まどろっこし言い回しは全て無視して解説に入ります。

教本には、縦の線が伸びるように横方向に伸びると記されています。

これが訳がわからん。みんな口では言うものの、何も説得力が出ません。

では、どのように引くのかを解説していきます。

◼️引き分けはいないいないばあで楽に強く弓を引ける

いないいないばあの動きを使えば、引き分けは楽に弓を引けるようになり、教本の文章もほぼ全て理解できます。

まず、掌を自分の顔に向けてください。次に、両拳で小指側の面を当ててください。お互い両肘を近づけるようにします。

次に、その状態で両腕を上に上げていきます。

この状態で、両肘が目線の高さくらいにくると、両腕がきつくなると思います。

両腕をパカっと開くように、両腕を外側に開いてください。

これで、OKです。実際の弓をもつ動作に応用していきましょう。

まず、打起こしで両腕をそれぞれ「時計回り」に回してください。

左腕の場合、半時計周りになりますね。そして、両肘をパカっと開くように外側に開きます。

これで、左手を押していきましょう。左肘が外に自然に開くので、楽に左手を的方向に押して行けますね。

さらに、右肘が外に開くので、右手が自然と弦に引かれますね。これで大三完了です。

この両腕を動きを覚えれば、弓を楽に引けるようになります。では、この動きがなぜ楽なのかをさらに詳しく解説していきます。

■両腕を外側に回すと、大三取りやすくなる

この動きのメリットは大三で肩の力みを減らすことができることです。

大三で両肩が力んでしまう理由は、打起こしで両腕を内側に旋回させるからです。

腕を内側に回して腕を上げてみてください。目通りの高さに拳がきたら肩がちょっときつくうなりますよね。

そこで大三をとると、右肩がきつくなります。大三をとった時に、右拳が引かれますね。それを支えようとして右肩周りの筋肉により力みが出ます。

これを解消するのがいないいないばあの大三の取り方です。

打起こしで両腕を近づけるように外側に回してください。この状態で大三をとると、右拳と右肘が高く上がっても右肩に力みが少ないです。

腕を外側に回した状態で大三をとると、腕、肩が楽です。これがいないいないばぁの大三の良いところです。

では、両腕を内側に回した状態で大三とは、どのような状況を想定できるでしょうか。例えば、

・弓構えで両肘を円相のように囲む

これをやるためには、弓構えで両肘をまるく囲むように動かす必要があります。これを行うと、弓構えでは両腕は楽ですが、打起こしで両肩がきつくなります。

・弓構えで両肘を張る

これもだめです。肘をはると、両腕が内旋してしまうため、大三で肩が力みます。

・両腕を伸ばして遠く高く打起こしをする

これでも両肩の力みは出てしまいます。拳と身体の距離が遠すぎると、姿勢が猫背になりやすく、肩が縮むからです。

であるため、弓構えでは、両腕を外側に回しておいた方が良いです。つまり、

両腕をより合わせる

これを行えば両腕に力みなく弓構えが取れます。この構えでも十分に。「円形」に囲んで弓構えができます。ですので、この方法で弓構え、打起こしを行うようにしましょう。

そして、両腕をより合わせて、いないいないばあで引き分けをする。これで、適切な引き分けが完成です。

このいないいないばあの打起こしは、

■背筋を伸ばしながら引き分け動作に移れる

ことがメリットです。

打起こし動作でいったん両腕を止めて、横方向に動かすと、どうしても腕の付け根がの筋肉に負担がかかります。

しかし、両腕を上に上げながらパカっと外側に開くと、両腕を上に伸ばしながら、斜め方向に自然と伸び、左右の方向に伸ばされていきます。

そのため、背筋を伸ばしながら引き分け動作に入れる。加えて、動きに無駄が少ないです。

ですので、姿勢のぶれや無駄な動きに夜両腕の力みを減らすことができます。

さぁ、このいないいないばあの動きによって、「両肘は真横に動かす」ことはわかりました。次に、左右の拳の動きを細かく見ていきます。

まず、左腕、いないいないばあで左肘を横に動かしながら、左拳は

■軽く左拳を内側に回すと簡単に手の内が入る

ことがわかります。

まず、左手を内側にまわしてください。

そして、いないいないばあのように、左肘を真横に動かしてください。この左肘が動いている最中に左拳を内側に回してください。

すると、左手を弓に回していく運動になりますよね。これで引き分けで「左手を回す」動きは完成します。

大三の取り方でもっとも左腕に力みが入るのが「左腕を伸ばした状態で、左手首だけ回す」ことです。

打起こしで左拳を止めて、それをクイッと真横に回そうとすると、左手首にすごく力が入りますよね。

しかし、左肘を横に回している最中に、左拳を内側に回すと、左手首が楽に回って、かつ左腕を伸ばせます。

なぜなら、左肘を横に回している最中に左拳を回すと、「遠心力」が左拳に加わるからです。

左肘が自然に外に開かれることで、左手自体は的方向に押しやすくなります。

それだけでなく、左前腕が的方向に向かって開く力が加わります。これが遠心力です。

この二つの力によって、自然と左腕が弓の中に入るように動きます。

次に、右手です。右腕はシンプルです。いないいないばあで右肘を横に動かすだけす。

すると、上記のように左手が押されると

・弦に引かれて右手が的方向に動く

・それによって、右肘が勝手に上に吊り上がる

これだけです。

こうして、左右の肘を外に開くように動かすと。

・左拳は内側に回す→左腕全体が自然と伸ばされる

・右拳はほったらかしにする→自然と右腕が曲がった状態になる

ようになります。これによって、左右の拳の力みがほとんどない状態で大三が取れます。

さらに、いないいないばあで引き分けを行うと

■弓が軽くなって弓を押しやすくなる

ことがわかります。

どういうことか詳しく解説します。

いないいないばぁの引き分けをすると、両肘が少し上に上がりますよね。これで、弓が少し上に上がります。

すると、弓にかかっていた重力がゼロになります。

ものを動かす時、重力がかかっている状態で動かすのと、宙に浮いている状態で動かすのでは、「浮いている状態」の時に動かす方が楽です。重い物体ほど動かすのが難しいからです。

これは、弓でも同様です。弓は上に動いている最中に左拳を動かすのが、大三を楽にとるコツです。

打起こしで、弓を停止させてから手を動かすと、弓を動かすためにエネルギーを使います。ここで無駄なエネルギーを使うと左手首に余計な力みが出てしまいます。

しかし、両腕で弓を浮かしてから左手を動かすと、左手もう動かしやすく弓も開きやすくなります。

しかし、いないいない場合のように、

まず、弓構えでお話した両腕をより合わせてください。

次に打起こしで腕を上方に上げていきます。最後にパカっと両腕を開きます。

こうすると、大三を取りながら、左右の肘が外側に開かれるため。

大三によって、両肩が開かれる

ようになります。

そうすると、

・左肩が伸ばされて、ジワジワと左手に圧力がかかるようになります

急に、弓の反発がガチッと来るような感覚ではなく、徐々に弓の圧力が加わるようになりますね。

・左肩が伸びて、大三を楽に静止できる

左肩が楽に伸びますので、静かに動作がとまりますね。反対に、左右の肩を内側に巻くようにとると、ガチっと肩の筋肉がとまります。

ので、左右の肩を自分から内側にまかないでください。自分で筋力を力ませて、大三を止めると、次の引き分けで弓を引けません。

反対に、左肩が伸びるように動かすと、自然に弓の動きがとまります。これが、「楽に強くおせる大三」です。

・呼吸も楽になる

左右の肩がそれぞれ伸ばされ、胸周りの筋肉も伸ばされますね。胸が開くと肺が動きやすくなるため、呼吸が楽になります。

このように、大三の適切な取り方をまとめると

・いないいないばあで左右の肘を外側に回す

・左手は左肘が的方向に動くことで、一緒に的方向に動かされる

・左手が押されることで、右手が的方向に引かれる

・右肘は外に動いているため、自然に吊り上がるように動く

・両肘が斜め上方に動くため、背筋が自然に伸びる

・両肘が斜め上方に動き、弓が浮くため、左手が押しやすくなる

・左右の肩も一緒に伸ばされるため、自然に大三動作が静止し、ジワジワ左手に力がかかっていき、胸が開いて呼吸がしやすくなる

ようになります。

この大三動作を積極的に行いましょう。どんどん弓を引けるようになります。

では、この弓の引き方は私のオリジナルでしょうか?ちがいます。全て弓道教本の範士の先生が解説されています。

ほぼ全ての先生の文章の言葉がこの動きに集約されています。ですので、真似していきましょう!

千葉範士:「引き分け」にかかる時は、善悪に囚われず、その時の状態でベストを尽くす・・・・何時引き分け初めたか分からぬように上に伸びる力が左右に移行するのであるp114

上に伸びる力が左右に伸びるためにはいないいないばぁの引き分けをすればいいんじゃないの?いないいないばぁで両腕を外側に広げれば、肘が斜め上に上がっていきます。

ですので、両腕の動きが真上→斜め→横と上に伸びる力が左右に広がっていきます。

千葉範士:形の上では止まっていても、内面の力はどこまでも伸びていかなければならないp114

どこまでも伸びていくためには、いないいないばぁをする必要がありますね。両肘を外側に伸ばすと、両肩も左右に伸ばされ、腕の付け根から左右の方向に伸びていきます。

千葉範士:引き取りはげに大鳥の羽をのして、雲井をくだる心得ぞ良き(小笠原教歌)

と詠んで、いかにもおおらかに伸び伸びとした動作を理想として讃えている。

引き分中に伸び伸びとしたければ、いないいないばぁをやるしかないですね。両肘を外に広げていきましょう。

神永範士:これか弾力体の弓を動かすのであるから、身体も弾力体を保つことが肝要で

そのためには、いないいないバァをする必要がありますよね。打起こしを入る前に両腕を外側に回しておけば、肩が下がって身体の柔軟性が保たれます。

神永範士:中力の時、前膊が硬直せず柔軟にし。

腕を柔らかくしなさいといってます。であれば、上腕から筋肉を緩める必要があります。やはり、いないいないバァをやるために両腕を外側に回して筋肉を緩めてください。

神永範士:弓懐の心持ちを失わないように心がける

弓構えでは、「両腕をより合わせましょう」と言いましたね。両腕を外側に回して後ろ下に落とすようにと、それを引分の時も同様に行うので、いないいないばぁをしてください。

神永範士:この時、弦と左腕とは約35度くらいの角度をなし、

え?引き分の時に、弦と左腕の間の角度って小さくなるんすか?

じゃあこれ、いないいないばぁをやって両肘を外側に広げるしかないですよね。

なぜなら、いないいないバァをすると、肘が吊り上がるからです。

打起こしでは、腕と弦の角度は45度でしたよね?

弦と左腕の角度が35度になるためには、弓と身体の距離が近づかないといけません。

そのためには、いないいないバァを行って、肘を動かしながら大三をとってください。肘が自然と身体に近づきます。これによって、弦と左腕の距離が近くなります。

ちなみに、爪先に体重を乗せて胸は前方に出さないようにしてください。そうしてしまうと、かえって胸部を圧迫させてしまい、上半身に力が入ってしまいます。

神永範士:大三の時、左腕はまっすぐに伸びて入るが肘をカチッとはめないで例えば豆一粒位の柔らかさを保持し、

いないいないばあやれば、左腕は伸びきらないですね。肘を先に開いてから左手を動かすようにしてください。すると、左腕はそこまで伸びきらないです。

神永範士:大三の時に、左手の位置は左足踏みの向きの上に揃えるが良い。また右手も肘までは右足踏の上に揃えるようにする。

はい、いないいないばあで両肘を外側に開きながら、弓を押してください。両腕の向きが足踏みの向きに揃うようになります。

ちなみに、足踏みのむきは60度でありませんから、気をつけてくださいね。神永範士は足踏みの角度は90度と解説されていますので、勘違いしないでください。

60度の足踏みの向きでそれぞれの上腕を合わせてしまうと、猫背姿勢になりやすいので、やらないようにしてください。

高木範士:「正面打起こし」からその平面内で左手を的の方に押し回し、右手肘から先を弦に引かれるままに左手につけてやる気持ちで

この文章にある平面内とは、肩から口にかけての結んだ線でできる平面のことです。

しかし、この文章は読み間違えないでください。高木範士の解説されている平面内とは「正常姿勢」の時の平面内です。

つまり、肩から口にかけての線の角度がめっちゃ高いです。よくみたら神永範士の解説されている「肘から弓の角度が35度」の大三と非常に似ています。

弓道教本では、この文章は「正常姿勢から少し前屈みにした姿勢」の前提で解説されています。この通りに読むと、肩から口にかけての平面内に体をおくと、肩が窮屈になります。

ですので、必ず原文から読んでください。原文から切り取られて意味が変わってしまった文を読んでも意味がありません。

高木範士:右肘で弦の働きを受け止める

これはいないいないばあで右肘を外側に動かさないと無理ですね。

いないいないバァをする時、右肘が外側に開くと、右拳が自然と的方向に動かされます。これは、弦の引かれる方向と一致しますので、右手首が伸びます。

反対に、打ち起こしで両肘を外側に回さず、内側にひねってしまうと、右腕に力が入ってしまいます。

高木範士:矢が足踏みの線で平行で水平になるようにし、矢束の約半分を押し分ける

ちなみに、「矢束の約半分」の考え方を間違える可能性がありますので、気をつけてください。

キーワードは「大三を広めにとると、矢束半分引き分けたことになる」です。

多くの方は、矢束の半分と言われると、90センチ矢束の場合、45センチ開くことと考えます。

とすると、大三での弓と弦の間隔は45センチにしようとします。しかし、これでは短すぎます。

すでに、弓構えの段階で「弓弝」として、15センチ程度開いています。すると、引けてない矢束は75センチになるため、その半分は、37センチ程度になります。

そうすると、大三で、弓と弦の間の感覚は、52センチになります。すると、少し左腕を伸ばし気味の状態で、均一に力がかかっている(引けてない部分の矢束が半分程度)ことになります。

ここを勘違いしてはいけません。連盟の指導者の中には、矢束の半分を「弓弝」も合わせて半分と考えている人がいます。そうすると、矢の長さは半分であっても力のかかり方は均一になってるわけではありません。

実際に、高木範士の射をみてみると、弓弝を抜いた状態で見ると、「矢の長さ半分引けている」と分かります。

高木範士:胴造の規矩が崩れるように、胸が張らないようにすること、

いないいないバァの動きで両腕を外側に開きましょう。

次に手の内です。手の内は

・左肘を先に動かして、弓を的方向に動かす

・弓が動いている最中に左手を動かす

・左手で弓を押していく

このように、いきなり左手首を回すのではなく、左肘から動かして、あとから左手を押していくようにすると。

左手に徐々に圧力がかかる。

これによって、左手を徐々に押していく感覚を得られると思います。このことを頭に入れて、次に引き分けにおける手の内の使い方について文章を引用していきます。

千葉範士:90度転廻しながら、手の内が定まるようにする。まず第一に中指以下の三指の爪揃いに注意する。

この文章のとおりになるためには、いないいないばあで左肘から弓を動かしていく必要があります。

???なんで急にそんなことわかるの?指の揃え方の説明じゃん。って多くの人は思うかもしれません。

違います。千葉範士は弓構えの時にも「三指を揃えましょう(P93)」でお話していました。つまり、弓構えで構築した手の内の形を崩さないようにしてくださいと解説しています。

そのためには、大三で左手首から回してはいけません。そうすると、左手に負担がかかってしまい、中指以下の三指の位置がずれてきてしまうからです。

この内容を実践するためには、いないいないばぁで左腕を動かす必要があります。

千葉範士:爪先は反って弽帽子の上辺に当たるようにする。

いないいないバアの動きを行えば、この動きは実現できます。

打起こしで、右肘を外側に回して、大三で体の後ろを通るように右肘を外に開きます。

すると、右拳が自然と的の方向に動きます。このときに、弦に引かれると、親指が上に吊り上がるように引かれます。

これは、右手親指が自然と弦に引かれて起こる現象です。決して自分で親指を反らさないでください。余計な手首の力みを起こして、

神永範士:中指以下の三指の先が右側木に爪立になるように接し、

神永範士も弓構えでは、中指以下の三指が弓に接するようにしましょうと説いています。つまり、弓構えから引き分けから手の内までの構造は変えるなと言う意味になります。

なので、左手の構造を変えないようにしなければいけません。大三で左手からいきなり動かすのはやめましょう。左肘をまず動かして、そのあとに左手を動かすようにしてください。

そのためには、いないいないバァを行ってください。左肘を広げて、そのあと左手を動かすようにすれば、手の内の構造は変わりにくくなります。

その次に、

神永範士:握り革に吸い付くように締まってくる

ようになりますね。いないいないバァをして、左手から動かさずに大三をとれば、徐々に左手に圧力がかかるようになります。

高木範士:手の内は中指・薬指・小指の三指が一枚の柔らかなゴム板のようになって

これは、千葉範士、神永範士の文章にあった「弓構えから引き分けの間で三指の握り方の構造が変わらないようにしてね」と言っているような物ですね。はい、いないいないバァで握り方の構造崩さないようにしてください。

高木範士:手心に幾分丸みを持たせて握り革に吸い付くような気持ちで押し回す

いないいないバァで左肘から動かしてみましょう。神永範士の文章と同じで左手から徐々に力が加わるように弓を押せます。

高木範士:手のひらの皮が幾分よじられるようになる。このよじられ方があまり強いと、弓の働きを弱めたり握り出して弓の形を損したり

弓を握りすぎると、皮がよじられますよね。

つまり、左手を軽く握り、その状態を維持すれば皮がよじられないようになります。そのため、弓を軽く握っていないいないバァをして、左肘→左手の順に弓を動かしてください。それで、左手の皮はよじられないようになります。

高木範士:右肘から先は「弓構え」「打起こし」のときとは異なって、前膊の二骨(橈骨・尺骨)のなす平面がほぼ、水平に

これもいないいないバァで右肘を広げれば、こうなりますね。右肘を後ろに回そうとすると、右手が自然に的方向に動きます。これで、この動作も完了です。

神永範士:右肘を外に開くようにすれば、肘が後ろに引かれて

もういないいないバァの動きをそのまま説明していますね。いないいないバァで肘を正面からみて、斜め→横の順に伸ばしていき、脇正面から見れば、斜め後ろに動きます。

身体の芯は背骨を指します。背骨を伸ばすためには、腕を斜めに伸ばし、横方向に伸ばしていく

神永範士:右肘を外に開くようにすれば、肘が後ろに引かれて

もういないいないバァの動きをそのまま説明していますね。いないいないバァで肘を正面からみて、斜め→横の順に伸ばしていき、脇正面から見れば、斜め後ろに動きます。

神永範士:外弦から内弦かまたは中弦の、どれが自分の体格に合致するか調べて、自分の体格に適した弦道をとっておろしてくるのが良い。

参考に、尾州竹林弓術書の「目安」には、弦道について記載があります。左肩が前に出やすい人は、弦を近くとる。左肩が後ろに出やすい人は、弦道を遠く撮るのが良いと記されています。ご自身の射型に合わせて弓を引くようにしましょう。

この時に、右手の動きは、例えばともと舳の関係で、拳をとも、肘を舳とすれば、ともが外へ動けば舳は内へ動くのである。

これは、いないいないバァ、の動きを詳しく解説したものです。

右肘を外側に広げると、肘は外に開いて、右拳が頭から頭上に離れるように動きます。

さらに、右拳を頭から離すと、右拳が外側を回るように動きます。すると、右肘が外側に開きます。

こうして、右肘は肩の後ろに周り混むように動きます。

神永範士:弦の外側を外に張って弦枕で弦をおすように具合に外に働かせれば、肘は自然に内側(後方)へと働くのである。

高木範士:右手の取り懸けも堅く掴まぬようにしたり、右肘から先を或る程度の弾力を持たせて、一本に左手の働きに追従させるようにしたり、種種の心構えが必要である。

いないいないバァをすれば、右手も左手も力が入らずにすみます。

高木範士:この時の左右の関係を述べると

A:角見から二方向に働きは通じる。一方は角見→左肘の後ろ下・左上膊の後ろ側へ通じ、左肩・左脊柱から腰へ行き右足の裏へ納まる。

B:弽からも同様に、一方は弽→右肘の後ろ下、右上膊の後ろ側へ行き、右肩、右脊柱から腰へ通じて左足の裏へ納まる。

注意です。この文章の言いたい内容は、「左腕をより効果的に押すためには、脚で踏ん張る」ではありません。そのようにすると、背筋が縮んでしまって、全身を力ませるだけです。

この文章の言いたいことは、「腕を動かすためには、引いている時の姿勢が大切」と解いています。姿勢がまっすぐ伸び、引けている時は、肩や腰の力も加わって、より少ない力で弓を開けると説いています。

そのためには、いないいないバァで肩を開きながら、弓を開きましょう。肩と腰の位置が前にずれることなく、弓を押し開くことができます。

高木範士:左手を先導として、過不足なく幾分右手をかぶる気持ちで、左右に押し引き分けて

いないいないバァで左肘を開いてください。少し、弓を左にずらしてから左手を入れてください。そうすると、「左手先導」で弓を動かしていけます。

高木範士:体から余り遠くを通ったり、近すぎたりせぬように注意することが規矩をはずさぬために肝要である。

正常姿勢であれば、弦道は遠すぎず、近すぎずの位置になります。しかし、自分の射型を見て、左肩が前に動くようであれば「弦道を近く」、後に動いてしまうようであれば、弦道を遠くすることは許されていますので、実践してみてください。

中力をとる理由

高木範士:外見上心ともに運動が一時停止したかに見えるが、これは最後の反省の機会であるから、静止しても停止してはいけない。

いないいないバァをしてください。左腕を少し曲がった状態で押し続けられて、押し続けられます。右手は右肘から伸ばされる感覚を得られます。結果、「静止しても運動は停止しない状態」を作ることが出来ます。

斜面打起こしから引き分けへ

宇野範士:左肘を突っ張らず、余裕を持ってゆるやかに押しのばすこと、押しの操作は左手首を主とせず、

これ、いないいないバァやらないと出来ませんね。左手首主としないのであれば、「左腕を前に伸ばして、手首で回す」大三をしてはいけません。

左肘を横に動かし、弓を左にずらしてから、左手首を伸ばしていくようにしてください。

宇野範士:左肩はやや下げて受け、右肩は上肩にして迎える。

この文章、また虚偽記載されています。正確な文章は「左腕は外巻き、右腕は外巻に巻くように」と記されています。

つまり、大三を取り終えた時は、右腕は外側に回転させるように動かさないといけません。こうすると、より右手首が伸ばされて、「右肘を中心とする肘の力」で引き取ることができます。

引きの操作もまた同様に右手首を主とせず、右肘関節を中心に肘の力で引き取るのである

しかし、今日の弓道の指導では、「左右対称だから」と言う理由で、右肘も内側に捻らせる指導をする場合が多いです。すると、大三で右腕が内側にひねらすぎてしまい、右肩が内側に巻かれます。

こうなると、右肩が上がって手先で引く構えになってしまいます。この原文の切り取りは極めて「最悪」なものです。正確な文献記載と指導方法を変えることを懇願します。

宇野範士:「打起こし」から「引き分け」に移る時は極めて静かに、而してなだらかに押引を進めるように心がけねばならぬ。

いないいないバァを行って、左右の肘から動かすようにしてください。自然に大三で両拳を動かすスピードが「なだらか」になります。

宇野範士:左拳を左斜めに的に向かって押し進め、右拳は右肘関節を中心とする肘の力で半円を描きながら右斜めに右肩を添うて引き収める。

神永範士の文章と同じ内容です。

打ち起こす烏兎の架け橋直なれど、引き渡すには反橋ぞ良き

いないいないバァをしてください。反橋の軌道で自然に両拳が動きます。

浦上範士:左手は弓を押すとともに外へひねる気持ちでまっすぐに伸ばし

いないいないばぁで左手首を動かしてください。斜面打起こしであっても、引き分け動作に入る時、左肘を的方向に動かし、脇正面から見ると、左手首が外にひねられるように動いて見えます。

浦上範士:右手は拇指を弦にひきかけた(弦からみと言う)だけで、力を入れず、指先を上へそらしつつ

これも、いないいないバァをやってください。P117の高木範士の「右肘で弦の働き」を抑えるような動きを行えば、右手首が内側に軽くひねられます。これによって、弦が右手の中に絡むように、しっかりかかります。

浦上範士、

この考え方、日置流が、弾正正次からの由来であれば、違うのでは?と想像されます。

なぜなら、日置弾正正次であれば、

弓引く→右手で弓を引くこと

矢引く→両腕を同じ関節の回し方で、左右対称に引くこと

となるはずだからです。

日置弾正正次は、吉田賢と竹林坊如成に弓の引き方を教えました。その竹林坊の弓の引き方で「大三」の取り方には二種類あると記されています。

1、「押し多めの大三」

最初に、左腕で弓を押して、左腕に多めに弓の圧力がかかるようにして、あとで右腕で引くようにします。

2、「父母大三」両腕を同じ関節の回し方で大三を取る

父は左手、母は右手を指します。そして、この大三では左右の拳の力のかかり方、動き、心もちもバランスを取るように言われています。そうすると、子供という「矢」が方釣り合いなく引けるという教えです。

これは、いないいないバァの動かし方に慣れれば、感覚が理解できます。いないいないバァの大三は、左右の上腕は外側に開きます。

左右の前腕は自分で動かすのではなく、左手は「上腕によって起こった遠心力」によって、伸ばされます。右手はつるに引かれることで、自然に大三の形になります。

これは、「矢」を方釣り合いなく引いた引き方であり、「矢を引く」大三と言えます。一方、最初に弓を押してから引くのは、文字通り、「弓を引く」大三と言えます。

しかし、浦上範士の文章の解釈だと、「弓を引く」のは、「左手」で押す。これでは、左右均等に力をかけて弓を引くのは不可能かと考えられます。

日置流では、大三の取る意義は、左右の拳の釣り合いやバランスを取るためと解説しています。お話されているように、弓を引くように左手で動かす。矢引くように右手だけで引く動作では、左右のバランスを取るのは難しいと思われます。

もしかして、「矢を引く」という言葉の意味を間違えられているかと思われます。弾正政次の弟子は「矢引く」は、「矢という子供を左右に開いていく」と解説しています。

これであれば、左右のバランスを崩さずに弓を開いていきます。それは、最初に弓を押してから、引く「弓引く」引き分けをやってから、腕の動かし方がわかってくると、「矢引く」ができるようになっていきます。

この文章の内容が間違っているかは、私にはわかりません。日置流の方にこの文章に込められた「意味」を理解していないからです。しかし、古くの文献をみるに、この内容は誤解されている印象がいただけません。

最後に呼吸の内容になります。呼吸自体には囚われないように弓を引くのが大切です。

いちいち大三の取り始めは息を吐いて、引き分けで吐いていくとやることを決めていると、それ自体に囚われて弓を引くことは困難です。

ですので、呼吸は「いないいないバァ」の引き分けを覚えて、「詰まらない」ようにだけ意識していれば問題ありません。

呼吸:

宇野範士:強弓は息の出入りを許さぬからそれでは困難で、はく息と吸う息を一気に引き取る

ご参考ください。強弓の時、確かに一気にして引き取ると引きやすくなります。

宇野範士:打起こしで「引き分け」を3分の二位までは平生の息合で、後の三分の一のところで静かに気息を丹田に収める

3分の二位までは、引き分けで目通りを過ぎたあたりを指します。平生の息合とは、「息が詰まらないように呼吸しやすいようにしておく」ことを指します。

最後に丹田に収めるとは、呼吸を吸うのを辞めます。そして、残った息を下腹の空間に移すようにすることです。

そんなこと出来んのか?と思われますが可能です。いないいないバァで左右の上腕を外側に開ききれば、胸部が左右に開かれて、胸の内部の空間が狭くなります。すると、息が丹田に写るように「少し充実する感覚」を得られます。

宇野範士:息合いは正座法に夜と、息を吸いながら下腹に収めるのと、息を吐きながら収めるのと、

最初の収める方法は、胸の内部を狭くすることで、吸った息を胸から下腹に移す方法です。

もう一つの方法は、弓を開く時に、胸を開く際に、胸部にあった息を外に吐き出します。これによって、胸部が下に落ちて、下腹部の空間に圧力をかけて、息が下腹に移る(息を下腹に収める)感覚を得られます。

ただ、これどっちもいないいないバァの引き分けをしないと、体感できないし、説明できません。なぜなら、いないいないバァをすると、肩幅が広くなって、胸が開くように使えるからです。

反対に、腕や肩を使った引き方では、胸部が開かないため、この呼吸法自体を体感できないし、説明できません。

よって、いないいないバァの引き分けをできるようになりましょう。

神永範士:呼吸は自然にまかすが、胸を用いないで

つまり、胸部に力を加えて縮めるなと言っています。ですので、いないいないバァをやりましょう。

神永範士:大三(肘力)から「引き分け」の際に、下腹に思いを置いて、鼻から息を吸い、これで根息を納める。

これ、宇野範士の呼吸の解説と同じですね。「下腹に思いを置いて」=「息を下腹に収める」ように呼吸ですね。だから、いないいないバァをやりましょう。

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