超便利:斜面打ち起こしを積極的に取り入れると、正面打起こしがやりやすくなる

現代弓道では、打ち起こしは「正面打起こし」と「斜面打ち起こし」の二種類があります。

この中で斜面打ち起こしはあまり用いられません。正面は実施されている先生が多かったり、審査でも正面打起こしでみられるからです。加えて、斜面打ち起こしの人口が少ない部分、指導できる先生が少ないため、あまり用いられません。

しかし、その考えが損しています。実は、斜面打起こしを積極的に取り入れると、正面打起こしがしやすくなります。それどころか、筋肉の使い方や大三に置ける左手の入れ方がうまくなります。

今回は、正面打起こし動作がしやすくなる斜面打起こしについて解説していきます。

斜面打起こしの動作を確認する

まず、斜面打起こしでの動作を確認すると、

・弓構えを作る

・左拳を足踏みの方向にななめ下に押し、右拳はそのままで右肘を張るようにする。これで、三分の一押し開く。

・その状態で額の高さまで打ち起こす

 

この構えを作ってから上にあげていきます。ただ、日置当流、日置流印西派、尾州竹林派、紀州竹林などで、適切な弓構えの形が微妙に違います。ただ、ここでの形は正直どれでもいいです。重要なのは、左斜めに構えることでの利点です。

それを書いて行くと

・伸筋を活用しやすくなる

・大三での左手が入れやすくなる

この二つが特段優れています。毎回の射で意識して取り入れるようにしましょう。

斜面打ち起こしは引き分けで使う「伸筋」が意識しやすい

まず、斜面打ち起こしを行う「長所」一つ目伸筋」を意識しやすいことです。

筋肉には、腕や脚を伸ばすときの伸筋と曲げるときの屈筋があります。この時に、弓道家が効果的に使いたいのが「伸筋」です。理由はシンプルに、屈筋は肩関節と連動している筋肉が多いからです。屈筋を使うと、肩関節にも力が入ってしまい、肩が上がってしまいます。

正面打ち起こしの場合、弓を引くときに、右手を頭の上から肩に下ろす運動であるため、楽です。しかし、この引き下ろす運動にはデメリットを持っており、手首や腕を曲げることで、引きおろすことが可能になります。

つまり、慣れていない人は手先で引いて手首が曲がる(手繰(たぐ)っている人)可能性があります。これは屈筋で引いていることになります。この状態で引くと、肩に無駄な力が入ってしまうため、矢をまっすぐ飛ばせません。

 

しかし、斜面打ち起こしはこの屈筋優位の引き方を防止できます。簡単に、伸筋を意識した引き方を身につけられるのです。

まず、斜面打ち起こしである左拳を足踏み方向にむけてななめ下に押します。その状態を保ったまま、右拳を引いてみましょう。すると手首が曲がることなく引けます。

これが、伸筋を使う引き方です。

 

斜面打ち起こしの場合、右拳が最初から、右腕に対して直線方向に向きます。なので、そのまま引き分けると手首に力がかかるのではなく、上腕三頭筋に力がかかります。

このように、毎回手首を伸ばしたまま引くことで、伸筋を意識した引き方を体で記憶しやすくなります。

斜面打起こしは大三を入れやすくする

もう一つ、斜面打起こしをする利点として大三を入れやすくなるのが挙げられます。

正面打ち起こしでは、大三に以降する際に、左手に力が入ってしまうことはよくあります。大三を入れようとすると、左手首に力が入る、握りすぎてしまう、指が痛いなどです。これは、正面打起こしに置ける「大三の難しさ」を物語っています。

しかし、そんなややこしい問題を解消してくれるのが「斜面打起こし」です。斜面の構えは左手が入れやすいです。この斜面が左手が入れやすい理由がわかると、正面にも応用ができます。

理由を解説します。正面の打起こしは、左手首を外側に曲げて動かそうとするから大三を取りにくく感じます。しかし、斜面打起こしは左手を斜め下伸ばしながらとるので楽に感じます。

もう少し簡単に書くと、正面打起こしは左手を外側に曲げて直線に動かすから取りにくいです。斜面打起こしは左手を一度「前」に出して、「斜め」に伸ばしながら弓を入れて、最後に直線に伸ばします。このため、左手を入れるのが楽に感じます。

つまり、正面打起こしの大三の入れ方は手首に負担がかかります。しかし、斜面打起こしでは、左手首を内や外に曲げないので負担がかかりません。これが斜面打起こしが左手を入れやすくしている理由です。

つまり、正面打起こしでも、斜面打起こしのように手首を内や外に曲げなければ、大三を入れるのが楽に感じられるのです。強弓を引いている人、的中を安定して手に入れている人は、この「楽に大三を入れる感覚」を持っています。なので、この大三の入れ方を研究してみてください。

斜面打起こしの手法を正面打起こしで取り入れる

正面打起こしに斜面打起こしの動きを取り入れるってどういうこと?と思ったかもしれません。しかし、実はこの具体的な手法に関してすでに「弓道教本」に記されています。この内容を取り入れれば、どんな人も楽に大三を入れられるようになります。

それが左手の向きです。教本の図説のように、左手を少しだけ伸ばしてみましょう。この構えで左手を入れてみてください。左手首を曲げる大三よりも左手が入れやすく、楽に感じられると思います。

これは打起こしを高くあげていくと自然とこうなるのです。この時の入れ方は、最初は少しだけ前に動かすようにします。そのあとに斜めに左腕を伸ばしていき、的の方向に徐々に押して行きます。こうすると、楽に大三を入れやすくなります。

「でも、こうすると矢が前に向くから連盟の引き方に合わないんじゃ」と思う人もいるかもしれません。この大三の入れ方で矢が前に向く時間は0.5秒未満です。そのため、外から見て矢が前に向いているように見えるようには見えません。

そのため、安心してこの方法で使用すれば良いかと思います。むしろ、連盟の高段者が教える、手首を曲げる大三の取り方では、一生左手首の無駄な力みが取れませんのでうまくなりません。そのため、合理的に斜面の左手の動かし方を正面でパクリましょう。これでうまく行きます。

以上の内容を理解することで、正面打起こしの動作が行いやすくなります。その手法は斜面打起こしの動作を解析することで実践できます。ぜひ試してみてください。

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