日置流の胴づくりの教えに袴腰の準という教えがあります。ここでは、袴の板に注目し、キレイな胴の整え方を解説していきます。
袴腰の準
日置流ではこの胴づくりができているかどうかを確かめる方法で袴の腰板で決める方法があります。これを袴腰の準と言います。
袴腰の準:胴づくりで正しい位置で腰を締めると、袴の板がピッタリと背につきます。
この「上体を正しく据える」ということは「禅家」における姿勢の取り方と同様です。「座禅儀」という書には以下のように記されています。
上体を正しく保ったとき、横から見ると耳と肩、正面から見れば、鼻と臍と一直線になり、かつ垂直線上にあるようになります。軽く奥歯をかみしめて、下を上顎につけて口をへの字に結ぶようにします。この上で上体がのっていれば、そのまま弓道の胴づくりになります。
そして、このときの胴づくりをするため、下半身と上半身の結合点になる「腰」は重要であり、袴腰の準は片時も忘れてはいけません。
袴の板を大切にした理由
他の弓術書を見ると、胴を安定するために「腹」「肛門」といった別の体の部位で胴づくりを説明しているのに対し、日置流では、袴の板に注目しています。
この理由は「理念」にあります。日置流の射は戦争や争いの中を想定しています。緊張状態の中で相手(的)を正確に射抜くための方法や考えられています。
争いの中で、先に敵に攻撃をしかけられうさい、すぐに胴が安定していることを確認するために、袴腰の準に基づいて姿勢を取ることが有効となります。
袴袴の板であれば、自分の姿勢が前や後ろに屈んでいるかが瞬時に判断できます。実際の稽古では、審査のように失敗が許されない環境でも、板と腰の接触具合で胴の状態をすることができます。このように、胴づくりを袴腰の板で真っ直ぐ立っているかを確認することができます。