弓道の上達をしていくために、必ず必要な要素として「本を読む」ことが挙げられます。「本を読む」ことは知識を増えることにつながり、考える力を養います。
弓をひく技術を高めていくためには、引く動作を頭で考えて行っていく必要があります。
ただ、これからあなたが本気で弓道を深く学び、上達をしたいのであれば、本を読むときの注意点を
意識するようにしてください。
本には虚偽が記載されている可能性がある
古くの書籍であれば、情報の正確性は上がりますが、現代の弓道の本には虚偽が含まれている可能性があります。
虚偽という言葉の具体的な意味は「言葉自体は間違っていない。しかし、前後関係が記されていないので、その言葉の真意を間違えてとらえやすくなってしまう文章」のことです。
つまり、文章に記された本当の意味がわからないため、間違った知識を頭に入れてしまい、弓を引く技術を低下させてしまう危険があります。
その理由は、弓を引く動作において、大切となる部分は「本人の口伝」からでしか伝わらないからです。
そのため、自分自身で弓を引き、研究し、本を読み、文章に書かれた内容の解釈を必死に模索する必要があります。
そのため、正面打ち起こしを日本中に広めた本多利実氏や心月謝儀の開祖である梅路見鸞氏は
中国の書籍を含め、あらゆる流派の書籍を読んだ形跡を残しています。
そうして、そうした方の文章の一部に「近年、言葉の意味を正確にとらえる活眼にとぼしい老人が多すぎる」と記されています。
あたり前ですが、学校の授業で間違った内容を生徒に教えると、教えた生徒の学力も低下してしまいます。すると、どれだけ生徒が頑張っても、学力が伸びることがありません。
教本も全てが正しいとは限らない
弓道に限って言えば、一度間違った癖を身につけてしまうと、それを元の状態に戻すことは非常に困難です。一度ゆるみ離れや引き肩を身につけてしまうと、それを元に戻すことは多大な労力を費やします。
そのため、弓道に限っていえば、どのような方も最初の学ぶ方法や書籍は間違えないようにしなければいけません。
例えば、私たちが身近に手に入る弓道の書籍として「弓道教本」があります。「教本」と言われると、全ての内容が間違っていないように感じます。
しかし、残念ながら古来の書籍を読み、多角的に分析すると、教本の内容にもいくつか説明の足りない記載が多く、そのまま実践すると確実に「射癖がついてしまう」ものばかりです。
もしも、あなたが弓道教本の内容を勉強したいと思うのであれば、文章に書かれた内容をただ鵜呑みにするのではなく、その意味を正確に把握する必要があります。そのように、多角的に物事を捉える作業をやらなければ、いつまでも間違った解釈をしてしまい、無理な引き方をしてしまいます。
すると、永遠にあなたの弓を引く技術が伸びることはなく、稽古によって関節のねじれを癖づけてしまい、怪我や痛みに苦しむようになります。
そのように、本の内容を正確に理解するためには、古来弓道の身体の操作に基づき、負担のない弓の引き方を体得し、勉強法をしっかりと身につけることが大切です。