腕力ゼロでも開ける体の使い方
ー腕力ではなく”姿勢”で弓が開く
離れに悩むあなたへ。難しく考えすぎていませんか?
離れを鋭く、スムーズに出すために、あれこれ難しく考えていませんか?
「手首をどう捻ろう」
「どうやって手を開こう」
「親指はどう弾けばいい?」
小手先の技術を追いかければ追いかけるほど、離れはギクシャクし、力が入り、結果として
「鋭さ」も「スムーズさ」も失われていく――。
でも実は、離れで意識すべきことは、たった「二つの運動」だけなんです。
この二つを極めれば、離れは勝手に出るようになっています。
努力が水泡に帰す「やってはいけない離れ」
多くの弓道家が陥る罠があります。それは、「意識して手首を捻る」こと。
「右手首を内側に捻って離そう」とする人がいますが、これは絶対にNGです。
なぜなら、右肘を内側に捻ると、肩が力んで肘が固定されてしまうからです。
そうすると、もう右肘は後ろに動きません。「ブレーキがかかります」。
せっかく積み上げた会の張りが、一瞬で崩壊します。
また、「上押し」「下押し」といった左手の”形”にとらわれて、
無理やり手首を曲げようとする人も多い。しかし、これも同じです。
形を作ろうとした瞬間、関節がロックされて力が伝わらなくなります。
つまり、「自分で何かをしようとすること」自体が、離れを壊しているのです。
答えはシンプル。たった「二つの運動」だけ
結論から言います。離れを鋭く、スムーズに出すためにやるべきことは、
たった「二つの運動」だけです。
【離れで極めるべき二つの運動】
1. とにかく右肘を後方に押し続けること
2. 左親指の付け根で弓の圧力を受けて、押し続けること
これだけです。キーワードは、
「ひたすらに引き続けろ。そうすりゃ右手は回る、親指は伸びる」。
自分自身が「弓を引き続けること」に徹すれば、無駄な動きなく、スムーズに弦が外れるようになっています。
■ 右手の「回転」は勝手に起こる
まず右手について。右肘を肩より後方に回してみてください。さらに後ろに引こうとすると、人間の関節の構造上、
右手は自然に外側に「くるん」と回転します。
これは意識してやるもんじゃない。構造上、どうしてもそうなってしまうんです。
だから、意識して手を回すんじゃなくて、「右肘を後方に動かし続ける」。
そうすれば、右手は勝手に外側に回って、弦がスパッと外れます。
「自分で弾くんじゃない。弾かされるんです」
この二つの運動を正しく実践すると、今までの苦労が嘘のように消えます。
「自分で弾くんじゃない。弾かれるんです。」
「自分で開くんじゃない。開かされるんです。」
小手先のテクニックで肘をどうこうしようとか、親指をどう捻ろうとか考えなくていい。ただひたすらに引き続ける。
そうすれば、今まで意識してやろうとしてできなかったことが、
嘘のように勝手にできるようになります。
離れがスムーズになり、的中率も自然と安定します。
「形にとらわれるな。機能をとれ。」
よく「上押し(うわおし)」がいいとか、「下押し・ベタ押し」がいいとか議論になりますが、はっきり言います。
「そんな形(かたち)、どっちでもいいんです。」
「形を作ろうとしている時点で、それはもう死んだ手です」。
「上押しにしなきゃ」と手首を無理やり曲げれば、関節がロックされて力が伝わらなくなる。
大事なのは形じゃない。「左手の親指の付け根(角見)で、弓の力を真っ直ぐに受けること」です。
弓の強烈な圧力を、一番骨が耐えられる自然な形で受け止める。その結果として、外から見た時にそれが「上押し」に見えようが何だろうが、それが正解の形なんです。
「形にとらわれるな。機能をとれ。」
弓の力と骨の構造が、勝手に形を作ってくれるのを信じてください。
離れは「姿勢が9割」―正しい順序を知れ
ここからが一番重要です。一般的に「離れで胸を大きく開け」「右肘を抜け」「親指を弾け」と言われますが、これも
「絶対に意識してはいけません」。
意識した場所に力が入る。力が入れば動きが止まる。
私は、「離れは姿勢が9割」だと思っています。姿勢が正しくセットされていれば、離れは「する」ものじゃなくて、
「なる」ものだからです。
■ 多くの人が順番を間違えている
ただ、多くの人が順番を間違えています。いきなり「胸を開こう」とするから失敗するんです。胸を開くためには、その前の条件が必要です。
その条件とは何か。「左の親指を起こすこと」です。
【正しい姿勢の順序】
①まず、左の親指を的の方へグッと起こす
②弓の圧力が親指の付け根の骨でガツンと受け止められる
③力が骨に乗るから、余計な筋力がいらなくなる
④そこで初めて、「肩甲骨を下げる」という姿勢の調整が可能になる
この順番です。「親指が起きる」→「力が骨に乗る」→「だから、肩甲骨を下ろせる」。
■ 肩甲骨が下がって初めて、胸が開く
そして、肩甲骨がストンと正しい位置に下がると、鎖骨が開き、肋骨周りの筋肉が自由になります。
つまり、「肩甲骨が下がって初めて、胸の筋肉が開く準備が整う」んです。
ここまでお膳立てができれば、あとは右肘を引き続けていけば、限界が来たところで勝手に弦が外れます。
そしてその結果、外から見れば「あ、胸がきれいに開いているな」となるわけです。
「左親指を起こし、姿勢を正して、あとはひたすらに引き続ける」。それだけです。






