【初心者弓道講座】【会】そもそも「伸びる」とはどういう状態かを筋肉を使って解説
弓道を稽古して1年ほどが経ち、ある程度形にはなってきたけれど、どうも自分の射に自信が持てない。そんな中級者の方は多いのではないでしょうか。
「このまま稽古を続けて本当に上手くなるのだろうか?」
「もっと楽に、強い弓を引きたいのに、どうしても腕が疲れてしまう」
そんな悩みを抱えたまま、日々の稽古をこなしているだけになっていませんか?
実は、多くの人が会での筋肉の伸ばし方を間違えております。会では「詰合・伸合」という言葉を聞いたことがあると思います。この言葉だけを受け取ると、会に入った時に、筋肉を伸ばすものと考えます。
それは大きな誤解をしています。あなたが今感じている射の限界は、筋力不足のせいではなく、体の使い方のボタンを掛け違えているだけかもしれません。
そこで、会についてのそもそも「伸び」とは何かについて解説していきます。
1. その「頑張り」が逆効果?伸び悩みの正体
もしあなたが、「もっと引かなきゃ」「もっと伸ばさなきゃ」と意識して、腕や肩に力を入れているとしたら、それは逆効果です。
「会」でプルプルと震えてしまったり、離れが緩んでしまったりするのは、あなたの努力が足りないからではありません。むしろ、「自分で頑張って伸ばそうとしていること」自体が、伸びを止める最大の原因なのです。
2. 腕ではなく、背中を使う
では、この正しい「伸び」について解説します。結論から言えば、「弓の圧力を背中で受け止め、勝手に体が広げられる状態」を作ることです。
これを実現するために必要なのは、腕力ではなく「姿勢」です。
弓道には古くから「引かぬ矢束(ひかぬやつか)」という言葉があります。これは「腕で引くな」という教えです。古くの弓道家は、この会において「腕ではなく、体幹・姿勢」を使う重要性を説いております。
例えば、尾州竹林では「骨で引く、押す」と表現されています。この言葉の意味は、腕力ではなく、骨格の構造を正しく使えば、非力な人でも強い弓を引くことができるということです。
さらに、梅路見鸞氏は、引分の際には、左右の手は無限遠方に伸ばされて、手に力が入れてはいけないと解説されています。阿波研造は会に入った時でも、腕ではなく、丹田(下腹)に意識を置くように解説されています。
このように、会では複数の先生が腕を使わないように解説しています。そして、腕を使わないようにするためには背中の筋肉を使うことです。
背中と言っても、肩甲骨を使います。人の肩甲骨の下部には、前鋸筋という筋肉があります。この筋肉が縮むと、肩甲骨の下部が締まり、上部が広がるように動きます。
ざっくりいうと肩幅が広くなって逆三角形のような構えになります。このように、肩幅が広くなるように骨が動くことで、胸が左右に開き、上腕前腕の骨も外方向に伸ばされるように動きます。
この筋肉を最初ゆるめておきます。そして、大三から引き分けに入る時に、弓の圧力を背中側にかけるようにします。すると、前鋸筋が縮みます。すると、弓の圧力によって、肩甲骨下部が締まり、上部が広がるようになります。
その結果、背中が締まることで、腕の筋肉が斜め後方に引かれるように動きます。これが、会における正しい伸び方です。
つまり、伸びるといっても、
腕で伸ばそうとするのではなく
背中を使い
弓の圧力によって、伸ばされるようにする
に弓を開くようにするのです。
③ 「詰め合い」と「伸び合い」の具体的意味
ここまで話をすると、詰合と伸合の関係がよくわかるようになります。
詰合伸合とは、自分で筋肉を縮め、伸ばそうとするのではありません。弓の圧力によって、前面が伸ばされて・背面が詰まらされる状態を言います。
伸合と詰合は表裏一体です。どちらかの要素がなくなれば、両方とも無くなります。自分から伸ばそうと思い、縮んだとしても、「詰まる」感覚だけは残るはずです。しかし、本当の伸合・詰合は違うのです。
体の内部の伸びる感覚・詰まる感覚は、一つの身体で同時刻で同じように味わえます。もしも、腕の力が抜けて、弓を開くのではなく弓によって開かれるように意識していたら、会にも関わらず心が楽で、その上で筋肉を伸ばせる感覚になると思います。
これを「苦楽の楽」と表現されることもあります。会で弓の圧力がかかり、精神的には少しきつい中、体が楽な感覚が得られます。この感覚があると強弓は楽に開けます。あるいは、鋭い離れで的中するためにこの感覚は必要といえます。
④ 間違った常識を捨てる
良かれと思ってやっていることが、実は伸びを阻害しているケースがあります。「無理に肩甲骨を寄せる」「手の内の形にこだわりすぎる」「打起の高さにこだわる」このようなことを意識すると胸が緊張してしまいます。
会に入ってから「伸ばそう」としても手遅れです。足踏みや構えの段階から、弓の圧力を受ける構えを作ることが大切です。それが、安定した会を身につけるために大切なポイントです
5. 今すぐ実践できるアクションプラン
まずは次回の稽古で、以下のことを試してみてください。
- 「引こう」とする意識を捨てる: 弓を引くのではなく、弓の中に体を入れていくイメージを持つ。
- 小指側の意識: 取りかけや手の内で、小指側に圧力がかかるように意識し、背中とのつながりを感じる。
- 胸の力を抜く: 打ち起こしから会にかけて、胸の筋肉が縮まないようにリラックスさせる。
本日のまとめ
【やること】
腕で引くのをやめ、弓の圧力を「背中」で受け止める姿勢を作る。
【理由】
自力で伸ばそうとすると前面の筋肉が緊張して止まってしまうが、弓の力で「伸ばされる」状態なら、骨格を使って無限に伸び続けられるから。
【対策】
小指側への意識を持ち、足踏みや構えの段階から、背中で弓を受け止める準備を完了させておく。
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