正しい弓道教本の読み方:弓構え2巻

今回も、弓構えの文章に置いて、やるべきことと意味をまとめていきます。

教本の弓構えの文章は最も理解できない内容と感じます。

各先生で言っている内容が異なるからです。

例えば、教本二巻の宇野先生、神永先生の文章をみてください。

それぞれ、違う弓構えを説明しています。

宇野はんしは少し左腕を伸ばすような弓構え、神永範士は両方相対して丸く取り囲むようにします。

一体どれをやればいいの?

しかし、実際の弓道の指導では、両腕を円形に囲む弓構えしか教わりません。9割9分の先生はこの内容を詳細に解説、研究をできません。

ですので、教本の内容は理解できません。

連盟の高段者の方はこのようなことに関しても疑問を持たないどころか、問題視しません。

ただ、心配する必要はありません。弓道教本の文章の内容は

様々な弓構えの取り方は「両腕を寄り合わせる」ようにすれば、全部できるようになっている

ことがわかっています。

その具体的な動きは両腕です。

両腕を寄り合わせる

この動きを行うだけで、いろんな弓構えの動きができるどころか、適切な取り懸けや手の内の内容まで繋がって理解ができます。

と、全日本弓道連盟初代会長宇野要三郎範士が解説されております。

主語は「両腕」と記載はありませんが、弓構えの状況で「より合わされる」ものは、両腕と想像できます。

加えて、その前文の主語は右手です。日本語の文章は前後の文脈で同じ、もしくは似た主語は省略されるため、この「より合わせる」のが、「何」が寄り合うのは、非常に近いのが両腕です。

では、その両腕をより合わせてみましょう。

とは言っても、難しくありません。

今までの足踏み、胴造の内容を振り返ってください。

足踏み:両太腿を外に開く

胴造:両肩が後ろに引かれる

これをしてください。すると、

弓構え:両腕を寄り合わされる

ようになりますよね。これで全て完了です。

次に、絶対にやってはいけないことを教えます。

・肘を張る

・前ならえのように両腕を前に伸ばす

この二つを行ったら、今まで行った足踏み、胴造の構造が全て壊れます。

肘を張る。腕を丸く取り囲みながら、弓を構えるとき、先生から肘を張りましょうと言われて、クイット腕に上げさせられると思います。

これを行うと、肩周りにある僧帽筋と呼ばれる筋肉が張ります。

こうなると、打起こし、引き分けで肩が上がりやすくなってしまい、汚い射形、緩み離れ、的中しないなどの問題が起こります。

次に、両腕を前ならえのように伸ばす。これを行っても、肩に力が入ります。

腕だけで重さが2kgあり、両腕で4kgありますので、米俵二つを身体の前で抱え込んでいるのと同じ状況になります。すると、次の打起こしの動作で、

肩に力が入ってしまう。

問題が起こります。弓道連盟の高段者はよく、この肩上がりの問題を防止するために、低い打起こししかできません。額より拳一個程度しかあげないようにします。

こうしても、肩に力が入ってしまいます。

多分、弓道連盟の関係者はそうしないと、見た目が綺麗にならないという風に説明すると思いますが

その美的感覚、必要ですか?

余計な美的感覚は無駄に力みを起こし、怪我や事故をふやすのであれば、むしろその考えは止めるべきでしょう。引き方になるだけ。

余談ですが、当サイトでは、弓道連盟のような射型でも肩に力が入らず円相を取り囲む方法も解説しています。連盟の先生が円相を取り囲むようにうるさくいうのであれば、その方法を使ってもらっています。

では、解剖学的に、肘を張った姿勢について詳しく解説します。それは、両腕を寄り合わせるように動かした後、

後ろ下に下げるように動かす

ようにしてください。こうすれば、腕の裏側の筋肉に力が入ります。

弓構えでは腕、手首、指に力をかけることなく、弓と弦をもつ必要があります。そのために、両腕の無駄な力みを抜いて、丸く取り囲む必要があります。

この方法は、私オリジナルではありません。すでに教本で高木範士、神永範士が同様のことをそれぞれ話されています。

そのためには、弓構えで両腕を寄り合わせるように身体に近づけてみてください。すると、腕をリラックスさせて弓をもつことができます。

でも、ここで多くの人は、腕や手の力を抜いたら、取り懸けと手の内はどのように考えればいいんだと思うかもしれません。心配する必要はありません。

この二つについても

取り懸け、手の内も同じように考えれば良い

です。具体的にいうと両腕をより合わせた後に、

・手首が腕に対して真っ直ぐ伸びるようにする

を意識すれば良いです。

両腕をより合わせて、両肘を後ろ下に向けるように下げてください。すると、手首が立ち、両腕から手首にかけて真っ直ぐに伸びませんか?これで、取り懸けと手の内が完成します。

このように、両腕を寄り合わせることで、手首と腕が真っ直ぐに伸びて

・指の力みが抜ける

ようになります。

掌の中心には、「手根管(しゅこんかん)」と呼ばれる組織があります。この部位は指を動かすために働く組織です。もし、右手首が曲がっていると、手根管が曲がってしまい、指が力みやすくなります。

しかし、両腕をより合わせると、手首が腕の骨が真っ直ぐに伸びるため、指が動かしやすくなります。よって、弓を軽く握れるようになり、取り懸けで無駄な力みが入りにくくなります。

次に、両腕をより合わせて両拳を身体に近づけてみてください。すると、両拳を近づけていくと、指に力を入れなくても指が自然と曲がってきます。

そして、取りかけと手の内の形が出来上がると思います。取りかけで三つ懸の場合、中指の第二〜第三関節の間が親指の上にのるくらいになります。

次に、手の内は、中指、薬指、小指の三指が軽く曲がります。すると、三指を並行に揃えやすくなります。

このように、取りかけと手の内ができれば取りかけと手の内は完成です。ポイントは、指に力をいれるのではありません。腕が曲がることで、自然と指が曲がるようにすることです。

なぜ、指を意識しなくても指が曲がるのか?人の指は指に筋肉がついているのではなく、肘に近い前腕付近の筋肉に力が入ることで指が曲がります。

肘には、上面、下面にゴツゴツと当たる骨があります。この付近の筋肉が縮むことで、指の関節が曲がります。つまり、指を曲げるためには、指を意識する必要はありません。腕を動かすことで、指の関節を動かすこともできます。

そこで、両腕を寄り合わせるようにしてください。すると、前腕(手首から肘まで)と上腕(肘から肩まで)の間が狭くなります。これによって、肘に近い前腕の筋肉に力がかかり、指の関節が自然に曲がります。

これで取りかけ、手の内も完了です。なお、物見動作はもっと簡単です。

胴造で「肩を後ろ」に引けば、物見は楽に行えるようになる

これだけ!物見では、

自分の顎が左鎖骨のくぼみに来るくらいに向ける

ようにすると言われています。あるいは、「鼻のあるところに自分の右耳が来るように向ける」とも記されています。

これは、肩を後ろに引き、両腕を寄り合わせれば、顔を左方向に向けやすくなります。肩を後ろに引けば、首の筋肉が上方に伸ばしやすくなるからです。

両腕を身体の近くにより合わせれば、寄り自分の首が的方向に向けやすくなるのを体感できます。

では、私の文章は教本の内容に沿っているのでしょうか?みていきます。

千葉範士:弓矢を持った堅い感じではなく、自分の身体の一部分で身体に付随している者という感じが良い。

両腕をより合わせてください。腕の力が抜けて弓と弦を持てます。

その後にも、「弓矢を枝とすると、人体という大木にスゥーっとできた感じ」や「ぎこちない感じがあってはいけない」という文章がありますがこれも同じ内容です。

さらに、「大石を抱える感じを忘れるな」と小笠原流の文章をとりあげます。両腕をより合わせれば、物を包むこむように抱えた状態になりますよね。

両腕を寄り合わせるという動作一つをやれば、千葉範士の文章は全て読めます。

宇野範士:左右両腕を寄り合わせるのと主眼にしたのである。・・・・「取り懸け」によって結びついた左右両腕の形は丸い輪形でなければいけない。

両腕をより合わせれば、囲った両腕は円形になりますよね。この内容もできます。

さらに、宇野範士の弓構えの写真を見ると、「左腕を少し伸ばし気味」の状態になっていますね。この弓構えも問題なくできます。

両腕をより合わせて、両掌を合わせ鏡のように向けます。その状態を作った後、左腕を少し前に伸ばすようにしてください。

すると、弓を押されたと同時に、弦が身体の方に動き、右手が身体に近づきます。これによって、左腕がちょっと伸び、右腕がちょっと曲がる弓構えになります。

これが、宇野範士の写真にある「左肩が少し下がり、右肩少し据えられた弓構え」になります。

ちなみに、両腕をより合わせた後に、左右の肘をそれぞれ外側に伸ばすようにしましょう。両肩甲骨が左右に広がるようになります。

これが神永範士がいう「足踏みの方向に八文字に伸ばした弓構え」になります。

神永範士:項を伸ばし、下がった両肩を八文字のように足踏みの向きに開く気持ちで備える(P-85)

次に、両腕をより合わせた後に、両肘を後ろ下に伸ばすようにしてください。前腕(肘から手首まで)が地面に対して垂直に立つようになります。

これが、高木範士の説明する「橈骨、尺骨が地面と垂直になる弓構え」です。(P-86)

この両腕をより合わせるように動かすと、4人の先生の話される弓構えができます。どの先生の弓構えの教えにも対応できる弓構えがあなたがやるべき弓構えです。

なお、連盟の高段者の先生の中には、神永範士の文章を

「足踏みの方向に肩を開くのだから、少し猫背のようにして、肩甲骨を外側に「張り」「出す」ような構えにしないといけない。

だから、弓構えでは、前ならえのように伸ばすのが正しい」

と解説する人がいますが、これは間違っています。

80歳以上のすでに猫背の方であればこのように弓構えをとるしかありません。しかし、背筋がまっすぐに伸ばせる方であれば、この構えをとると、無駄に肩の筋肉を力ませるだけです。

加えて、「足踏みの角度が60度」という前提自体も間違っています。神永範士は、足踏みで「90度に開き、両太腿の開きが60度くらいにする」と説明されています。文章の通りに読むと、両腕を伸ばす方向も、「前」ではなく、「左右の方向」になります。

さらに、両腕をより合わせると、

肘を張ろうとすると、肘が緩む

こともわかります。

「肘を張ってください」と言われて、両肘を上に上げるように指導を受けることがありますか、これでは、肘周りの筋肉を張れません。

実際、肘を張ろうとして、肘を上に上げてみてください。肘周りではなく、肩の付け根の筋肉が突っ張ります。

この運動は肩から肩の付け根にかけて生えている三角筋に力が入って肘が上がっています。肘が張れるわけではありません。

むしろ、肘周りの筋肉は緩みます。

例えば、腕の裏側の筋肉。この部位は弓道の世界では、下筋とも言われています。

しかし、先ほどのように、両肘を吊り上げるようにすると、腕の裏側の筋肉が緩んで肩の筋肉が張るのがわかります。

つまり、肘を張ると下筋は緩みます。

これは、連盟の高段者にそう言われるから?と言われるかもしれませんが、このような無駄な力みをかけて弓構えをとることが正しいと考えている連盟の美的感覚に疑問を持ちます。

では、肘を張りたい場合は?高木範士のように、両腕をより合わせた後に肘を

後ろ下に下げるように動かす

ようにしてください。これで解剖学的に腕の裏側、肘周りの筋肉が張ります。

つまり、神永範士のように、左右の方向に腕を伸ばすようにすることで、肩甲骨が外側に開きます。加えて、高木範士の弓構えのように、両肘を後ろ下に下ろすようにすれば、上腕の筋肉が張ります。

さらに、両腕をより合わせるようにしてください。

両腕をより合わせると、弓の上下に神様が見える

弓には末弭、本弭には山の神、地の神が宿ると言われています。

これは思想の問題です。同様に肩を後ろに引いてください。すると、

上半身の力が抜けて、気持ちに余裕が出て、道具に意識を向けられるようになる。

その意識を広げていき、最終的に本弭、末弭まで向けていく。

ようになります。すると、「本弭、末弭に神が宿っていて、その部位に意識を向けられる」ようになります。

まず、肩を後ろに引きます、次に目を半分閉じるように薄めにし、その後に全体的にボンヤリ見るようにしましょう。

おそらく、弓の本弭から末弭まで意識を行き渡らせながら構えることができます。

神様が宿るとは、本当にそこに神秘的なものが存在することを指しているわけではありません。その部位に意識を向け、自分の自我や身体の力みを減らすことが目的です。

そのためには、自分の体の無駄な力みを取り去らないといけません。特に、上半身。肩と胸の力を抜かないと他の部位に意識を向けることができません。そこで役に立つのが、肩を後ろに引くことです。

肩を後ろに引いて、首の後ろを引いてください。薄目にして、視野を広げてみましょう。本弭から末弭まで意識を広げることができます。弓の本弭と裏弭に宿る神様を大切にするかのような心を持ちながら弓構えをとることができます。

さらに、両手首をの

両腕をより合わせれば、両手首が伸びやすくなる

■両腕をより合わせれば、両手首が伸びやすくなる
さらに、両腕を寄り合わせると

■肩が上がりにくい弓構えが自然にできる
のがわかります。

両腕をより合わせ、肘を後ろしたに落としたとします。

その状態で両肩を上に上げようとしてみてください。

おそらく、両肩があげる方が大変で、自然と下がる弓構えになります。

反対に、「円相」「大木を抱えるように」といった言葉を受けて、
両腕を前方に丸く取り囲むようにしてください。

すると、肩が容易に上げやすくなります。反対に意識しないと、
肩を下げることができなくなります。

この弓構えは次の打起こし動作を綺麗に
行えるように

■手の内と取り掛けが勝手にできる
こともわかります。

両腕をより合わせれば、
指を握るために必要な筋肉に
力がかかるからです。

指の筋肉は、「指」にあるわけではなく、
実際は腕までつながっています。

指先から前腕の3分の2程度進んで、
肘の近くまで。ここまで「橈骨筋」
と呼ばれる筋肉があります。

この筋肉に力が入ると指が曲がります。

しかし、両腕をより合わせると、
指を曲げやすくなります。

両腕を寄り合わせて、
上腕と前腕とを近づけてみてください。
すると、前腕付近にある橈骨筋に自然と力が入り、
指を曲げる運動がしやすくなります。

両腕をより合わせる運動を行えば、
指を曲げやすくなり、いつもより
少ない力で手の内と取り懸け動作が行われます。

つまり、それだけ、

・取り懸け

・手の内

の形を作る動作がしやすくなります。

ここからわかることですが、手の内と取りかけは、弓懐を作ってからその形を作るのではなく、

両腕をより合わせた結果、自然と手の内、取り掛けの形ができる

と考えた方が良いでしょう。そのため、手の内の形は両腕を寄り合わせれば、

•左手が軽く曲がって、弓を軽く包み込むように握った形

になります。一方取り掛けの形は

親指が中指の第二関節付近にのる形

になります。少なくとも第一関節付近に乗るようにはなりません。

さらに、両腕をより合わせると

■手首が曲がりにくくなる
のがわかります。

手首は「小指、薬指」を握ることで、手首が曲がりにくくなります。これも、関節の位置、関係上そうなります。

しかし、両腕をより合わせて、肘を後ろ下に落とすようにすると、手首が曲がりにくくなります。

一方、両腕を少し前に差し出すようにして、手首の力を抜いてみてください。下向きに大きく曲がると思います。

もちろん、前者のようにしても多少は曲がります。しかし、後者に比べて手首は真っ直ぐな状態に保つことができます。

つまり、両腕を寄り合わせて弓構えを作れば、指が自然と曲がって手の内、取りかけの形ができて、手首も真っ直ぐに伸びます。

これは、重力が関係しています。

両腕を前に差し出すようにすると、重力によって右手首は下向きに曲がります。しかし、両腕を寄り合わせるようにすると、この重力による下向きにかかる力の影響を抑えられます。

このように、両腕をより合わせるように、腕を動かしてください。そうすると、

下筋が張る
肘周りの筋肉も張る
手首が伸びる
指が自然と曲がって、

宇野範士も神永範士の弓構えも同じである。
このことがわかれば、宇野範士と神永範士の弓構えも形は違っても元は同じであるとわかります。

まず、両腕を寄り合わせてください。その後に、右腕を少し体に近づけるようにし、左腕を離すようにします。5:5の相対した弓構えではなく、6:4で少し左腕が伸びた状態を作るようにします。

こうすると、宇野範士の弓構えの形になります。

一方、神永範士の弓構えを体感したければ、両腕を斜め下に下ろすようにします。両腕をより合わせた後、両肘を斜め下に落とすようにしてください。これで、神永範士の弓構えが完了します。

ここで、教本を読まれている方の中には、神永範士の教えは、ねこぜのようにすることと捉えている人がいます。

なぜなら、神永範士の説明の中に足踏みの方向に上腕を張り出すように肩甲骨を開くと解説しています。

連盟の足踏みの角度は60度が基礎と解説されていますので、両腕を前に差し出すように伸ばして、猫背気味にするのが良いと考えている人がいます。

残念ながら、これは解釈が違います。神永範士は足踏みの説明で角度は90度と解説されています。そのため、両腕を張り出す方向は「前」ではなく、ほぼ「真横」といってもいいくらいの「斜め」です。したがって、両腕を真横に伸ばす方向は前でないです。

そして、文章に書いた通り、両腕をより合わせれば、各先生の弓構えの形を構築できます。他の先生であっても同様です。両腕をより合わせてから行えば、全て腕に力みなく取れるようになります。

ここまで、解説した両腕をより合わせる運動、加えて

■弓の本弭、末弭に神が見えるようになる
次に、弓には末弭、本弭には山の神、地の神が宿ると言われています。

これは思想の問題です。同様に肩を後ろに引いてください。すると、

上半身の力が抜けて、気持ちに余裕が出て、道具に意識を向けられるようになる。

その意識を広げていき、最終的に本弭、末弭まで向けていく。

この二つを行えば、本弭、末弭にあたかも神が宿っていて、その部位に意識を向けられるようになります。

まず、肩を後ろに引きます、次に目を半分閉じるように薄めにし、その後に全体的にボンヤリ見るようにしましょう。

おそらく、弓の本弭から末弭まで意識を行き渡らせながら構えることができます。

神様が宿るとは、本当にそこに神秘的なものが存在することを指しているわけではありません。そこに神さまがいると想像して、その部位にも意識が行き渡るくらい自分の意識を薄めなさいという意味です。

そのためには、自分の体の無駄な力みを取り去らないといけません。特に、上半身。肩と胸の力を抜かないと他の部位に意識を向けることができません。そこで役に立つのが、肩を後ろに引くことです。

肩を後ろに引いて、首の後ろを引いてください。薄目にして、視野を広げてみましょう。本弭から末弭まで意識を広げることができます。弓の本弭と裏弭に宿る神様を大切にするかのような心を持ちながら弓構えをとることができます。

千葉範士:弓矢を持った堅い感じではなく、自分の体の一部で付随しているものという感じが良い。

宇野範士:弓道はいかなる場合でも円形(相)を重んずるから、取り懸けによって結びついた左右両腕の形は円い輪形でなければならない。輪は和に通じ、これが和の初めである。「取り懸け」のとき、弓を持った方の左肩が上がる傾向があるから、出来るだけ左肩を下げ、右肩は幾分張り気味にし、

神永範士:先ず縦線に対して横の線に付いて肩の備えを忘れてはならぬ。うなじを伸ばし、下がった両肩を八文字のように足踏みの向きに開く気持ちで備える。その余波が自然と羽引きとなる。

高木範士:指の末端に力を込めないようにし、左の拇指と人差し指との間(虎口)で受ける心持ちで握るように心がける。右手も堅く握らず、指先に力を込めない。両腕とも肘の関節をすんなり伸ばして、決してぎこちなくしゃちほこ張って伸ばしてはならない。前膊の二骨(橈骨・尺骨)のなす面が、地面とほとんど垂直に交わるように、肘のところを後ろ外へ、内からわずかに捻る心持ちでひねり伸ばすようにする。

神永範士:足を広めに踏めば、肩甲骨は開く

今回も、神永範士の文章を解読していきます。やるべきことはシンプルで「足踏みを広く踏んで、両腕を左右に伸ばす」だけです。

足踏みで、両足の角度を90度程度に開き、膕を凹むように伸ばしましょう。すると、肩甲骨が開き、両腕が左右に伸ばしやすくなります。

なぜなら、太ももを外側に開くと、内腿にある「内転筋」が伸びます。内腿が伸びると肩甲骨が左右に開きやすくなるように、解剖学的にできています。

足踏みで両太ももを外側にしっかり向けると、肩甲骨が楽に開くことができます。

反対に、内腿に力を入れると、肩甲骨が中心によってしまいます。理由は、内転筋が縮むと、骨盤が前傾します。それによって、背筋が張ってしまい、肩甲骨が内側によってしまいます。

こうなると、腕を負担なく動かせません。肩甲骨も寄ってしまい、弓を大きく引き分けられません。中には、内腿に力を入れて、左右の肩を内側に巻くように弓構えを作る人もいます。

しかし、こうすると、余計に肩周りの筋肉が張ってしまうため、弓を引けなくなります。

つまり、神永範士の文章の言いたいことは、

イ、足踏みで、踵を伸ばして、膝を凹まして膕を伸ばす

ロ、胴造り→太ももを外側に回すようにする

ハ、「イ、ロ」によって、内太ももの筋肉が伸びて、弓構えで肩甲骨が左右に開かれる

このように考えると、神永範士の文章に記された、「縦線によって、肩甲骨が開き」という言葉も納得できます。きちんと下半身の構えを作り、上半身を伸ばすことで、肩甲骨が左右に伸ばされます。

このように、足踏みと胴造りで言われた通りに行うと、弓構えで肩甲骨が開かれ、弓を引きやすくする構えが出来上がります。

千葉範士:肩甲骨を開くと、両腕の力みが取れる

弓構えでは、「足踏みによって、肩甲骨を左右に開く」と理解して、千葉範士の文章の内容を読んで行きます。

千葉範士は、弓構えでは「弓矢を持った感じではない」「人体を大木とみて、丁度木に良い枝振りの枝ができた感じ」などと表現しています。

この文章の意味は、「両腕に力みを込めずに、弓を握ること」を解いています。そこで、先ほどの神永範士の「肩甲骨を左右に開く弓構え」を実践されてみてください。

おそらく、「肩甲骨をひらけば、両腕の力が抜ける」ことがわかると思います。

両肩が下がって肩甲骨を開くと、脇下にある前鋸筋が張ります。人間は、脇下の筋肉が張ると、肩の上部にある僧帽筋が緩むようにできており、これを「拮抗関係(きっこうかんけい)」と言います。

この僧帽筋が緩むことで、両腕の力が抜けます。まさしく、両腕が人体から生えた枝のように、力が抜けた状態になります。

つまり、神永範士の文章を読み解けば、千葉範士の「人体から垂れ下がる枝」のような弓構えができるようになります。

宇野範士:円形にしなくていい

次に、宇野範士の文章では「円形にしなくてはいけない」と記されています。このように、宇野範士の文章を真に受けると全員が両腕を丸くかこみたくなります。

そうすると、人によっては腕の力が逆に入ってしまう人もいますので、両腕を丸く取り囲むのはやめるようにしましょう。実際に、宇野範士の写真を見ると、両腕を左右円形になっていません。

これは、弓道教本の文章の編集切り取りが行われているからです。この文章の意味は使えないし、実践できないので無視しても問題ありません。

実際に、「本多流弓術書」の中には、「弓構えは体格によって適した形があり、各人の骨格に合わせて行うのが適切」と記しています。弓道連盟の射会、審査などをみても、円形に囲んで稽古している人もいれば、そうでない人もいます。

そのため、この文章を真に受けないようにしましょう。しかし、一つ「丸く」なる場所があります。それが、背中と肩です。

神永範士は、胴造りでは「太ももを外旋させ、みぞおちを柔らかくする」と記されています。つまり、胸郭を後ろに引きます。すると、背中が丸まって左肩ー背骨ー右肩のラインを見ると、少し丸まります。

これに、左右の上腕を加えると、確かにどのような骨格の方でも「まるい円形」になります。つまり、円相は両腕ではなく、「背骨と肩」で捉えれば、話は通ります。

ただ、先ほどお話した通り、宇野範士の文章と写真の内容は一致しておりませんので、言いたい内容が異なる可能性が高いです。したがって、両腕を丸くという言葉にあまりとらわれないでください。

高木範士:腕をすくいあげれば、橈骨・尺骨は垂直になる

次に、高木範士の文章では、「橈骨・尺骨は垂直になる」と記載されています。この文章も、「太ももを外側に開く」「肩甲骨を開く」ことを行えば、実践できます。

両足を広めに踏んで、首の後ろを伸ばして両肩を下げてください。次に、左右の腕を外側に開いて、両腕を丸く取り囲みます(楕円でも、円でも、自分のしっくりくる形で)。

その次に、両腕をすくいあげるように上に起こします。すると、自然と橈骨と尺骨が垂直に立ちます。このとき、取り懸けに力をいれず、弓を軽く握れば、なおこの形になりやすいです。

なお、高木範士の文章には、

「前膊の二骨(橈骨・尺骨)のなす面がほとんど垂直に、肘のところを後ろ外へ、内からわずかに心持ちで捻り伸ばす」

と記されておし、ここをみて「左右の腕を内側に捻って橈骨・尺骨を垂直に立てるのか?」と思いたくなります。これを行なってしまうと、両肩が上がってしまうのでやめるようにしてください。

この文章を見ると、「ひじのところを後ろ外へ」と記されています。つまり、この文章は「肘を内側にひねろ」と言いたいわけではありません。両肘を後ろに引いてください。すると、左右の前腕(肘から手首までの腕)は少し内側に捻られると思います。

この文章は、神永範士の「肩甲骨を開く弓構え」と同じです。左右の肩甲骨を外側に開くように、左右の肘を外側に開くと、左右の前腕が内側に軽く捻られる状態になることを解いています。

実際に、高木範士の文章の最後は「両肩が上がらぬようにして、肩甲骨を開いて側方下で前方へ押し下げるように締める」と記されています。

神永範士の肩甲骨を開く弓構えと同じで、これを行えば両腕は自然と内側に捻られます。

自分で作為的に作ってやるのと自然になるのとでは大きな違いがでます。

「橈骨・尺骨を垂直に」「前腕を少し内側に」という内容も自分で「する」のではなく、これまでの動作によって、自然と「なる」ようにしていきましょう。

以上のように、神永範士の文章を実践すれば

千葉範士「両腕の力が抜けて、人体に生えた枝のように、弓構えが取れる」

宇野範士「少し胸郭を後ろに引いて、左右の肩、背骨で円形ができる」

高木範士「橈骨・尺骨が垂直になる」

となります。ぜひ、実践してみましょう。

オリジナルテキストをダウンロード

 

 

 

スタートアップ弓道コミュニティのご案内