正しい弓道教本、胴造り、二巻

この記事では適切な胴造りの仕方を教本の文章を元に解説していきます。

足踏みでは、

・広めに踏む

・太腿を外に回すという言葉で解説しました。

そして、足踏みと胴造り不離一体とも言われ、両者は切り離せない関係。足踏みでの姿勢の作り方は胴造りに反映されます。

だけど、簡単です。以下の二つの身体の仕組みを理解すれば、適切な胴造を作れます。

太腿を外側に開くと肩関節が後ろに引かれる

肩が後ろに引かれれば、首と背中が伸びる

この二つを覚えるだけで胴造りが完了です。実践していきましょう!

肩を後ろに引けば、姿勢が真っ直ぐ伸びる

教本の胴造りの説明には、

脊柱うなじを真っ直ぐ伸ばし、総体の重心を腰の中央に置く

と記載されています。これは、肩を後ろに引けばこの姿勢が完了されます。

足踏みのときにお話した、広めに踏んで太腿を外側に開いてください。すると肩が後ろにひかれます。

すると、背中と首を上方に伸ばしやすくなりませんか?背中に余計な力が抜けて、首の後ろと背中を伸ばすことができれば、

胴造完成!

となります。また、このときの体重は、

爪先ではなく、かかとに置く

ように意識してください。

気をつけてくださいね、つま先に乗せたままで肩を後ろに引くと、かえって背中の筋肉が縮みます。

なぜ、かかとに体重を乗せ、肩を後ろに引くと背中が伸びるのか?それは背骨が文字通り、体の背中側についてるからです。

つまり、私たちの意識では、自分の思う真ん中より後ろ側に背骨はついています。背骨の筋肉を伸ばすためには、体重も肩関節も後ろに引かないといけません。

そうしないと、胸や首が前方に出てしまいます。背骨が前方に引かれてしまい、筋肉が張ってしまいます。

肩を後ろに引けば、胴造りが完成する。このことがわかれば、胴造りのあらゆる内容がつながって理解できます。

腰の中央は本当の真ん中ではなく、腰椎3番目のことである

肩を後ろに引くと、体重は体の後方に乗ります。このときの感覚は、腰辺りに重さが乗る感じでしょう。

これが、教本の文章の「総体の重心を腰の中央に乗せる」という意味です。

腰とは、背中側に存在し、肋骨の下部から骨盤の間を指します。

 腰(こし)とは、大まかな意味では脊柱の下部から骨盤までを指すが、解剖学的には腰椎周囲の背部を指す。 (Wikipediaより引用)

少なくとも、体の内部の中央ではないということがご理解いただけたと思います。

つまり、総体の中心は、腰椎三番目であり、「腰から少し上くらいの背中の部位」が正しい位置です。

弓道連盟の先生はこの「総体の重心を腰の中央に置く」という教えを、体の中央と勘違いして説明します。

上の図のように、背中ではなく、体の中央に置いてしまうと、背骨が上方に伸びきらなくなります。すると、腕や肩に力みが出てしまいます。

確かに、体を前屈みにすれば、体重は体の中央には乗ります。しかし、弓を弾く動作には使えない引き方です。楽に弓を引き、確実に的中に手に入れたいのであれば、余計なことをしないようにしてください。

普通に、腰椎三番目に体重を乗せるように、背骨を伸ばせば問題ありません。

肩を後ろにした方が深呼吸しやすい

さらに、肩を後ろに引いて、吐く息に集中して呼吸をしてください。

・肩を後ろにして息を吐くと、呼吸が深くなり、楽に下腹部に入る

・肩を前に出すと、呼吸ぐ浅くなり、力を入れないと下腹部に入らない

ことが体感できます。肩を後ろに引くだけで、呼吸動作や息相が整う(呼吸の流れが整う)ことがわかります。

腹の筋肉を縮めて、呼吸すればいいのでは?と思う人もいるかもしれませんが、だめです。力を入れて腹式呼吸では、他の筋肉にも力が入る可能性があるからです。

特に息を吸おうとすると、肩関節に力が入ってしまいます。次の弓構え、打起こし、引き分けでも呼吸動作は無意識に続きます。

そのたびに、肩関節がゆらゆら動いてしまいます。

この微妙なブレは、形式的な射形にこだわりたい弓道連盟の射を行いたいのであれば、尚更なくさないといけないはずです。

であれば、体の中央ではなく、「腰の中央(背骨、身体の後ろ側)」に体重を乗せてください。

丹田は、力を入れるのではなくはいるところ

弓道では、下腹の内部の空間に丹田と名前がついています。

「丹田の意識して」と言われますが、これは、「肩を後ろに引け」ば良いです。

肩を後ろに引いて背骨を伸ばすと、腹部の力みが抜けます。この姿勢で呼吸をすると、腹部に自然と酸素が入り、腹圧がかかります。

これが「丹田が意識された」姿勢です。

ここで、多くの方が誤解されるのが、

・下腹に力をいれる

・下腹が張るように前傾姿勢に立つ

などをします。これをやると、背中、肩が緊張してしまい、弓を引きにくくなります。

そもそも、なぜ故意に下腹に意識してはいけないのか?これは東洋的な思想に基づきます。

東洋では、修行や生活を通じて、「自然の状態」を身につけるのを目的とします。

その自然とは、「意識せずとも、その動作ができる」ようになること。

川が流れる、葉っぱが風に吹かれる。これらの現象は意識的ではなく自然のままに起こります。そこで川が自分の意識で流れる方向を変えたり、葉っぱが飛ばされる方向を変えたりすることはありません。

それは、川や葉っぱという物が自然の一部だからです。突き詰めていけば、人間という個体も大きな自然の中の一部の物と捉えられます。

弓道の場合、弓引く動作を通じて自然な心と体の状態を体感するのを目指します。

ですので、「丹田を意識して」とは、「自然と丹田に意識がいく」と解釈しなければ、東洋的ではありません。

「力をいれる」とは解剖学的に「脳の指令によって筋肉に意識的に力が入る」ことを指します。

この行動は、自然に任せた川や葉っぱといった物とはかけ離れた「不自然の状態」と捉えられます。

ですので、弓道の稽古では、「力を入れて、姿勢を整える」ことをよしとしません。

そうした前提があるにも関わらず、先生や高段者が「丹田に力をいれる」と解説なら

今すぐその考え方を変えること

をおすすめします。

肩を後ろに引くと物見動作を行いやすくなる

首には、肩まで繋がっている筋肉が多く存在します。

耳から肩にかけて生えている僧帽筋

顎から肩にかけて生えている斜角筋

喉仏から鎖骨にかけて生えている胸鎖乳突筋肉

肩を後ろに引くと、これら首の筋肉が緩み、物見動作がしやすくなります。

物見動作では、顔が照らないように気をつける必要があります。顔を向けようとしたら、顔が左に傾いたり、または首を向けようとしたら首筋に力が入ってしまったり。

これらは、肩が前に出てしまうから、起こります。

肩を前に出すと、顎から肩にかけて生えている斜角筋が

「胴造りが崩れる」という概念がなくなる

次に、両肩を後ろに引くと、五胴の概念が変わります。

姿勢の崩れを防ぐのではなく、姿勢の崩れという概念ごと無くしてしまいます。

え?どういうことって思うかもしれませんが、

両肩を後ろに引くと、胴造りの崩れ自体がなくなるのがわかります。

なぜなら、全ての胴造りは肩が前に出ることで起こるからです。

引き肩になる→左肩が前に出過ぎる

左肩が逃げる→右肩が前に出過ぎる

猫背→両肩が前に出る

反り腰→両肩が前に出て骨盤が前傾する

もし、両肩を後ろに引いて、その位置を変えないで弓を引き続ければ、あなたは胴造りのズレが起こりません。

実際このように考えて弓を引いてみてください。胴造りが崩れるという概念自体がなくなるのがわかります。

これは、多くの弓道家が誤解している所です。

胴造りの問題は、なんとなく、姿勢が崩れていると思い込んでいます。だから、真っ直ぐな姿勢を維持しようと頑張ります。

両肩が前に出ているのであれば、いつでも姿勢が崩れる可能性が出ます。左肩がもっと前方に出て上がってしまうかもしれませんし、左肩だけ後ろに引けて退き胴になつてしまうかもしれません。

どちらかの肩が前に出ているのであれば、「左肩が後ろに引けている」という問題が出ます。

しかし、両肩を後ろに引いたとしたら、「いずれかの肩が後ろに引けている」という考え方自体がなくなります。

さらに、今までの内容をおさらいすると、

・踵に体重を置けば、背骨が上方に伸びる

・胴造は「脊柱、うなじを真っ直ぐに伸ばす」と記載している

・踵に多めに体重を乗せると、足裏の重心が中央に治る(重心点と荷重点は言葉の定義が違う)

のです。

つまり、肩を後ろに引けばいいのです。肩を前に出すから「肩が前後に動く」と言う問題が起こります。

しかし、肩を後ろに引いてしまえば、肩が前に出ると言う問題がなくなります。胴造りが崩れるということ自体考えなくて済むようになります。

教本の精神的でわかりにくい文章をスッキリ理解する方法

千葉:フンワリとした足踏みという土台に二脚が出来、その上に腰骨をデンと乗せる。それは、木綿の手拭いを下げた感じではなく、ドッシリと重みのある縮麺の良い踊り用の手拭いを下げたフンワリとした気持ちである。力があると言えば、どこにでも入っているし、無いと言えば、どこにも無い。

このような文章が教本には多くあります。

正直わかりにくいですよね。

実際弓道の先生もこのように精神的、抽象的な表現で指導をします。根拠もなくとにかく形式的な内容ばかりの解説。

説明している方は楽ですよ。でも聞いてるがわは何を言っているのかさっぱりわからない。

なぜ、このようにわかりにくく感じるのか?「主語」が抜けているからです。

教本の文章は、精神的な用語と動作の説明がごちゃごちゃに入っています。このような文章は、説明の途中で主語が変わっているので、内容がわかりにくくなっています。

そこで、自分で主語をいれるようにすれば、言いたい内容が頭に入りやすくなります。例えば、

フンワリとした足踏みという土台に二脚が出来、その上に腰骨をデンと乗せる。それは、木綿の手拭いを下げた感じではなく、ドッシリと重みのある縮麺の良い踊り用の手拭いを下げたフンワリとした気持ちである。力があると言えば、どこにでも入っているし、無いと言えば、どこにも無い。

こういう風に文章が続くとわかりにくいですよね。そして、頭に入りにくいですよね。しかし、次のようにすると

「具体的なやり方」は、フンワリとした足踏みという土台に二脚が出来、その上に腰骨をデンと乗せる。

「デンと乗せた時の気分」は、それは、木綿の手拭いを下げた感じではなく、ドッシリと重みのある縮麺の良い踊り用の手拭いを下げたフンワリとした気持ちである。

「その時の筋肉の状態は、力があると言えば、どこにでも入っているし、無いと言えば、どこにも無い。

このように、先ほどより言っている内容が直感的に入りやすくなりました。つまり、千葉範士は

・両脚には力を抜けた状態で維持して、負担なく胴造りを乗せる。

・この時、気持ちや意識は自然と下方に行くようにする

・筋肉には自分から力を入れないようにする、その上でしっかり働いているようにする

ことがわかっています。このようなどう作りになるように意識していきましょう。

その具体的な方法は、

足指の関節から足首の関節、膝関節、股関節を足踏みのところで述べた如く、しぜんの形に正しくつなぎ合わせ、その上に腰が座り、

なんか、脚関節をしっかり整えてから、その上に上体を乗せるようにしましょう。と言っているように見えますね。要はただ、上体を伸ばすのではなく、脚関節も整理しながら上体を伸ばしてくださいと言っているとわかります。

そして、この文章の続きには、

脊髄関節から頭まで真っ直ぐに通っているようにする。

と記されています。では、「太もも外側、肩を後ろ」の身体使いを行ってください。

肩を後ろに引けば、背中から首関節まで上方に伸ばしやすくなります。先ほどお話したように、背骨は背中側についているため、いつも以上に後ろに体重を乗せてようやく伸びます。

さらには

顎をひき、目ははんがんに開いて、鼻頭を中心に、

と続きます。「太もも外側、肩を後ろ」に引いてください。肩を後ろに引かなければ、顎を楽に引けませんので、

丹田を中心にして、頭上は天に向かって無限に伸び、下体は地底に無限に徹る気持ちである。

肩を後ろにすれば、顎を引いて頭部を上方に伸ばしやすくなります。この「肩後ろにひく」動作は、「足を広めに開いて、太もも外側に回す」ことで行われます。

その、広めの足踏みと太ももを外側に回すことで、下体は地面に沈む感覚を得られます。

さらに、この文章の最後には、

千葉範士:下腹を故意に固くせず、また凹ましたりしない、肩根を下げ、首は上に伸び、腕と足を同じ故意に入れず、

はい、これ「太もも外に、肩後ろ」の姿勢で全部できますね。

肩を後ろにひくと、背骨が伸びて、下腹の筋肉が緩みます。加えて、肩は下がって首が伸びます。

さらに、肩が下がることで腕の筋肉が緩みます。加えて、太もも外側に回すことで、脚にも力が入りません。

したがって「太もも外へ、肩後ろ」をやってください。全ての文章の内容が実践できます。

宇野:一般に、顎から上がおろそかになり易いが、これに十分注意して少し意識的に頸椎を真っ直ぐに立てるように

肩を後ろに引けば、首の後ろが伸びて頸椎が立ちやすくなります。

「太もも外へ回し、肩を後ろに引いて」みてください。首の後ろを上方に伸ばしやすくなります。

さらに、

的を鑑(かがみ)にする訳である。「てらす」ということは、的と胴とが一線の中に落ち付いていいるかどうか調べることで、弦調べをして気息を整える

物見をするときに、体の状態を観察しなさいと解説しています。

これも、「肩後ろ’」に引けばできます。

両肩を後ろにしましょう。後ろに引けば、胴造りの両肩のずれがなくなります。必然的に、「的と胴とが一線に落ち着く」ように立てるでしょう。

加えて、両肩を後ろにひき、楽に深呼吸しましょう。気息が自然と整うことがわかります。

加えて、

宇野範士:「足踏み」と両腰と両肩が背骨に対して十文字をなし

両肩を後ろに引いて、背骨を伸ばし、肩を落としてください。この姿勢になるのが体感できます。

浦上範士の胴造りの説明は根拠をあとで詳しく話したいと思います。その次に神永範士の文章をみます。

神永:弓道の胴造は立禅の姿とも言える。・・・・腰骨の前側面をちょっと上に向けるようにして肛門を閉じ、股の付根を張る。みぞおちを軟らかにし、余り凹まぬように伸ばす。(P76)

先ほどお話した「太もも外へ回す、肩後ろに引く」の姿勢は「座禅」でも同じことをやります。

結跏趺坐(けっかふざ)を行うさいは太ももを外側に向けることで行いやすくし、肩を後ろに引いて、背筋を伸ばします。

太ももを外側に開いてください。これによって腰骨が上方に立ち、肛門が締まります。

次に、骨盤の下部にある「恥骨」が太ももを外側に回す動きによって上方に引かれます。これによって、内腿の筋肉が上方に引っ張られ感覚を得られます。「太もも不付が張る」感覚を得ることができます。

さらに、神永範士は

胴造りの時の目仕いは一点に集中したり決め込んだりしないで、二間位の処を漠然と見る(P77)

肩を後ろに引き、首の後ろを伸ばしてみてください。自然と視界が広がる感覚が得られませんっか。

肩を後ろに引けば、集中的ではなく、視界が広がるように周りを見ることができます。

高木:上体を積み重ねることで、真っ直ぐに立つことが肝要である。古来「五身(懸かる身・退く身・伏す身・反る身・中央なる身)の内、中央なるを吉とす」とあるのは、この真っ直ぐな胴を言う

ドッシリと据わり、地から生えたようになり、スラリとなるようにしなければいけない。この体勢を作るには、頭部、上体、下体の各重心線が一直線に足関節に落ちる姿勢に修正に加えるのであって、全身の背面の筋肉がほんの少し引っ張られる程度に全身を曲げないでそのまま前方に少し傾かせるのである

この文章、虚偽記載ですので読まないで。本多流弓術書の文章のP122ページの文章を書き換えて、違った内容に解説しています。

全然意味が変わっています。2箇所の虚偽があり、そのまま真に受けると弓が引けなくなりますのでやらないでください

この文章の正確な意味は「正常姿勢」に修正を加えると書いてありますが。

正解は「安易姿勢(腹が出てて上体が反った姿勢)」に修正を加える」です。

そして、「正常姿勢」が正しいと原文に記されています。

だから、全く意味が違っています。ですので、読まない方がいいです。

弓道教本は本当に言いたい内容を部分的に編集で切り取っている内容が多く見受けられます。原文の全体の文章を読んでも見つけにくいくらいです。

このような文章は読まないでください。

部分的に当たっている文章のせいで、いくら教本の内容の矛盾を解説しても、正しいと信じ込む高段者が多いです。こちらが原文を見せても、それでも疑ってくるくらいです。

気息と重心

千葉範士:出来るだけ深い呼吸を2、3回繰り返し行えば、力が自然と下腹部に充実し、結果としては下腹が堅くなる。(P78)

肩を後ろに引いてください。腹式呼吸に自然となるので、下腹に呼吸が入り、堅くなります。

後ろから押されると、前に動くがまた元に戻ってくる(P78)

肩を後ろに引けば、背筋が伸ばされ、凝りがなくなります。それによって、外から押された時に重心が元の位置になるように修正されます。

宇野:重心をどこにおくかは胴の安定という点から大切なことである。

この重要な点は、気息の収まるところと力の中心点とがどこにあるかということであろうと思う。成果丹田に気息を納めること(P79)

肩を後ろに引いてください。背中が伸びて、腹横筋が緩みます。腹式呼吸ができて下腹に意識が行き渡ります。

「体の内部の中央」ではなく、「腰の中央」つまり、骨盤から脊柱下部の中心ですので、腰椎三番目くらいです。その部位に力の中心点が来るようにしましょう。

力の中心点にするには?といいう疑問がでるかもしれませんが、この内容は教本3巻の安沢範士が図を使って説明されていますので、ここではあまり詳細に解説しません。

ただ、少なくとも腰周りに力が張らないように立たないといけませんよね。力が入っていたら、腰ではなく、肩や腕に力が集中する箇所が集まってしまいますので。

浦上:静かな呼吸のうちに、気息臍下丹田に納めて重心の安定をはかり、息を吸いながら「打起こし」をし、三分の二で息をつめちょっと下腹に力を入れる。

宇野範士の文章と同じ内容ですね。肩を後ろに引き、背筋を伸ばすようにしましょう。

呼吸の仕方ですが、「息を詰める」というのは、

神永:重心の位置は、左右の拇指の爪先とその反対側の踵とを結んだ線の交差点上に落ちるくらいがよく、会、離れの際に前後に動揺しないことが肝要である。

神永範士も体の中央ではなく、背中側に体重を載せましょうと解説していますね。では、肩を後ろに引きましょう。

高木:重心線が地紙の中央よりやや前方に落ちるようにすることは、ここに「引き分け」以後の動作の主導性があるからで、

このように二度高木範士は「重心は前方にする」と表現されていますが、これも踵に体重を乗せてください。すると、結果的に中央より前方に重心線が落ちます。

高木範士は東京大学の医学部卒です。このように解説されているのは、医学的に人の体が重心線が真っ直ぐ揃う姿勢が「踵付近」に乗ることを理解しているからと言えます。

「踵に重心が乗るのが適切?文章では中央より前方と言ってるじゃん」と思います。

その通り、足を閉じている状態で、人の重心線は踵に乗ります。その状態で足を開けば、重心線だけで平行線を引くと「前方にあるように見える」ということです。

解剖的に「機能的に体に負担がなく、かつ姿勢が真っ直ぐに伸びている」姿勢の時は、耳、肩、大転子、膝蓋骨後方、外果(外くるぶし前方)が縦に一直線に揃います。

画像引用元:https://www.bodybook.jp/doctor/117631.html

この時、外くるぶし前方であるため、足首辺りに重心があります。この位置のまま、両足を60度に開きます。すると、重心の位置が中央より前方になるように見えます。

これが、高木範士が解説されている「地紙の中央より一直線」になる意味です。つまり、肩を後ろに引いて、重心線を一直線に揃えた状態で両足を開けば、「結んだ線」は中央より前になるという意味です。

であれば、肩を後ろに引いてください。すると、身体の体重が後ろに移行し、くるぶし付近に乗ります。

次に、高木範士の文章を見ると

気は天地四方に満ち溢れ、心は泰然として動かず、悠々天地の間に我が体が安んじ、七情(喜、怒、憂、思、悲、恐、驚)を去って、筋骨を緩やかにして

この文章も両肩を後ろに引いてください。七情が取り去られるように身体が働きます。その根拠もお知らせします。

まず、浜松医科大学の研究によって、「感情と身体の動き」の心理調査が行われています。「腹を立てる(怒)」「冷たい汗が流れる(恐)」といった言葉が残っているように、人は感情が出た時にどこの部位の筋肉が硬くなるかがわかっています。

・対象となった人数
男性25名、女性47名

・集計結果

喜び・・・胸

悲しみ・・目

恐れ・・・肩、背中、腹

恥・・・・眼、頬、胸

安心・・・肩、腹、腰

参考文献

https://psych.or.jp/meeting/proceedings/70/poster/pdf/1am119.pdf#search=%27%E8%82%A9+%E6%84%9F%E6%83%85%27

このように、まとめると、「恐れ」「驚き」といった感情は「肩」と「背中」といった感情から出ていることがわかりました。

ですので、肩を後ろに引いてください。それによって、両肩が下がって「恐、憂、怒、驚」の感情が軽減されます。

次に、「喜」の感情は、胸が開いて張ると、交感神経が過剰に働きすぎてしまい、嬉しい感情が出やすくなります。これは、心月射技の「武禅」の雑誌に記されています。

直身という姿勢で、真っ直ぐに伸ばすことが良いという考えがある。しかし、このようにすることで、上体が浮き出て、首の筋肉が縮む。

これに陥ることで、快感になってしまい、享楽以外の何物でもなくなる。

つまり、背中が縮み、胸の筋肉が張ると、気分がよくなりすぎてしまい、射に影響が出てしまいます。肩を後ろ、太もも外側に回してください。これによって、背中と胸の筋肉が張るのを抑えられます。

「喜」の感情を出過ぎないように抑えられます。

最後に、「思」、これは射の最中に無意識に「考えすぎてしまう」ということですが、肩を後ろ、太もも外側に回してください。

これによって、人が無意識に考え出してしまう「デフォルトネットワーク」という脳の反応を抑えられます。

人は、1秒間に1、2回、無意識に何かを考えていると言われており、これを抑える方法が「閉眼(へいがん、目を閉じること)」と言われています。

そのため、禅のお坊さん、僧侶は座禅を実践する時に、目を半分だけ開ける「半眼(はんがん)」という目の使い方をします。

ただ、単純に目を薄めに開けようとしてはいけません。もし、肩を前に出して前屈み姿勢を取ろうとすると、首の後ろの筋肉が縮み、眼球に力が入ります。

そうすると、半眼にしても、眼の力みは取れません。

ですので、肩を後ろに引いてください。そうして、首の後ろの筋肉が緩めば、自ずと眼球の筋肉が緩み、無意識に考え出してしまう反応を抑えることができます。

胴造の修正の仕方を読み間違えるな

最後に、この内容は特に読み間違えないようにしましょう。

痩せた人、肥えた人んいよって「胴造」がいろいろ変化する場合がある。これは離れの場合に、いろいろな欠陥となってあらわれるから、十分注意して補整する必要がある。

例えば、痩せ型の人は反りやすいが(反り身)、これは重心が後ろに行っているから「離れ」の際後ろへ振ることになる。肥満型の人は前屈みになりやすい(伏し身)これは手が前へ出る。

では、この内容をみて、痩せ型と肥満型の人の具体的な改善方法はわかりますか?

大部分の人は、痩せ型は後ろにそっているのを前に正すように前屈みになるようにし、肥満型の人は、後ろに反らせるようにするよう考えます。

しかし、そのようにする必要はありません。両者ともに「かかとに体重をかけて、肩を後ろに引く」ことを意識しましょう。

痩せ型の人が反り身になる理由は、体重が前方にかかっているからです。そいの状態で弓を引くと、下半身は前側に体重が残り、上半身だけ後ろにそってしまうため、反り腰の姿勢になります。

ですので、解決策はかかとに体重を乗せて、肩を後ろに引けば良いです。すると、腰が前で肩が後ろに引けるから、反り身になります。かかとに体重を乗せて、腰も肩も後ろに引けば良いです。

そうすると、「後ろ」という概念が消えます。身体全体が後ろに引けていれば、一部分だけが後ろに引けている状態でなくなります。この状態で弓を引けば、後ろに引けた反り身という問題自体がなくなります。

一方、太っている人が前屈みに姿勢になってしまう理由も「体重を前方に乗せるから」です。

太っている人は腹部に脂肪がついているため、腰も肩も前方に引っ張られやすくなります。そのため、背中が丸まりやすいです。

しかし、この問題もかかとに体重を乗せてください。すると、肩を後ろに引きやすくなります。これによって、背中全体が丸まった猫背姿勢を改善できます。

以上の内容の通り、「両肩を後ろに引く」ように意識すれば、後ろに反っても前屈みになっても問題なく修正できるとわかります。

そのため、「肩を後ろ」に引くようにしてください。そうすれば、

・総体の重心が腰の中央にのる

・丹田が自然と意識される

・七つの感情のバランスが整うようになる

と言うことがわかります。

い。フンワリとした足踏みという土台に二脚が出来、その上に腰骨をデンと乗せる。

それは、木綿の手拭いを下げた感じではなく、ドッシリと重みのある縮緬の良い踊り用の手拭いを下げたフンワリとした気持ちである。

力があると言えば、どこにでも入っている居るし、無いと言えばどこにも無いいう風な、ドッシリとした軟かさが望ましい。

方法としては、全ての関節、すなわち足指の関節から足首関節、膝関節、股関節を足踏みのところで述べた如く、自然の形に正しくつなぎ合わせ、その上に腰骨に座り、脊髄関節が首を通って

胴造りの文章も、抽象的な表現が多くややこしく感じますが、神永範士の文章を見れば、やるべきことと意味が読み取れるようになります。ぜひご覧ください。

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