引き分けで目いっぱい矢を引き収めたら、その状態から数秒間静止します。この間を「会」と呼びます
会でやることは二つあります。この3つを意識して稽古を続けてください。全ては離れで両拳を均一に開くためです。では、解説します。
会でやるべき3つのこと
では、解説していきます。
・左母指根と右肘を使って両腕を左右に伸ばし続ける
・その気持ちを離れまで維持し続ける
・少し落ち着いてきたら「狙い」を定める
会に入ったらますます弓を押し開こうという気持ちを持ってください。動きをピタリと止めるのではなく、心の中、イメージではずっと両腕を伸ばし続ける。
このように行なっても、本当に弓が開き続ける訳ではありませんが、「1mm, 2mm」でも、矢束を撮り続ける・・・そんな気持ちで弓を押し開き続けてください。
この、ジリジリと引き続ける時ですが「左親指付け根」と「右肘」をとにかく左右に開き続ける気持ちを持ってください。二つの部位を持って、弓の反発力に負けずに押し続ける気持ちを持ち続けてください。
二つの部位は、次の離れ動作で両腕を均等に開くために大切になります。左親指付け根ではなく、人差し指と親指の間の又で強く押そうとすると、「上押し」という手首の上部に力が入った押し方になります。すると、次の離れで左腕が伸びなくなって矢が真っ直ぐ飛びません。
一方、右肘ではなく、右手で引き続けようと思ったとします。そう意識して引き続けると、右手首が次第に曲がってきがちです。すると、離れる時に、右手首が前に送るように離れてしまったり、後ろに開かなかったりします。又矢が真っ直ぐにいきません。
なので、左手では左親指付け根で弓の力を受けて、押し続けることが大切です。ただし、親指付け根をつっぱらせるくらいに押し込まないでください。
あくまで力を受ける感覚です。逆に、右腕は会に入ったら、右肘あたりを意識して、後ろに伸ばし続けるように意識してください。この二つの部位を意識し続けると、楽に両腕を伸ばし続けることができます。
会で変な気持ちに惑わされない方法
そして、会で伸ばし続ける気持ちがなくなってしまうと、体の一部に力が入る違和感や「中てたい、中てたい」と思う気持ちなど色々な感情が出てきます。ここで気持ちがブレてくると矢を離す時に腕が必要以上にブレてしまうため、矢が真っ直ぐにいきません。
この時に、先ほどお話した左親指付け根と右肘を使って左右に伸ばし続ける意識を持ってください。すると、どこかに力がこもる違和感や中てたいという気持ちが減ってくるのがわかります。
人は一つのことを意識し続けると他のことが意識しづらくなります。そのため、左母指根と右肘を左右に伸ばし続ける意識を持つと、それ以外の変な迷いが減ります。
左母指根と右肘を左右に伸ばし続けてください。それによって、体の力みや中てたいという気持ちや不安から解放されます。
そして、5秒以上両腕を伸ばし続ければ、これらの迷いが減ってきます。本当であれば、そのまま最後まで引き続けて離します。それで真っ直ぐに飛べば、綺麗な姿勢で左右の腕を均等に開けたことになります。
ただ、中には的に当てることへこだわりたいと思う人がいると思いますので、少しだけ狙い目の話をします。
狙い目は利き目によって変える
狙い目は、一般的に「的の右半分が弓で隠れるように狙う」と言われています。ただ、これは利き目によって違いますので、注意してください。以下のようにすると、的の中心線上に矢が揃います。
利き目が右の場合:的の右半分が弓で隠れるようにする
利き目が左の場合:程度にもよりますが、的が一個から一個半程度右側から出す
人には、利き腕があるように、利き目があります。狙い目を見るとき、右と左で見え方を変えないといけないことがわかりました。
厄介なのが左が利き目の人です。利き目が左の場合、的の右半分が隠れるように的を見ると、矢が後ろに向いてしまいます。
本人は「いや、自分はこれで的の右半分隠れているつもりなんですけど」と言いますが、利き目が左の場合、こうなります。
これまで、利き目が左の人を20人以上みてきました。その全員が的の右半分に弓を隠すように狙いを定めると、後ろに飛ぶか、矢がのじないを起こしてしまうのです。両方とも、「後ろ狙い」になって起こる現象です。
左目が利き目の場合、狙い目は気をつけてください。意識的に、前を狙うように意識すると、利き目が左の場合はうまくいきます。
最後に、利き目を調べる方法を簡単にまとめます。確認して適切な狙い目を学んでみてください。
【利き目の調べ方】
1. 数メートルほど離れたもの見る
2. 見続けながら、見ているものを指さす
3. この状態で、片目ずつ交互に閉じたり開けたりする
片方の目は、しっかり見ているものを指さしていて、もう片方の目は少しずれた方向を指さします。しっかりみている方の目が“利き目”です。
参考URL:https://www.nidek.co.jp/eyestory/eye_8.html
会の用語を軽くまとめる
ついでに、会における用語をまとめておきます。
会という言葉は仏教の「会者定離」からきています。会えば必ず離れるの理のとおり、会とは引き取りから十分に詰め合い、伸びきった極致で必然的に自然な離れが生まれるまでの満を持した状態です。
適切な時間は4~6秒程度と適切と言われており、極端に短い場合は「早気」、10秒以上長い会を「もたれ」といいます。
会は短すぎて長すぎても不都合です。早気になると離したくなくてもつい離してしまうという症状に悩みます。しかも、早く離した方が異様に的中率が上がってしまい余計に会が長く保てなくなります。
あるいは、もたれの場合、なかなか「離そう」という気持ちが起こらないため、どんどん右腕に力が溜まってきます。やがて、腕が痙攣のようにビクついてしまう動きも出てきます。適切な会と落ち着いた精神状態を身につけるように努める必要があります。