明日から一生「腕に弦が当たらなくなる」具体的な治し方

腕に弦が当たる原因とその解決法 ― 身体構造と禅の観点から

弓を引いた際に弦が腕に当たってしまう。これは初心者に非常に多い悩みです。そして、この問題は放置してはいけません。なぜなら、繰り返すうちに痛みや射癖となって、弓道の上達を妨げるからです。

弓道における「射即立禅」とは、射そのものが立禅であり、身体と心を調える修行です。したがって、腕に弦が当たる問題も、単なる技術の不具合ではなく、身体の構造と心身の調和に深く関わっています。

腕に当たる三つのパターン

弦が腕に当たる箇所は、大きく三つに分けられます。

  • ① 親指の付け根に当たる
  • ② 前腕の中央に当たる
  • ③ 肘の内側(付け根付近)に当たる

この中で特に多いのが、前腕の中央や肘付近に当たるケースです。これは偶然ではなく、明確な身体構造の問題から起こります。

前腕の筋群(腕橈骨筋・深指屈筋)と肘関節の屈曲・内旋方向の図解
図1:前腕内側の筋群と肘関節の動きの関係。肘を軽く内旋させることで弦道と腕の干渉を避けやすくなる。肘の過伸展(猿腕傾向)は腕払の原因

原因は「猿腕」と肩の構造

腕の真ん中に弦が当たる原因の一つが、いわゆる「猿腕(サルヒジ)」です。これは解剖学的に、肘関節が通常より反りやすい構造を持っているために生じます。

猿腕では、腕を伸ばした時に必要以上に肘の内側が前方へ突き出しやすくなります。その結果、弓を引いた際に弦が肘の内側や前腕に接触してしまうのです。

さらに重要なのは右肩の働きです。肩甲骨が正しく収まらず、腕の位置が前にずれると、弦が腕に干渉しやすくなります。つまり「腕が悪い」のではなく、肩甲骨と肘の連動が崩れているのです。

具体的な改善方法

では、どのように直すべきでしょうか。二つの方法があります。

  1. 肘を内側に回す 弓を持った状態で、肘をわずかに内旋させます。これにより、肘の突き出しが抑えられ、弦の軌道と腕が干渉しにくくなります。
  2. 肩甲骨の回旋運動 壁に手をついて肩関節をぐるぐると回すことで、柔軟性を取り戻し、肘と肩の連動を整えます。

これらを行うと、腕の前に余計な張りが出ず、自然に弦が体の前を通過していきます。つまり「腕で調整する」のではなく、身体全体の構造を調えることが大切なのです。

禅の視点 ― 無為自然の射

「自然体」とは、無理なく全身の構造が調和している状態を指します。弓道における「弓身一如」は、弓と身体が一体となることを意味します。腕に弦が当たるというのは、まだ身体と弓が乖離している証拠です。

ここで大切なのは「無為自然」です。無理に避けようとするのではなく、身体の構造を正せば自然に弦は当たらなくなる。これはまさに禅の思想そのものです。

まとめ

腕に弦が当たるのは、単なる射癖ではなく、身体構造と心身の調和が崩れているサインです。猿腕や肩甲骨の使い方を見直し、肘を内側に回す・肩関節を柔らかくすることで改善が可能です。

「射即立禅」の心で、自然体を求めていけば、腕に弦が当たることはなくなり、的中率も向上します。形を直すのではなく、構造を調えることこそが、上達への道なのです。

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