小笠原流、狙い眼取得法~雪の目付~

らい目を決めるのは難しい

狙い目の付け方は、吉見順正の射法訓でも説明されているとおり、「西半月(的の左側半分に弓の内竹左側割るように)」に狙うと説明されていますが、このねらい目を定めるのはとても難しいです。

なぜなら、図を見ればわかる通り、右目とほほにつけた矢の間の寸法はいつでも弓の幅を一致するとは限らないところです。目では右目で的の中心をとりますが、矢の方はこれと平行になっていません。

具体的に言うと、右目→弓の内竹左側→的の中心の線は垂直な線ではなく、ちょっと斜めになっているのです。しかし、この線がななめになっているときに矢→的の中心の線は垂直な線になるのです

なので、十五間の距離で右目、弓の左側、的の中心の線が正しく結び合えばうまいのですが、これが少しでもずれる要因がいくらでもあります。頬の付き方が少し変わっても、十五間の距離に換算するとずれは大きくなります。

しかも、これに加えて、狙に影響する要素は「弓の村の取り方」「弓の調子」「矢の重さ」「矢のつりあい」「弦の太さ」「矢と弓と弦のつりあい」「左右の腕の力のつりあい」「離れ」「物見のクセ」「弓の照伏」「矢束」など実に多く存在します。

なので、ねらい目を定めるのはものすごい難しいとされています。

雪の目付

小笠原流ではねらい目をちゃんとつける稽古として、「雪の目付」という稽古方法があります。具体的には空から落ちてくる雪を自分の眼でしっかり見るという訓練です。

これが具体的にどう体に作用するのかはわかりませんが、じっと眺めてまばたきせずに見るというところがポイントです。

中国の射法の話でも、同じような話があり、シラミを馬の毛にしばって瞬きをしないでじっと見るという稽古のしかたがあります。

じっとシラミを見ていると、そのシラミがしだいに大きく見えてくるようになると書かれていました。

そうすると、狙いというのは定めるのではなく、見るというところがポイントになるのかもしれません。

弓聖阿波健造もいちいち的を狙わなくても心で見れば的は私の方に近づいてくると言葉を残している通り、ねらい目というのは、目で合わせるものではないというのがわかります。

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