縮こまった引き方には最大のメリットがある!冷熱平の法則で弓を大きく引く方法

「引き分けで縮こまってしまう」「矢の長さいっぱい引けない」「会で力が入りすぎてしまう」……。こうした悩みを抱えている方は今回の記事が有効になると思います。

多くの方は「縮こまった引き方は悪いことだ」と思い込んでいます。

しかし、この認識が違うことが、尾州竹林弓術書に記載されている考え方を紐解くと、

★ 縮こまった弓の引き方には最大のメリットがあるとわかります。

尾州竹林流射法九十条の古典文献に基づいて、引き分け以降のあらゆる癖を改善するための根本的な考え方をお伝えしたいと思います。

結論:「冷」と「熱」を理解し、矢の長さいっぱい引くことが全ての解決策

まず結論からお伝えします。あなたが引き分けで力が入ってしまう、的中しない……これらすべての問題を解決する方法はだけ

矢の長さいっぱい引く

この意識以外ありません。

これは尾州竹林流射法九十条の4巻に明確に示されている内容であり、私たちが弓道の実力を伸ばすための根幹となる考え方です。

「冷熱平」とは何か?射形の三つの状態を理解する

尾州竹林流射法九十条には「冷・熱・平・三長の弓・皮肉骨の九巻に合わせる」という教えがあります。一見難解に思えるこの内容を、わかりやすく解説していきましょう。

「冷熱平」とは、射形の特徴を表す三つの状態のことです。

  • 冷(れい):冷えて縮こまった状態の引き方。体が凝り固まり、伸びようとしても伸びられない状態。
  • 熱(ねつ):熱くて興奮している状態の引き方。力は出ているが、コントロールが効かない状態。
  • 平(へい):落ち着いた普通の状態。冷と熱の中間。

重要なのは、この三つの状態は固定されたものではなく、★ 常に変化するものであるということです。今まで熱くて力いっぱい引いていた人が縮こまった状態になることもあれば、その逆もあり得るのです。

「九巻」という考え方:皮・肉・骨の体質論

「九巻」とは、私たちの体を「皮(かわ)」「肉(にく)」「骨(ほね)」という三つの成分に分けて考える概念です。

皮が整っていて筋肉が強い人、骨が強い人、皮が固まっている人……これらの組み合わせで27種類の体質パターンが存在します。つまり、私たちは生まれつき持っている体質によって、射形の傾向が異なるということなのです。

この九巻の考え方と冷熱平を組み合わせることで、自分の射の特徴を客観的に把握し、適切な改善策を見つけることができるのです。

「長閑(のどか)」な射を目指す:風が吹いた後の穏やかさ

文献には「風が気放てのどかになる」という表現があります。これは、激しい風が吹いた後には必ず穏やかな状態が訪れる、という自然の摂理を弓道に応用した教えです。

★ 長閑な状態とは、頭がすっきりしていて体がグーッと伸びている状態のことです。これこそが弓道において最も理想とする状態であり、心は静かなのに体が力強く伸びている──そんな境地を目指すのです。

この長閑な状態に至るためには、冷と熱のバランスを取ることが必要です。

つまり、熱が強い人には冷たい成分を加え、冷たい人には熱い成分を加えるようにします。

冷たい引き方と熱い引き方、それぞれの「強み」とは

ただ、ここで多くの方は

なんか冷たい引き方をするのってよくないような・・・

どちらかというと熱い引き方をすることが良いように思うような・・・・

ただ、文献には

強みは裏では弱みになる

という記述があります。逆に言えば、

★ 弱みに見えるものの裏側には強みがあるとわかります。

冷たい引き方の強み:伸びしろの存在

しかし、縮こまっている引き方は、一見するとネガティブなものに思えます。

しかし、解剖学的に見ると、縮こまっている状態とは、

伸びようとしている

ともいえます。本能的には伸びたいのに、凝り固まってしまっている状態なのです。

これこそが、最大のメリットです。

熱い引き方の強み:開く力の発現

一方、熱い引き方は、すでに「開くぞ」というエネルギーが表に出ている状態です。

物理学的に言えば、人間のエネルギーは「弓を開く力」と「熱」に分かれます。

熱い引き方では、エネルギーは確かに出ているのですが、その多くが熱として放散されています。

つまり、これは

エネルギーは出ているが、無駄に使われている状態

を指します。

だから、これまでの内容を整理すると両方必要であると思います。

外側には「もっと伸びるぞ」という気力を残しながら、内側では適切に開く力が発生している状態。

この状態を作り上げるのが

矢の長さいっぱい引くこと

なのです。

縮こまった状態の人が矢の長さいっぱい引こうとすると、自然と「伸びるぞ」という意識が生まれて、熱い状態で力んでいる人も、矢の長さいっぱい引く稽古を続けることで、ある段階で「落ち着いた状態でこれならいける」という感覚が生まれます。

無駄な熱エネルギーが抑えられ、純粋に開く力へと変換されるようになるのです。

★ 矢の長さいっぱい引くという稽古は、縮こまった状態から「伸びるぞ」を引き出すためにも、熱くなりすぎた状態に「伸びしろ」を作るためにも、両方に有効なのです。

現代弓道への提言:ルッキズムを超えて

私はここで、現代の弓道界に対して一つ提言をしたいと思います。

なぜ、矢の長さいっぱい引こうとすると「引きすぎ」と言われるのでしょうか。なぜ、強い弓を使おうとすると止められるのでしょうか。なぜ、腕がプルプル震えながら一生懸命引いている姿が「力んでいる」と批判されるのでしょうか。

★ 弓道にルッキズムは不要です。見た目の美しさだけを追求し、軽い弓で形だけ整えることが弓道だとは、私は思いません。

腕がプルプル震えようが、一生懸命に矢の長さいっぱい引いている姿こそが真の弓道であり、そこにこそ成長があるのです。逆に、軽い弓を使って引き尺も足りないのに「味のある射」などと評されることには、私は強い違和感を覚えます。

まとめ:初心に帰り、大きく引くことから始めよう

文献には「弓を引くときも稽古修学を様々尽くして、後に至って初心の部に帰る」という言葉があります。様々な技術を学んだ後、最終的には「初心」に戻る。その初心こそが「矢の長さいっぱい引く」ということなのです。

あなたが今、縮こまって困っていても大丈夫です。それは伸びしろがあるということ。力が入りすぎて困っていても大丈夫です。それは開く力が出ているということ。

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